018.専属アドバイザーのお仕事(3)
三代目と言っても私達にとってではあるが、署長がやってきた。
呼び出せばいいのに。
どうやら、前任者の不祥事により、ちょっとだけ気を使ってもらえる様になっているようだ。
ヒメちゃんに会いに来ている様な気もする。
「みゃー〜ちゃん、おはよーー」
妙にスキンシップを取ってくる・・・私目当てか？ 猫好きかもしれない。 鬱陶しいのでリュックシェルターに避難する。
「また、専属アドバイザーの仕事でしょうか？」
応対は、『出来る子ヒメちゃん』がやってくれる。
マエちゃんはお茶を出してくれた。
私にはミルクを。 クビにならないように媚びている気がする。 大丈夫だよ、雑務係は必要だから。
それにヒメちゃんにリュックシェルターを担がせるわけにはいかない。 似合わないしね。 マエは私の運び役としての重要なポストにあるんだだよ。
あっ、今度主にヒメちゃん用のリュックシェルターを作ってもらおうかな。
「実はみゃーちゃんしか解決できない案件があって・・」
「それ、ろくな依頼じゃないってことだにゃぁ」
「もちろんそんな事はありません、ちゃんとした事件です」
「目撃犬探しとかじゃなゃいよね、 以前は目撃ネコだったし」
「よくわかりましたね」
「連続殺人事件の現場に犬の毛が落ちていたとか、いうオチじゃなゃいよね」
「ご明察です、さすが名探偵みゃーちゃん」
「犯人はキメラの生き残りとかじゃないよね、あいつ怖いから嫌だにゃ」
「それは無いと思います、凶器が違うと思われますので」
「良かったぁーー、 で、どんな凶器？」
「出来たらそれも探してほしいのですが、
こう全身をですね、 細かく、まるで恐竜とかに引っかかれた様な・・・」
「犯人は恐竜ですね」
「いやいや、そんなの居るはず無いじゃないですか、 もう、みゃーちゃんは冗談もうまいですね」
「冗談じゃないよ、
実は前回のキメラ事件のあと気になって調べてみたんだにゃ、
さて、キメラは一種類でしょうか？
そんなはずは無いでしょう、
キメラてですから複数の動物の組み合わせですよね。
色々試したはずです。
一種類しかいないなんてことは絶対にありません。 ですにゃ」
時々『にゃ』が入るのはヒメちゃんが訳すときに付けてくれている。
「では何のためにキメラを作ったのかにゃ？」
「それはキメラ自体の技術を向上するため？ 生物兵器を作りたかった？」
「こんどの署長はちょっと賢いにゃ」
「ありがとうございます。 みゃーちゃんに言われるとは感謝感激です。にゃ」
署長は “にゃ” 付けなくていいし
「それで、とある伝を使って機密文書を閲覧させてもらいました。」
「機密文書って言うとあの『ノリベン』ですか？ 真っ黒に塗られた」
「そう、
だけど、黒く塗りつぶした原文を見せてくれたので読めたにゃ
ネコとか鳥とか動物には人間の見えない波長の光が見えるのを主に強化してもらっているのにゃ」
身体強化したら見えたんだ
「それは・・・すごいですね」
「まあ複製だったとしても微妙な色の変化を読み取れるので少しなら読めるよ」
「科捜研に入りませんか？」
「嫌ですにゃ」
「それは残念、 で、内容は」
「それは秘密にゃ」
「ええーーそこまで言って、それは無いですよーー」
「嘘にゃ」
「冗談でしたか、ほっ」
「今度の署長は面白いにゃ」
「で？」
「『恐竜の復活』が目的らしいのにゃ」
「生物兵器とかじゃなくてですか？」
「それは資金集めの言い訳にゃ、軍の予算を得るため、目的は趣味にゃ」
「それはまた、なんと申しましょうか・・・」
「恐竜が完成したかまではわからないけど、複数のキメラが居るはずで、
前回の幽霊屋敷には痕跡がなかったので
別の場所にあるはずにゃ」
「だから？」
「その犬の毛からノラを使って居場所を見つけるにゃ
私の予想だと、犬型の恐竜キメラ？ かもしれないにゃ」
いやに『にゃ』が多いと思ったら、いつの間にか通訳してるヒメちゃんはネコカチューシャを付けていた。
可愛い・・・
どうやら私の通訳をしている時はネコカチューシャを付けて、自分の言葉と区別する事にしたみたい。
署長もネコカチューシャ欲しいって言ってたけど・・・どこで使うのかな？
ネコカフェと間違えてないよね。 いや、ネコカフェってそんなとこじゃなかったよね。
行ったこと無いけど。 にゃんにゃんパブとか？・・今度尾行して証拠写真を撮るかな。
