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パーティーが近づくにつれ

 テレンシオールパーティーが近づくにつれて、パーティーのパートナーが決定されていくの体感する。

 廊下でパートナー同士が戯れている姿が増え始め、相手の決定していない女子生徒達は焦り廊下を何往復もする。

 だが、男子生徒の方も焦っているのは同じ。

 剣術大会で好成績を残せなかった者は、急いで行動に移る。

 でないと、パートナー不在で欠席となってしまう恐れがあったから……

 仮面パーティーなので、誰が出欠席したかなど分からない。

 けどパーティー翌日から、あからさまにパーティーの話題が始まる。

 そこで参加していない者を炙り出すのが男女共に愉快らしい。


「アイゼンハワー公爵令嬢……」


 男子生徒のパートナー候補に私まで駆り出され、今では廊下を歩く度に男子生徒に呼び止められる。


「……なんでしょう? 」


 相手を確認すると、名前どころか顔も初めて見るような人。

 今回はパートナーの懇願ではなく、連絡事項なのかもしれない。


「令嬢は俺の事を知らないかもしれないが、俺は入学してきてから令嬢を見てきた。もしよければ、これから俺の事を知ってほしいんだ……」


 あぁ……これは……

 彼の言葉通り私は彼を知らない。

 彼が私を知っているのは、私が公爵令嬢と言う立場か、格下の婚約者が堂々と浮気しているという醜聞か、私が入学してからの自由過ぎる行動が目立っていたのかのどれかだろう。


「えぇ知りませんね」


「あっ、失礼しました。俺は子爵家のマッカス・ウルデリコです。婚約者はおりません。是非パーティーのパートナーとして選んでいただけないかと思います」


「……申し訳ありませんが、他の方をお誘いになった方がよろしいかと」


「令嬢は既にパートナーがいらっしゃるのですか? 」


「……パーティーに参加するつもりはありませんので、パートナーは不要です」


「本当にパーティーに参加されないのですか? 」


 彼は驚きの表情を見せる。


「はい。ですので、私ではない令嬢をお誘いください」


 何度このやり取りをしただろうか。

 男子生徒は至る所で待ち伏せしている。

 私をではなく、パートナー不在の令嬢をだ。

 先程彼の『本当に』の発言からして、私がパーティーに不参加の意思をみせている事について過去誘いに来た男子生徒から噂にはなっているよう。

 それでも信じられずに誘いに来る生徒は後を絶たない。


「それだけ切羽詰まっているのかな? 」


 皆、テレンシオールパーティーに並々ならぬ思いがあるよう。

 学園主催のパーティーがそんなに貴重とは思えないのだが、学生には一大イベントらしい。

 その後も男子生徒の誘いが続くので、移動教室以外は極力教室から出ないように心掛けた。 

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