019.専属アドバイザーのお仕事(4)
鑑識に立ち寄って証拠の犬の毛を見せてもらった。
と言っても証拠が汚れると言ってなかなか見せてくれなかった。
ノラの毛とか混じると面倒らしい。
署長がなんとか説得して鑑識の監視の下、ちょっとだけ見せてもらうことが出来た。
ノラに匂いを覚えてもらうと、現場付近から捜索を始める事にした。
身体強化したノラは警察犬よりも百倍ほど嗅ぎ分ける能力が向上している。
警察犬ごときに遅れはとらないのだ、みゃーちゃん探偵社のノラは優秀なのだ。
事件から日数も経っているが、ノラなら大丈夫。
おいそっちは1キロ先にある大好きなお菓子を売っている店の方角だ、惑わされる事もある・・
「ノラ、仕事!」
「あっごめん」
再び匂いの痕跡を追っていった。
「署長、通った経路にある監視カメラとか車載カメラの確認をして」
10キロほど遠ざかっている。狩り場からかなり離れるなぁ
ノラに聞くと、あるところから足跡ではなくて、空中を飛んでいるらしい・・・
よく分かるね。
匂いの飛散分布を逆再生して軌跡を辿っているらしい。 走るスパコンみたい。
ノラが止まった。
ここか?
・・・どうやら探知範囲から外れてしまったようだ、ただ方向はあっているだろう。
「署長、地図!」
スマホで地図アプリを出したが
「違う、もっと詳しいやつ、地理院地図」
3D表示させてノラに確認してもらうと この先の山の中腹に向かっているらしい事がわかった。
空飛ぶ犬?
毛並みだけ犬かもしれないキメラだから、開発者の趣味とか・・・もふもふしたいとか・・・
でも、人を殺すだけで・・・食べないのか・・・?
「署長、現場からなにか失くなったものとかは分からない?」
「知人の犬の散歩中だったらしい」
「その犬の毛じゃないの?」
「いや、違ったらしいが・・複数の人から犬の散歩を請け負っていたらしいから分からない」
「犯人は犬を食料として捕獲して巣に持ち去った・・・」
そうすると、人を持ち帰らなかったという事は、犯人はそれほど大きくはなさそうだ、
または人間はまずいか・・・。
いや、犬の足跡を追ってきたはずだ・・
犬は犯人を追っかけてきたが、あるところで捕まってお持ち帰りされた・・・のか?
そうすると、複数の犬がいて、そのうちの一匹を掴んで逃げた、それを追っかけた犬が途中で捕まって二匹お持ち帰りした。・・・のかな。
とりあえずこれまでの推理を署長に説明して、捜索体制を整える事にした。
なんせ飛ぶ事が出来るんだから・・・逃げられちゃうよね。
ヘリコプターより機動性が高いと考えられるし、隠れられたらヘリの燃料尽きるし、ちょっと面倒だ。
山狩をしてもたぶん人的被害が出る。
味方に大型の鳥さんが居れば良いけど・・・
主に頼もう、確か以前聞いたプラントネットって星のアウレルを借りられないかな。
主に頼ってばかりだけど私、ネコだからね。 いくら強化してもらっても出来る事は限られている。
それに主からはいつも言われている、出来ないことは出来る人に頼むんだよって。
主は快く私の願いを聞いてくれた。 アウレルも期間限定で力をかしてくれるらしい。