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卒業パーティー

 屋敷に到着すると、再びアンダーソンからのドレス一式が届いていた。

 返却しようにも遣いは贈り物を無理やり押し付け


『処分して頂いても構わない』


 と言って去って行ったらしい。


「お嬢様……こちらどうしましょう……」


 ドレスは高級品。

 相手側から処分しても構わないと言われても、使用人の判断で高価なものを処分など出来ない。

 いくら高価なドレスであっても私が着用することがないと理解している使用人は、送られたドレスに困惑している。


「処分って言われても……保管しておいて、発表が終われば観念して受け取るでしょう」


「畏まりました」


 送られたドレスを確認することなく保管するよう指示を出す。

 くだらない男のことなど考えたくもないのに時間を取られてしまった。


「……ふぅ……」


 気持ちを入れ替え、私はパーティーの準備に入る。


「とてもよくお似合いですね」


 キングズリーから贈られたドレスは本当に綺麗で似合っていると思う。

 

「んふっ」


 キングズリーが選んだドレスを着た私を一番に見てほしかったのは彼なのに……


「会いたい……」


 私のワガママで仕事を全うしている彼の迷惑になりたくない。

 

「お嬢様? 」


「うんん。なんでもない」


 準備が整い、再び学園に向かう。

 誰かが屋敷まで突入するのではないかと不安を覚え、早めに出ていく。

 早すぎたので教室で時間を過ごすことに。

 少しだけ期待してしまっている。

 またキングズリーが現れてくれるのではないか……

 記憶喪失となり学園に通うことが不安な中、キングズリーはずっと補佐してくれていた。

 私が困っている時には必ず来てくれていたので、つい期待してしまう。


「今日は……来てくれないのか……」


 移動しなければならない時間になっていた。

 卒業パーティーには貴族の親だけでなく国王陛下も挨拶に訪れる。

 遅刻は許されない。

 会場へ到着すると、半数の貴族は入場を終えていた。

 入場は平民から男爵・子爵・伯爵・侯爵・公爵の順となる。 


「アイゼンハワー令嬢、本当に俺のエスコートはいらないのか? 」


「いりません」


「……そうか」


 既に子爵まで入場を終えているので、伯爵のアンダーソンは粘ることなく去って行った。

 彼も一人で入場していく。

 そういえば、恋人だった人も伯爵家だったと記憶している。

 

「その令嬢と入場すればいいのに……」


 今回のパーティーは、一人で入場する人が僅かだが存在している。

 よくある話では、婚約解消され卒業パーティーのエスコートに困ると家族や親戚に任せるとあった。

 実際は、一人でも問題ないのかもしれない。

 私も一人で入場する。

 当然ながら多くの視線を受ける。

 最後の入場である私が注目浴びるのは仕方がない。

 今年の卒業生に王族はいないので、この学年で一番爵位の高い私が最後。

 全員の入場を終え、王族の挨拶となる。


「アイゼンハワー令嬢、私と婚約して頂けないだろうか? 」


 参加している卒業生全員に聞こえるような声で男は婚約を宣言する。

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