013.社員旅行(2)
若干1名が救急車で運ばれただけで、大した問題は起きなかった。
ただ、後日新聞を見ると、
『◯◯山荘殺人事件』あの山荘の主人が殺人事件の犯人として捕まった
と載っていた。
ガス遊びでらりっていたのではなく、主人が全員を眠らせるために仕掛けたガスを、誤って一人で浴びてしまったらしい。
それで殺人の実行を中断したと言うのだ。 結局あの事件がきっかけで発覚したらしい。
私達危なかったんだ。 私の違和感は正しかったと後に証明された。
このときはキャンプ場の全員が、のほほんとキャンプを楽しんでいたのだった。
今日から2日間キャンプだ、もちろん素人なのでキャンプ場である。テント張りも本を見ながらやっている。 お隣さんはベテランキャンパーらしく、ちょちょっと教えてもらったりした。
お礼を兼ねて今日は合同でBBQだ。
私達は豪華な牛肉を提供した。お隣さんは豚肉と鶏肉野菜を提供していざBBQ。
大人たちはお酒も入って賑やかに食べている。
私とノラはお酒は飲めないので、ジュースをもらってぺちゃぺちゃしている。
私とノラは加護をもらったことで甘い物を食べても大丈夫になった。
でも私は猫舌なので熱いBBQは食べられない、小さく切ってもらってふーふーしながら食べる。
ノラはほぼ生肉だ。 表面だけは殺菌のためにちょっとだけ焼いている。がふがふ食べていて幸せそうだ。
知能は上がって人間並みになったけど・・・私、楽しいのか?
なんか来る所を間違えた気がするが、従業員は楽しそうなので・・・いいか。
あまり面白くないので散歩する事にした。
本当は危険なんだけど、主のバリアがあるので安心だ。
森に入ると森の生き物の会話が聞ける。
主のくれた多言語理解のおかげだ。
ほーほー(今日は獲物捕れた?)
ほーーほーー(獲物捕れた)
ほっぼっほー(あっちは危険だよ)
ほーほ(何?)
ほっほ(クマ居た)
えっ! キャンプ場には美味しそうな匂い、それに釣られたクマが向かってくる。
急いでキャンプ場に戻り、マエに危険を知らせる。
みゃみゃーー(クマ来る)
わわん(ほんとだ)
ノラも気づいた様だ
お隣さんと話し込んでいたマエもそれを聞き、叫んだ。
「みんな、クマが来るわ食べ物を密閉して隠して、避難して」
こんなときのために密閉容器を持ってきている。
焼き網などは洗えないが、ごそっと詰め込んで、車に積んで走り出した。
私達の話を信じなくて残った者もいれば、一緒に逃げた者もいる。
笑い声すらする。
しばらくして、遠くから阿鼻叫喚の叫び声が聞こえた。
私達の手には終えないので通報した。
後で聞くと多数の死傷者が出たらしい。 私達と逃げた者は全員無事だった。
お隣さんは残念ながらベテランだったが故に、こんな所にクマは居ないと動かなかった。
そりゃ今まで話している最中に急にクマが来たと言っても信じないよね。
確かに少し前までクマの生息域からは大きく外れていたので正しい知識ではある。
が、正しい判断ではなかった。生息域が更新される時は初めて見つけた人が居るからだ。
ベテランキャンパー達はその初めての人の一人になった。
・・・あっ生きてたらしい。
熊スプレーでなんとか回避できたそうだ。
私達を見つけて「信じなくてすまない、いい勉強になった」と詫びて去っていった。
キャンプ嫌いだぁーー。