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第63話

 ボスのギミックを丸裸に出来たことによって討伐はすんなりと終わった。あの後、2回柱に誘導することでミーは尻尾を切り落とし、俺は喉元にある弱点と思わしき逆鱗を貫いた。

 討伐することができたのはサイがきちんとボスのヘイトを確保してくれたこと、激しい猛攻を避ける余裕を生ませたイナ、ダメージを与えやすく補助をしたポリー、安定したダメージを与え続けたミー、全員がいたからこその勝利であった。


「何黄昏ているのよ?あなたがいなければそもそも討伐出来ていないと思うわよ?」


「あの突進モーション、近くだと分かりにくかった。普通だったらあれで死に戻りするはず。」


「というより投擲強すぎない!?あーしがちまちま尻尾を切断…尻尾消えちゃった…」


「まぁまぁ…投擲って腕力だけじゃなく速さや身体の使い方が重要って言うし、普通だったら全ステータスが上がらないからこんな威力は出ないと思うよ?ナオヤ君のスキルとの相乗効果が凄すぎだね。」


 いや、まぁ…俺も威力にはびっくりしたんだよな。普段が一撃だったから気づかなかっただけかもしれんが。



 ドラゴンを倒した事によって出現したクリスタルに俺達は近づいていく。


「これってなんなのかな?」


「罠じゃないと思う。」


 女性4人はあーだこーだ言っているが俺は触って確かめようと触れた瞬間、光が部屋を包み込んだ。


―おめでとうございます、この拠点はあなた達PTによって占領されました。よって、拠点の機能を開放します―


「お、お?素材必要ない感じ?」


 流石にそれはないようだ。


「違うぞミー。機能は開放されたが有効化はされていないようだ。有効化するのに素材が必要っぽいぞ。あと、さすがにイベントラストでクリアするものだから恩恵がやばいな…ダンジョン作成機能があるぞ。」


 4人は、えっ!?と驚き俺が見ているコンソールを覗き込んだ。


「ほんとだ…でも、必要素材数が掲示板で見た数と全く違うんだけどなんでだろう?」


「種族の数が重要そう。私達4種、被り1、被りの数だけ必要素材が増していくと考えられる。」


「ちょっと!もうちょい画面下げて。私の身長じゃ見えなくて面倒だわ。」


 一生懸命背伸びしているポリーを見ていると意地悪したくなるのはなんでだろうか。とりあえずポリーにも見えるように下げた。


「今持っている数で最低限の機能は開放出来るな。小屋、寝台、台所、修理台…ダンジョン内の変更。」


 俺がポチポチと有効化していくとクリスタルの周りに各設備が配置されていく。


「ね、ね、ナオヤ?ダンジョン私に弄らせてくれないかしら?快適な空間を作りたいわ。」


「ん?よくあるダンジョンを弄るのに必要なポイントは素材で賄えるみたいだからいいんじゃないか?というか大丈夫なのか。」


 俺は少々不安になりながらポリーに問いかけた。


「任せて、これでも自動化させるの得意だから。楽するために覚えたわ」


「あー…あのゲームをやり込んでいるならポリーに任せて平気っしょ!」


 ミーが同意するとサイとイナも頷いていた。みんな知っているゲームなのか?まぁ経験者がいるなら全面的に任せてもいいが…


「敵の配置ってどうなってるんだ?初期がドラゴンだけだと思うんだが、イベントで湧く敵はダンジョン産扱いされない?」


 なにやら説明書きを読み込んでいるポリーに聞こうとした時、一瞬だが浮遊感に襲われた。地に足が付いているのに浮遊感とは…


「ボスの居た空間をコピーして拠点と一緒に上に持ち上げたわ。もちろんドラゴンの復活は下よ。これで私達の居るエリアから通路を作らない限り誰もここに来れないわ。」


 それでいいのか?いや、引きこもるのは俺的にはありだがイベントの内容はスキルレベルの上昇が目的だろ?

 俺が考えている事が分かったのか答えてくれた。


「まず、ダンジョンでクリエイト可能な時点でいろんな環境を作れるの。しかもイベント限定だけど距離があれば敵が湧くんでしょ?地下に空間を作って敵を輸送して戦える空間を作れば訓練出来るわ。

 あと、ここは元々採取も可能な空間だし、中心だからか種類も豊富。サイちゃんの薬剤、イナちゃんの料理も大丈夫よ。」


 確かに空間を自由に作れるなら問題はないな…普通、こういうのってダンジョンポイントとか必要な気がするんだが。あ、敵を作るわけでもないし宝を作るわけでもないからポイントがほぼかからないのか。施設のアップグレードやイベントポイントも敵が勝手に湧くようにすれば良いと…


「確かに平気そうだな。他の人も引きこもるのに問題ないか?せっかくの無人島だしやりたいことがあるなら意見を言ってくれると助かる。」


「移動しなくて済むし私は賛成。」


「安全に料理が出来るみたいだし私も平気。」


「戦闘エリアをどうすんの?5人で行動するならともかく、皆やりたいことするなら一人でも大量の敵を相手に出来る環境じゃないと難しいんじゃ?」


 ミーの懸念は尤もだ。やられてもこの場所が復活地点に設定されているが溢れた敵で奇襲されるのは問題だ。


「そこは問題ないわ。6時間ごとに更新は必要でしょうけどそれに合わせて敵の体力を減らした状態でエリアに持ってくれば溢れたとしても対処できるはずよ。」


「…まさか窒息か高さで調整?」


「あら?調整は有名よね。窒息は効かない敵もいるでしょうし高さのが安定するんじゃないかしら。それであちらに作った小エリアにつながるようにするわ。」


 ポリーは寝っ転がりながらコンソールもといタブレットを楽しそうに弄り始めた。


「それじゃポリーに任せて俺達は一休みするか。そのあと各自育てたいスキルを上げていくということで。ちなみに俺はたくさん寝たい。が、採取で人がいるなら力になれると思う。戦闘は…敵が強くなって複数での対処が必要になってからだろうな…」


「ゲーム内なのにホント疲れたね!あーしもひと眠りしてから戦闘やってくる!」


「ナオヤ君、一休みした後に採取手伝ってほしい。」


 俺は了承して出来たばかりの拠点に入った。

 中はリビングとキッチン、寝台として部屋が5個…これは攻略した時の人数で変わるのか?かなり快適な空間になるぞ?ベッドに横になるとすぐ眠気に襲われ始めたのだが、早く、風呂が欲しい、な…




 

 ナオヤが寝室に入っていくのを確認するとサイ、ミー、イナはポリーの場所に戻りおしゃべりを始めた。その姿は疲れ知らずといった感じであった。


「さ、さ!女子会始めよー!」


「な、なによいきなり…私は作成し終わったらぐーたらしたいのだけど。」


「それにしても…ナオヤ君凄かったねぇドラゴンを貫いた一撃とかほんとビックリした。」


「それ思った!やっぱりスキルって重要なんだって再認識したよね!1つじゃ効果が低いものでも合わさる事で無限の可能性があるっていうか。」


「私の弓もあれくらい出来るようになるのかな?最初から育てていたら良かった…サイ、最初の突進の後、出遅れていたけど絶対乙女の顔してたでしょ?」


「…あれは惚れる、というか惚れ直す。」


「はぁ…あなた達ほんとナオヤの事好きねぇ…私は普段ののんびりした状態と戦闘状態のギャップがいいわ。」


「ポリーもしっかり気になってるじゃん!というか、サイの代わりに自分があんな風に抱きしめられたらどうなの?」


「…」


「あはは、その表情で分かっちゃったね。」


「ん、是非そのおっぱいでナオヤを陥落させてほしい。」


「わ、私はそんな軽い女じゃないわ!いや、身長で考えると確かに重いほう…でもそれは胸が原因よ…」


「まぁゲーム内なんだし気楽にいこ?リアルだとポリーって大変みたいだし。」


 流石にリアルの事を追求するのは不味いと思ったミーは話題をすぐ切り替え、盛り上げるのであった。

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