026.新事務所(2)
我が事務所は赤字だ。
要塞の使用料が高かった。・・・税金対策だけど。
国防費は渡せないそうだ、国民じゃないから・・・
A国に払ってるじゃん
主に掛け合ってもらって、事務所(要塞)の治外法権と国防費の一部を勝ち取ってもらった。
ついでにA国にも同様に出張所(大使館)を作ってもらった。
これでA国での活動がしやすくなった。 傭兵団の本部に対抗出来る。
主には何もかも頼りっぱなしで申し訳ないな。
主が地球で趣味の探偵をするのに拠点が欲しかったそうだからちょうどよいらしい。
A国国家安全保障局の人が来た。
A国にある事務所とは要塞を通じてドア・ツー・ドアで繋がっている。 A国側の建物もダミーだ。
とても便利である。
ダミーと言っても応接室はダミー側にある。
私達以外は要塞には入れないので仕方がない。
「今日は挨拶(偵察)に来ました」
「わざわざ出向いていただいて申し訳ありませんね」
ヒメちゃんは多言語理解しているのでA国語を話せる。
「実はこの施設に査察が入る事になりまして・・」
「そうですか? それは困りましたね」
「何か問題でも?」
「大有りです。」
「強制捜査も出来るんですよ」
出来るわけがない。
「では・・・こちらの方々に聞いてみましょう」
隣の応接室から数名の人物を招き入れた。
「お前たちは・・・」
「我々は国家安全保障局の者だ、ほんもののね」
「くそっ、足止めぐらいできないのか、あいつら」
A国にもネコネットワークを広げている、舐めるなよ。
事前に察知して救出している。
ヒメちゃんが親指を下に向ける。
「うわぁ〜」
牢獄ダンジョンに落ちていった。・・・さようなら。
「ありがとう、助かったよ・・・それで査察の件だが・・・」
「お帰り下さい。 外部の者は応接室以外は立ち入り不可能です。
では、A国に私が査察に行っても良いんですか?」
「それは困ります」
「でしょう、同じことです。 立場をわきまえて下さい。 ここは別の国です
強制的に行うのであれば、先程の輩と同じ目に合います。 国外で行方不明・・
その後は・・・ご想像にお任せします」
大丈夫、餓死するだけだ。
結局すごすごと帰っていった、 何だったんだろう。 駄目に決まっている。
A国内の傭兵団の本部は主によって壊滅させられたが、本部にいた者達だけだ。
他にもアジトはあるだろう。 何名かは北極から生還したみたいだし。
そもそも押収した資料からすると、在A国の日本の大使が傭兵団を使ってキメラ研究の成果を奪い、A国に売り飛ばそうとしていたらしい。
既に渡ってしまっているかもしれない。
証拠を押さえられ、既に大使は何処かに逃亡している。
また八つ当たりで報復に来る可能性がある。 もし技術の取引が終わっていれば逃走資金があるので、わざわざ見つかりには来ないかもしれない。




