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第57話

「はわ!?」


 急にイナが叫んだのだが何かあったのか?敵は来ていないようだが…


「イナ、どったの?」


 ミーも気になったようで問いかけていた。


「えっとね、ゲーム内の掲示板を見ていたんだけど…どの拠点も作成途中で壊滅しちゃってるみたい…」


 え、なんで?敵自体は弱いのに押しつぶされるほどの数が来たって事か?流石に索敵が育っているだろうし囲まれる前に抜けられるポイントとかあるだろうし…まさかそれすらも出来なかったのか?


「壊滅の原因はなんだったの?」


 サイもなんで壊滅したのか分からないほど唖然としていたが、理由を確認したいようだ。


「掲示板だけじゃ詳しくは分からないんだけど…まずは拠点かな?人数が多いほど大量に素材が必要なのは予想出来ていたんだけど途方もない数だったみたい。あとは物量で潰されたのと強めの個体が率いているパターン。

 あ!それと重要な情報があった!拠点を拡張するために各種族の特産品が必要になるって!私達の場合だとエルフと取引しないといけないみたい。」


 あれだけ人数いて拠点建てられない素材数ってバランスが悪くないか?どこかに抜け道がありそうなんだが…あとエルフか。こればっかりは運次第だがどうするかな。


「こういうのってフラグを立てまくれば良いって聞いたことがあるんだが、試してみるか。あーどこかにエルフ一人いないかな。出来れば主張が激しくなくて仲良くやれそうな人。」


 3人になんとも言えない表情で見られたが俺だって恥ずかしい。


「ナオヤ…そういうフラグ立ては意味ないと思う。死亡フラグは立つかもしれないけど。」


「だねぇ、そんな都合よく現れるわけないっしょ?」


「そもそもが一人で行動することがないと思う…あ、私達を除いて。」


「わからんだろ?そもそも大量に敵が湧くんだから素早さが低い人は置いていかれる可能性もあるし。ま、その場合は女性が置いてかれるが吊り橋効果を狙う男性PTがいてもおかしくはないな…」


「穿った考え方だねぇ…でもなんとなく場面が想像出来るのがゲームや漫画好きなんんだけどさ。」


 ミーも心当たりがある場面っぽいようだ。


「ま、全ては拠点を拡げる段階になってからだな。それより気付いているか?敵の湧く距離が結構離れているよな?いきなり近くに沸いたりせずに。」


「索敵範囲内に湧かないなぁと思っていたけどやっぱり?それはそれで不意打ちがなくて良いけどちょっと問題だね。」


「…中心に近づくほど敵は少なくなって他の拠点に敵が向かう。戦闘能力を育てるなら初期地点にいる人達を対象にする湧きポイントを潰すべき?」


 サイの言う通り、大量に倒すならそうするべきだろうな。まぁこちらに向かってくるのも0じゃないから後半になるほどうま味が出て来るかもしれん。倒せるならな。


「あとさ、山頂にもうすぐ着くだろ?ただ、でかい魔力の塊は頂上にあるんじゃなく今いる高さもしくはそれより下なんだよな…」


「ってことは洞窟でもあるの!?探すの大変…ってわけではなさそうだね、ナオヤのその顔見ると。」


 まぁ対策はある。俺達が頂上につけば敵の湧く位置もそれに見合う距離になるから洞窟内から出て来ると思われる気配をたどることで見つけられるからな。


「問題ないな。とにかく頂上に何があるのか見てみたいし眺めも良さそうだから、行く価値はあると思う。それに、洞窟があったとしてもどのエリアにも行ける場所だし心配しなくても大丈夫だろう。」



 俺達は再び山頂を目指して登っていくが、道中で敵がゾンビからスケルトンに変わってしまった。まだ日があるのにスケルトンって場違いじゃないか?ゾンビもおかしいっちゃおかしいがさ…今まで素手だったゾンビから武器持ちに切り替わったのでその対処に追われていた。


「イナ、弓だとスケルトンに効果薄いと思うが代わりの攻撃手段ってあるか?」


「今はない、かな!きゃっ!」


 山頂付近という事もあり、足場が悪くてイナがバランスを崩してしまった。そこを弓を持ったスケルトンが射掛けていたので俺は射線上に立ち、矢の通る位置に槍を合わせた。なんとか矢を弾く事が出来たのだがスケルトンの処理を終えた前衛2人からなぜか「うわぁ…」という呆れ声を貰ってしまった。


「ふぅ…数が少なくてよかったな。これが大量に襲って来ていたら各個撃破されていたかもしれん。やっぱり遠距離攻撃をしてくる敵は厄介だな。」


「いや…さ、ナオヤってやばくない?ゲーム自体は初心者っしょ?矢をパリィするなんて廃人プレイって感じだよ!」


「…しかも槍で。盾だったら普通。」


「そ、そうだよね…私なんてダメージ覚悟して身構えちゃってたし…」


 そんなにおかしい事か?だってさ…


「相手が性格な射撃だったからこそ防げただけだぞ?これがどこを狙っているのか分からなかったら無理。ただ置きに行っただけ。それよりイナの攻撃法をどうするかだな…」


「ん、普通のフィールドだったら魔物が使っていた武器が使えるけどここでは消える。基本、スケルトンだったら打撃武器が特攻。」


「い、一応予備として剣は持っているけど攻撃タイプは斬だから…射よりはいいけど。」


 どうするか…俺はかばんを開いて何か使えないか確認を始めた。

 うーん…やり方次第では使えそうではあるけどイナの射撃の腕次第か。


「同時射撃って出来るか?2本の矢を別の場所を狙ってみたいな。」


「えっと、精密射撃じゃなくおおざっぱになっても平気なら大丈夫、かな?ナオヤ君のしたい事って敵を狙うんじゃなくてってことだよね?」


「そそ。敵を足止め出来ればミーとサイが余裕をもって対処することが出来るだろうから、俺が普段補充しているロープを矢につけて飛ばせる?無理なようだったらボーラをいくつか作ってあるから投げるのもありだが…」


 せっかく投擲があるから投げ物として準備はしておいたんだよな。狩猟にも使われる道具だし扱いやすさも簡単だから。


「大丈夫。ただ、1m以内の長さじゃないと射るのに邪魔になりそうだけど…」


「でもでも!敵を少し止めてもらえれば私達も戦い易いから助かるよ!」


「ん、いつか爆発する薬品作ってイナに渡したら最強。」


 そんな危険物はポイしなさい…スケルトンの対処はこんなものか。ドロップは単に量が増加したのと少量だけ建材の上位があった。ということは…拠点のアップグレード素材って事なんだろうな…


 

 その後何度かスケルトンと戦闘をこなし、ようやく山頂についた。そこは火口になってはいたが活動はしていない様子であった。


「ナオヤ君、これって絶対内部では溶岩流れているよね?」


 サイの予想は多分当たっている。精霊が力を貸したということもあり、火の精霊が関与していそうな場所だからな。ボスがいるのは洞窟内だしボスの属性を考えると火なんだろうなぁ。


「とりあえず、せっかく山頂に来たんだし少し休んで各種族の特産品を集めようか。火口の周りに結構反応あるし。」


「えっと、ナオヤ君…素材の場所もはっきりと分かるの?」


「あーしもビックリ…生産メインだと分かるものなの?」


「…自分の専門素材なら分かるかもしれないけど、見れば分かる程度。遠くでも分かるのは凄い。」


 俺が凄いんじゃなく、偶然覚えたスキルが凄いんだろうな…変なプレイスタイルだから皆が持っていないスキルがあるってだけなはず…?


『順調に自分でもおかしいって思ってきてるわねぇ。それより、あっちの方意識して見なさい。何か面白い事になっているわよ?』


 ニオに言われてエルフ側に意識を飛ばすと…あー、これは孤立するPTだな。でもまだ逃げられる可能性は残っている。ただ、このPTがやられた場合に狙われる距離にいるのは俺達のが近いかこれ?


「採取は中止、エルフ側で中腹より少し上のとこで孤立しそうなPTがいる。このPTがやられたら俺達が狙われる可能性があるから数減らしに向かおう。」


 俺がそう言うと3人は顔を合わせてクスっと笑った。


「「「フラグ回収だね!」」」


 いや、そうと決まったわけじゃないでしょ!

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