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バイト決まりました

「俺の知り合いのところで良ければ紹介できますが? 」


「本当? 」


「はい」

 

 見兼ねたエイジャックスがバイト先にと紹介してくれた。

 到着した先は定食屋。

 私に選り好みは出来ないと判断し、突撃した。


「私をここで働かせてください」

 

 お店の雰囲気とか客層とか見向きもせず店を回している女店主に直撃した。

 

「俺の知り合いなんだ、短期でいいから雇ってもらえないか? 」


 私一人では断られると予想したエイジャックスが口添えしてくれた。

 

「ん? あぁエイジャックスじゃないか。あんたの知り合いか? 」


「あぁ、公爵……家で働いている友人の妹なんだ」


 公爵令嬢と言うのを堪えてもらい、友人の妹と紹介された。


「そうなの? あんた学生さん?」


「はい、休暇中だけでも働けないでしょうか? 」


「休暇中に働くなんて良い心がけじゃないかっ。いいよ」


「ありがとうございます」


「んで、いつから働けるんだ? 」


「今からでもっ」


「そうかい。来なっ」


「はい」


 私の人生初のバイトが始まる。

 当然私一人ではなく、私の姉という設定でマキシーも一緒に雇われることになった。

 料理をしているのは旦那さんで、奥さんがホールを回している。

 公爵家で働く騎士が休日によく訪れるお店らしい。

 監視するにも丁度いいし、休みの騎士が頻繁に訪れるので護衛も兼ねている。

 公爵令嬢が働いていると信じられず、多くの騎士が確認に訪れているらしいが私には誰が我が家の騎士なのか分からず平等に対応している。


「いらっしゃいませ」

  

 お客が来店したら挨拶。

 マキシーと共に基本の流れを教えられる。

 お客が入店し、席を案内し、注文を聞き、配膳し、片付けにお会計。

 働いたことは無いが、食事をするお店にお客としてなら行ったことはある。

 その記憶を思い出しながら働く。


「あんたどこかで働いた事あんのかい? 」


「いえ、ありませんが……なんでしょう? 」


「接客が丁寧でいいね。よく気が利くし、学園を卒業して働き場がなかったらうちに来なよ」


 お世辞だとしても、初めてのバイト経験だったので店主の言葉は嬉しい。


「ありがとうございます」


 お会計だけは女店主に任せ、出来ることは率先して行った。

 厨房に入り皿洗いも行う。

 私の手荒れを心配してマキシーが代わると提案してくれるも断った。


「何事も経験だから」


 開店に間に合うように向かうが、閉店作業は父に反対され夕方には帰宅する。

 日に日に客の回転数が上がっているように感じる。


「シャーリン、また来たよ」


 常連さんにはシャーリンと呼ばれている。

 シャルロッテと名乗ればいずれ公爵令嬢と結びつける人が現れるかもしれないと考え、名前を聞かれた時に咄嗟に『シャー……リーンです』と答えてしまった。

 それからは、常連客に『シャーリン』と呼ばれている。

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