試験勉強? 全然してないよ
試験は三日間。
二日目も問題なく過ごし、三日目の試験最終日。
今日が終われば明日は休み。
「大丈夫、昨日は眠った……」
昨日は三時間程眠った。
万全の体調とは言えないが、今日の試験を乗り越える体力はある。
集中力が途切れることなく、三時間を迎えた。
試験の手ごたえは、まずまずと言ったところ……
「これで試験は終了。生徒諸君は職員室付近への立ち入りは禁止、速やかに下校するように」
キングズリーの『試験終了』の言葉を聞いた途端、緊張の糸が切れたのか睡魔がやってくる。
「あとは帰るだけ……大丈夫……大丈夫……」
荷物を手にして教室を出る。
「アイゼンハワー、大丈夫なのか? 」
「ふぇっ」
不意に呼ばれた気がしたので振り向く。
言葉の意味は理解できていない。
なんとなく、音がした方向に無理向いただけ。
「ふらふらしているぞっ」
「あっ……先生? 」
声を掛けられたのは間違いなかったようだ。
「もしかして三日間徹夜したのか? それに痩せたんじゃないのか? 」
音というより、口元を見て何を言われたのか判断する。
『徹夜』という言葉だけは読み取れた。
「徹夜なんて……昨日は……寝ました……」
眠すぎて一昨日までのような強がりは出来なかった。
それでも今日の私はあの悪女の恰好は念入りにしている。
試験の為に徹夜した事だけは……
だって私、勉強していませんもの……
「歩いて馬車まで辿り着けるのか? 」
「だ……い丈夫……だと……思いまぅ……」
瞬きの時間が長くなる。
「私も一緒に行こう」
「……平気れふ」
もう何も考えられない。
早く寝たい……
「気を付けろよ」
「……はぃ……っ……」
「……アイ……ハワーッ」
呼ばれたような気がしたが、振り向くことなく意識が途切れた。