003.専属アドバイザーのお仕事(1)
『迷い犬捜索』と『迷い猫捜索』『浮気調査』以外に警視庁からたまに依頼を受ける事がある。
一応専属アドバイザーという形で協力することになっていて非公式に契約している。これは歴代署長の申し送り事項になっているらしい。 主のおかげである。
日常の活躍は潜入捜査員マエの作成している『みゃーちゃん探偵日記』兼『潜入報告書』で伝えられている。 警察からしたら地味な活動報告だけど。
「今回は捜査の一部を依頼したい」
みゃーやーみゃやぁ?
「どのような調査でしょうか?」 マエが通訳してくれる。
「いつも思うんだが、ちゃんと翻訳できているのか?」
みゃーーみっゃみゃ
「もちろん、出来なければクビだと言っています」
「良かったな、存在意義があって」
「お気遣い、ありがとうございます。」
「今回は殺人事件の凶器の捜索だ、できるか?」
みゃ、みゃーーやや
「はい、優秀な助手がいますので」
「お前、ではないな・・」
「失礼な、ノラという犬です」
「警察犬でも探し出せてないんだぞ」
みゃみやみゃーー
「そう思うなら何故私達に依頼する? と言っています」
「他に手がないからに決まっている」
みゃー
「なるほど と言っています」
みゃみゃみゃー
「手がかりをくれ と言っています。犯人の持ち物とか・・・ですよね」
みゃ
「そのようです」
「そんな物があれば警察犬で探し出されている」
みゃーー?
「被害者は? と聞いています」
「死体は消えた、身元もわからない、犯人もわからない」
みっやっみゃー?
「それ、事件? と聞いています」
「目撃者が居る」
みゃみゃ みゃーみゃー
「それだけで事件として扱うの? と聞いています」
「事件として扱うために、凶器を探している、
目撃者は有力者で無視できない状況だ」
みゃー
「なるほど と言っています」
みゃみゃみゃ みやみやーみゃ
「場所と日時を教えてくれ と言っています」
それから目撃者と目撃場所と日時を聞いて調査を開始した。
目撃者はとある政治家のドラ息子、場所は公園、時刻は真夜中1時ぐらい。
真夜中の公園で何をしていたのだろうか?
今は冬なので、カップルなども居ない。
酔っ払って歩いていたと言っているが本当かどうかはわからない。
って、フィクサーの息子?
あの時フィクサーのそばに居たやつだった。
さて、現場検証だ、といってもまだ事件として認識されていない。 ちょっと目視で調べたぐらいだ。
事件性が不明なぐらいで私達に依頼するなんて仕事がないのかな、専属契約しているんだから何かやらせないともったいないな、ぐらいだと思ったけど、あのフィクサーが絡んでいるんだったら面倒を押し付けられたということか。
目撃地点は細長い某公園の北側の端、カワセミの里近くだ、池もたくさんある。
バードサンクチュアリになっていて入れないところが多いが、私は入り放題だネコ立ち入り禁止だけど。
現場近くには大きな木が並んでいる。
時は目撃時と同じ午前一時ごろ。
人はたまに酔っ払いが通るぐらいだ。
今は助手のマエと弟子のノラと一緒である。・・・怖いから。
池の近くを歩いていると、ぞぞっと毛並みが立った。
やばいっ、野生の本能が脳裏で叫ぶ “危険だ”
マエ達に近寄り、バリアボタンを押した。意図的にバリア展開すると自分の近くまで範囲が広げられる。
バババババッッッダダダダーーーーン
バリアに激しく何かが連続的に当たった。
蜂の針攻撃?
あれは・・以前主が捕まえたキメラとかいうやつ・・・いや、もう一体居たのか?