パーティーは強制参加に
「パーティーなんて早く終わってしまえばいいのに……」
テレンシオールパーティーに興味もなく、そのように考えているのは学園で私ぐらいだろう。
このパートナー争奪戦に巻き込まれるのには正直疲れた。
「シャルロッテ、もうそろそろテレンシオールパーティーだな。ドレスのことは心配しなくていいぞ。私が既に準備してある」
夕食にて、父との会話の事。
「パーティー……ドレス? 」
今まで、パーティーについて父と話したことは無い。
学園の行事までは私が報告しない限り把握していないだろうと思っていた。
「あぁ、懐かしいな。テレンシオールパーティーで私はアデライトに婚約を申し込んだのだ」
アデライトとは、母の事なのだろう……
出会いを思い出し、父はとても嬉しそう……
だが、この展開はよろしくないのでは……
「そう……なんですね」
これは……
「はぁ……シャルロッテもついにテレンシオールパーティーに参加するのか。仮面を付けていても美しさを隠しきれないだろうな」
「お父様……私は……」
「パートナーはもう決まっているんだろう? もし決まっていなければ私が話を付けてやるから安心しなさい」
これはもしやパーティーからは逃れられない?
もし私が『相手には既にパートナーがいらっしゃるようで、参加致しません……』なんて言おうものなら、どんな手段を使っても私にパートナーを準備しそう。
「あ……りがとう……ござぃまぁす……大丈夫です……」
私がパーティーに参加することが決定してしまった……のか?
食事を終え部屋に戻る。
「どうしよう……もう、ほとんどの男子生徒はパートナーが決定しているし、それに私がパーティーに不参加と言うのも知れ渡っている。この時期になって、パートナーがいない男性なんて都合よくいない……あいつ……」
一人だけ、思い浮かぶ人間はいる。
だが、その相手だけは選びたくない。
「……土壇場で逃げるしかないよね……」
パーティーは学園の一番広い会場を使用する。
その為、馬車の停車場から少し歩いた場所にある。
「その時に教室に引きこもれば……うん、そうしよう」
翌日。
学園に登校。
『今日の私にパーティーのパートナーを誘う人が現れたら受けてもいいですよ? 』
隙を見せ、無意味に廊下を歩いていた。
結果は……
「誰にも誘われない……」
もう、九割はパートナーが決定している。
残りは諦めているというより、初めから参加するつもりのない生徒。
パーティーまでの貴重な時間、私は何も出来なかった。