034.神社(1)
魔物だったら、あの陰陽師の館の当主の方が詳しいかもしれないな。
魔物って、誰かの式神かもしれないな。
ノラに念話を送ってマエちゃんに頼んで陰陽師呼んでもらおうかな。
『魔物らしいから陰陽師派遣依頼して、前回の件、許してやるから只で来させて』
って、来てくれるかな。
明日合流する事にする。
今日は・・・どこか宿を探さないと。
あっ、巫女さんが戻ってきた。 引き摺られているのは宮司さんかな。
「宮司っ、専門家」
「引き摺るな、袴が破れるっ」
強引な巫女さんだ。 魔物より怖いかもしれない。
とりあえず話せる範囲で事情を説明する。
「連絡を受けまして」
「はあ、どちらから」
「名前は無いんですが・・カラスさんです」
「あっ私知ってる、カー子ちゃんだ。 いつも余り物をあげてる」
オスだけどね。
「おそらく依頼したのはそのカー子ちゃんです。
世話になっている人が困っているらしかったので、という事です。」
「カー子ちゃんは律儀ですね。 日頃餌を与えてあげて良かった」
本当は野生動物に餌を与えちゃ駄目なんだけどね。
公園にパンおじさんが居ていくら注意されてもカラスにパンをあげてたな。
みんなに嫌われていたみたいだ。
巫女さんも嫌われてないと良いね。
「またカラスに餌をやっていたのか」
あっ、叱られてる。
「すみません、お食事は私が食べちゃいましたので・・カー子ちゃんは餌(余り物)を・・・」
「カラス様になんて物を与えているんだ、カラスは神の使いだぞ、粗末に扱うな。
お前が餌(余り物)を食べておけ」
この巫女さんカラスの上前をはねてたのか?
カラスって神の使いなんだ、
あれっえ?
私ってジーン(女神エラン)の使いみたいなものよね
私も神の使いだったんだ。 カラスも黒いし私も黒い。 なるほど?
「それで、その魔物というのは?」
巫女さんはしょんぼりしているが、いま大事なのは魔物の件だ。
後で、巫女さんにはカー子と話をさせてあげよう、釈明の場を設けてあげなくては。
「最近、野生動物の死骸がちょくちょく見つかる様になってな。
切り裂かれたような傷が沢山付けられていた」
「その魔物を見た事はありますか?」
「まだ目撃したという話は聞いておらん」
未確認動物 UМA だね。
「熊とかじゃないんですか」
「でかい熊もやられておったからな、 更に大きなヒグマとかはこのあたりにはおらんなあ、
それと影を見たものは居て、熊よりも小さく、目で追えないぐらい早く動いていたそうだ。
熊は走るのは速いがそれを超える動きだったそうだ」
なるほど。




