020.専属アドバイザーのお仕事(5)
主がアウレルを連れてきた。
・・・でかい。
思っていたよりも・・・かなりでかい・・・でかすぎる。
お互い言語理解出来るので、とりあえずお友達になれた。
署長に説明するのに苦労した。
街がパニックにならない様に、戒厳令が敷かれることになった。・・・大事・・・確かに大事だった。
捕獲するときに逃げ回って人的被害を出してしまうかもしれないのだ。非常事態である。
新型飛行装置アウレルという事にした。
そして私が操縦する(乗る)。・・・苦しい言い訳だ。
とりあえず嘘では無い。・・よね。
街の要所要所に警官を配備して、人が外に出ないように監視してもらった。
警官はエサになるかもしれないけど。
作戦としては、我々で巣を攻撃して、巣から飛び立った所をアウレルに捕獲してもらう、という手筈だ。
とても危険だ。
アウレルにもバリアを装備してもらっている。
巣の攻撃部隊は大丈夫かな?
準備が整った。
「作戦開始!」
バックグランドミュージックは流れないが、頭の中では流れている。 映画の見すぎだ。
攻撃部隊が攻撃を始める。
昼間のうちに暗視カメラを送り込み、敵の姿を捉えている。
始祖鳥みたいな鳥で、体長は3メートルほど、強力な鉤爪と嘴を持っている。
昼間やればいいじゃん、という人がいるかも知れないけど、主戦力であるアウレルが夜行性だからだ。
主に頼めばいいじゃん、という人がいるかも知れないけど、全て主に任せたらあまりに主が多忙になってしまう。 出来る事はする、が補助はしてもらう。 というのが主の仲間のやり方だ。
攻撃が始まった、こいつも昼間寝ているので夜行性だ。
近くに居た攻撃隊のメンバーを蹴散らして飛び立った。 怒っている、当然だ。
巣を守るために攻撃隊へ突っ込んでいく、何人か引っ掻かれた。
大丈夫・・じゃないよね。
その後ろからアウレルが音もなく飛びかかり背中からがしっと掴んだ。
ぺきぺきっと音がして、巨大な鳥は動きを止め、ぴくっピクッとしている。
脊椎を破壊したようだ。
そして、首筋を嘴でぱきぱきっと噛みつく、首はだらんと垂れ下がる。
私はアウレルに載って間近で見ている。・・・怖い。
そこへ後ろから衝撃が・・・番か?
もう一匹居た。
バリアのお陰で助かった。
逃げられたら追うのは難しそうだったが、怒りに任せてこちらに向かってきたので対処は簡単だった。
こんどは頭を掴んで・・・ぐしゃっ・・・怖い。
巣の中には卵があった、燃やした方が良いだろう。
科学的に貴重な研究資料ともいえるけど・・・危険だ。
卵が割られ、火を付け点けたのを確認した。 主にそこまで確認しろと言われている。
巣が一箇所だといいけどな。
しばらく巣の捜索がされたがもう巣は見つからなかった。
卵は処理したけど巨大鳥の死体はいつのまにか無くなっていた。
アウレルは食べてないよ、って言ってたので誰だろう。
こうして一件落着したものの証拠は全て無くなってしまった。
どの様に報道されるかはしらないけど。 守秘義務は負わされた。 ネコに守秘義務は無いけど。
ヒメちゃんの話だと、フィクサーはキメラ技術の復刻は否定していて、当時の証拠隠滅を進めている。
今回は別組織が絡んでいるらしいとの事だ。
私としては証拠隠滅はいいけど復刻は嫌だな。
主に報告して、アウレルにさよならを言った。 ありがとうアウレル。 頼もしいやつだ。




