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第68話

 人族とドラゴンの戦闘は一瞬で終わった。もちろんドラゴンの勝利で。

 どんな戦闘をするのか楽しみにしていた俺達は呆気に取られていた。


「…なんというか、コメントしようがないな。」


「あーしも…え、こんな手も足もでないもん?」


「意外。警戒せず近づいたのが原因?」


「私的には当然の戦闘よ?エルフ族でもああなっていたでしょうね。」


「あはは…人族ってスキルが育っている人の方が珍しいから。しかもあの人達、ここに来るまでにかなり消耗していたみたいだったし。」


 確かに…しかも10人で来たにしてはPTのバランスがおかしかったからそれ以上の人数で探索してて大群に襲われ、逃げていた所ここにたどり着いたってことか。


「スキル育っていなくても強敵相手に無作為に近づく行為はやばいっしょ…うちらの場合、ナオヤが率先して考察してくれたのもあって上手くいったけどさ。」


「同感、ナオヤ君が分からない分野は皆で補完を頑張る。」


「こういう一丸となるのがPTプレイの良い所だよね。」


「私は…騒がしいのは嫌いだわ。仕事上難しいけれど。」


 人数がいればいるほど、取れる手段が増えていくもんな。ただ、メリットがあれば当然デメリットも出てくるわけで…全員が同じ思想や熱の持ちようじゃないとそこには温度差が生じて人間関係の派閥が出来てしまう。

 現実ではこの集団生活について学校や地域活動を通じて学ぶのだがネットが普及し匿名により過激な者が増え、それが現実に影響を及ぼしている気がする。その弊害がゲームにも表れている。特に第2陣が被害にあった詐欺とかな。



「さて、人族がここに来たってことは最終日…つまり明日、全種族が一丸となってドラゴンを攻略する可能性が高まった。とは言っても、俺達になにか影響があるわけではないが参考になる戦闘をするだろうし、今後の為にも見学って感じかな。」


「今回の事で場所が分かったし、各エリアにある入口を探すよねきっと。一応掲示板をチェックしておくよ!」


「最終形態のドラゴン、楽しみ。」


「それまであーしらはどうする?せっかくだからイベント後の為にもスキルレベルを上げておきたいんだけど…」


「私もソロだったら厳しいから今のうちに上げておきたいわ。」


 ミーとポリーの言う通り、イベントが終わってしまうとサイ以外は一緒に遊ぶことができなくなるからな…各種族で地域が別れていると合同イベで仲良くなったとしても普段一緒に遊ぶことが出来ないのがもどかしい。

 しかし、現実でもゲームでも1人の時間というのが大事だと俺は考えている。遠距離恋愛に似た感じと言えば伝わるのか?普段会えないからこそ会っている時間を大事にするみたいな。まぁ…それで会えない間に相手が変わりすぎてしまったから恋人だと危険な行為だろう…


「それなら一休みしてからもう1度戦闘訓練を行うか。各自覚えたいスキルが入手できたし、スキルのレベル上げってことで戦闘回数や敵の数を増やそう。」


「敵の出て来る空間を広げるのね、私がやっておくわ。」


 ポリーに敵の調整を任せて俺達は各自休憩を取る。流石にずっと膝枕や昼寝のバフに頼っているとソロになったときに対応出来なくなるので、濃い戦闘が出来るように俺は1人で寝る。ON/OFFが出来る仕様だからといって相手の好意に甘えすぎるのはな…



 イベント時以外でもPTが組めるようになればいいんだが難しいだろうな…他種族の地域に行けたとしても、魔族は特に他と違う容姿だから目立つし、何より種族入り乱れると混乱も大きい。1種族でも問題が生じるし、4種族が別の国でルールが違うと外交に関わるんじゃなかろうか。

 そうなると…ある程度信用出来る人物に許可を与えるのだろうか?とは言っても先に上げた問題の容姿の違いでプレイヤーに囲まれることになるから俺としては避けたい。その問題が解決されるならありだが…ま、俺には関係ないか。



 意外と皆、疲労が溜まっていたのか起きて来ることはなかった。というより俺がいるから精神的に休まる事が出来なかったんじゃ?同性だけなら警戒もある程度しないで済むだろうし。


 さて、先の戦闘で素材が一定量溜まったので拠点の設備を充実させますか。武器の耐久を直せる金床を設置、布製品の耐久を直す紡績機を設置。金属類を直す金床なのに弓も直せるってどういう原理なのだろうか?ゲームだから深く考えないほうが良い部分かもしれん。


 あと重要なのが風呂!残っている素材をつぎ込んで拡張していく。そもそも最低限だと男女で分かれていないし狭いというバスユニットっぽいのなんだよな…最大まで拡張することによって露天風呂にまでレベルアップすることが出来たのは僥倖だ。

 露天風呂にまで拡張することによって男女別になったしアメニティ品も充実した内容になった。これなら心身共に疲れが取れるだろう。ゲーム内の宿だと湯に浸かって垢を落とすくらいしかできないもんな…シャンプーやボディソープがあるわけではないから…創作物でよくある生活魔法があったら楽そうである。


『身体の汚れを落としたいの?それくらい私がしてあげるわよ?』


 マジか!?精霊って自由度高すぎじゃないか?


『ナオヤの認識おかしくない??水に関してだけど私に出来ない事ないわよ?湯に浸かって汚れを落とすしたり肌を擦って垢を落とすなら水の性質を変えれば出来るわよ。』


 あー、弱酸性とか弱アルカリ性って言われるやつ。まぁ髪や肌の汚れの多くは皮脂だし問題ないのか。まぁ皮脂も取り過ぎると保湿に関わるぞ?


『人に害のない範囲で潤いを持たせればいいんでしょ?簡単よ。』


 それは助かる。しっかし…精霊だからといって裸を見せるのは恥ずかしいんだが?特にニオって女性体だろ?


『服を着た状態でも出来るわよ?まぁ今回はきちんとしたお風呂があるから大丈夫だけど、普段の場所だったらしてあげるわ。それにしても…ナオヤったら私を異性として見ていたのね。』


 いや、どう見ても女性体だろ?在り方にしても男性視点ではないし。


『まったく、ナオヤったら私に欲情しちゃった?この薄い水の膜の内側を想像しちゃうの?』


 はいはい言ってなさい。


『つれないわねぇ…ま、寿命も違うし感性も違うからね。そもそも恥ずかしいという概念を持っていない子もいるわよ?ナオヤが性犯罪に走ったら困るし、したくなったら私を見て処理してもいいわ。』


 ニオはにやにやしながら煽ってくる。

 我慢できなくなったらここに来る前に処理するから問題ないよ。というか話を戻そう。精霊の力を表に出しすぎると面倒な事が起きるから個人用だな。残念だけどPTメンバーにも秘密にした方がいい。こういう綺麗になる事に関しては女性は詰め寄ってくるからな。噂が人を呼び永遠と浄化させられそう。


『ま、そうなるでしょうね。私だって水が汚れたら嫌だわ。もしかしてナオヤって男が好きなのかしら?あれだけ女を侍らせておいて。…これだけ私が処理しても良いって言っているのに断るなんて。』


 後半良く聞こえなかったが普通に女が好きだぞ?まぁ…過去に嫌な事があって苦手なタイプというのは出来たが。というか精霊に性欲ってあるのか?


『契約していなければないわよ?契約することで契約者に引っ張られる部分があるから私はナオヤの影響であるわね。どうどう?私の体に興味ある?』


 幼女が身体をくねらせているが、微笑ましい気持ちになった。


『むきー!!なんでそうなるのよ!』


 ニオの駄々っ子パンチを笑いながら胸に受け、戦闘後の風呂タイムを楽しみにもうひと眠りすることにした。

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