第52話
「ふっふっふ…おじゃましまーす。今日もぐっすり寝てるみたいだね。体だけこちらに残るのって防犯上問題がある気がするんだけど…僕的には嬉しいけどさ。ま、他の外国人が泊っている部屋は入れないようになっているからナオヤには感謝だね。
寝てからの時間を考えるとまだ余裕がありそうだし一緒の布団にはいっちゃおっかな!」
僕はナオヤが寝ている布団をめくり、入り込もうとした。
『えっと、これは流石に注意したほうがいいのかしら?』
え?何と思って辺りを見渡すとそこには水の最上位精霊がいた。
「えっと、僕は怪しい者じゃないよ?ちゃんとナオヤの許可を取って部屋に入ることも許されているんだ。」
『膝枕をしに来るかもとは聞いているのだけどまさか同じ布団にも入っていたの?あなたほどの人が入れ込むなんて、私の主も凄いわねぇ…これは上司に伝えるべきかしら?』
「ちょっとまって!流石にあの子には伝えないでね!君がここにいることから勘づいている可能性もあるけれど絶対じゃないから!」
といってもあの子は誰かに注目するとかしないだろうけど。良くも悪くも俗世に興味がないって感じだし。統括するにはそうじゃなきゃいけないんだろうけど僕としてはもっとこの世界を楽しんでほしいって思う。
作ったからこそ愛でるというか興味を持って欲しい。だれかがそれを教えてあげることを僕は願っている。
『主は膝枕まで許していると思う。流石に知らない所で同衾はダメだわ。』
前に膝枕をしていた時、起きている時にして欲しいって言われたけれど最近は諦めているのか慣れてきたのか何も言わなくなったんだよね。寝顔見るのは楽しいけれど寝返りでたまにビックリしちゃうことがある。
それを含めて僕は楽しんでいるけどね!最近出会ったサイちゃんも彼に惹かれているのが分かったし、それだけ僕が惚れた子が魅力的なんだって鼻が高いよ!
「むー…まだ起きるまで時間があると思うけど仕方ないか。それじゃ、よいしょっと。」
僕はナオヤの頭を膝に乗せ、いつもの通り頭を撫でながら目が覚めるのを待つかな。
『あなたがそんな母性溢れる顔をするなんてね。時間というものはすごいわ。』
僕は昔と変わっていないと思うんだけど!単に好きな人が出来ただけだもん。
「僕としてはいつのまに精霊と契約したのかが気になるんだけどー?気まぐれで力を貸すのではなくきちんと契約して100%の力を引き出せる方だなんてビックリだよ。」
『今までが退屈だったってのもあるけれど、一番は珍しさかしら?精霊が見える事、魔力の質、人柄それぞれ興味をもったのよ。』
そうは言っても精霊という生態を知っている僕からするとビックリなんだよなぁ。
気まぐれで気分屋、妖精みたいに悪戯好きじゃないのは良いけれど善悪の区別がないからね。最上位精霊だから理性が働いているの感じだけどさ。
「っと、そろそろ来るよ!」
『この波動が合図なのね。覚えておかないと。』
っと、今日はハルが来ているみたいだな。感覚的に分かってしまうほど俺も毒されてきているってことなのかね。ハルは太っているわけじゃないけど太もものムニっとしている感じが柔らかくて枕として最高だな。
しかし、今日は何やら両方の頬に当たるという事は…いつもと向きが違う!しかも俺に負担がかからないように脚を少し開けて高さ調整もされているという気遣い。だから両頬から感じる肉厚が凄いのか!
俺は伸びをしてハルに挨拶をする。
「おはよう。今日もありがとな。いつもと体勢が違かったからびっくりした。」
「ナオヤおはよー!いつも同じだと飽きるかなぁと思って変えてみたんだけど嫌だった?」
「いや、これからはこっちのがいいかな…ハルに包まれている感じが良いし。」
そう言うとハルは照れながら微笑んでいたが、俺も多分少し赤くなっているだろう。言った言葉を考えると恥ずかしいからな。
『なに2人して良い雰囲気だしてるのよ。それよりナオヤ聞いてよ!この方ったら意識のないナオヤに「わぁぁぁぁ!!」』
ビックリした…ハルが大声出すの初めてじゃないか?一応良いとこのお嬢さんだと思っていたから普段そう見えなくても礼儀正しく感じていたんだが。それより2人とも仲いいな。
「なんだか2人とも仲いいけど元々の知り合いだったのか?」
そう聞くと2人は顔を見合せて
「知り合いではないけれど存在は知ってたよ?」
『一方的に知っているって感じかしらね?お互い長い時を生きているし。』
なるほどな。長く生きているってハルはそう見えないんだが…身長や体型を見るとさ…
『それより今日はどうするの?私の力を試すんでしょ?』
「あ、ああそろそろ行くか。どこまでが水の精霊の力が及ぶのかが分からんとどうしようもないからな。」
「ナ、ナオヤ…流石に街の近くで大精霊を暴れさせないでね?」
「そんなことしないぞ!そもそも攻撃に使う気はないんだから危ないことはない…はず?」
水って生命に直結しているし実験していく中で危険な事もあるかもしれんからな。流石に広範囲に影響を及ぼすことはないだろうけど。
そう言い、俺とニオは第2拠点のフラムへ向かいそこから更にニオと出会った湧き水の所へ向かった。ここは人が来ないから目立たないだろうしな。ちなみにハルは宿を出るまで一緒だったのだがいつもの如くメイドさんに引っ張られて街の奥へ行ってしまった。
『それで、まずはどんなことを試すの?』
そうだな、とりあえず水で思いつくのが天候操作、水の成分、流体操作があげられるんだが1つずついこうか。天候操作って雨はもちろん霧や雪も出来るのか?
『そうね、下位の精霊だと雪は出来ないわ。一応あれは水と風の複合でもあるの。ま、私のような大精霊になるとそのあたりはごり押し出来るから問題ないわよ?雪じゃなく氷柱を生やしたり周囲の気温を下げる事が出来るわ。』
かなり自由度が高いな…もし高温の場所に行くとなってもニオがいれば快適に過ごせるってことだよな。しかも水に干渉できるってことは湿度も調整出来るってことだろ。これは冷房いらずだなぁ。
『私の力を聞いてそんな風に考えるのはあなたくらいよ?普通だったら殺傷力や攻撃力を精霊に求めるのよ。』
そんなことは他の手段でどうにでもなるだろ。それより快適に過ごすことのが重要だ。
次にいこう。水の成分でどうなっているんだ?普通に飲んでも大丈夫なものなのか?それと毒水や浄化作用のある水って作り出せるのか?
『魔力で作られた水だけど真水ではないから栄養的にも飲んで問題ないわよ?ただ、通常の水魔法では飲んでも魔力を回復出来ないのだけど精霊魔法のだとちょっとだけ回復するの。ちなみに毒水や海水などの混合水を生み出すことは出来ないけれど操ることは出来るわ。』
流石に混合水は無理なんだな。よく海外に行く場合は水に気をつけろって言われるが精霊魔法なら水の心配がないってのは純粋に嬉しい。ちなみに水を生み出す量はニオに任せる感じ?
『そうね。ナオヤの場合は私に任せれば問題ないわよ?ちゃあんと意図を読み取ってあげるわ。』
普通は精霊と意思疎通をして魔力を渡してその魔力量によって規模が変わるって認識でいいのか?
『そうそう。私は常に供給されているのだから関係ないってことね。』
そう言い辺りの水を空中に浮かべ動物を形作ったり水球を沢山浮かべたりしていた。これだけでも脅威だよなぁ…昔の人々は治水のために堤防を築いてくるほど水って質量がすごいからな…量が少なかったとしてもウォーターカッターの様に殺傷力が高いのもあるし応用力が高い。
とりあえずラスト。流体操作っていうのは内部でも外部のものでも大丈夫なのか?また操る距離って関係ある?
『血液や皮膚の表面、髪の水分も問題ないわよ?距離は関係あると思う?』
ニオは不適に笑った。なるほど…ないってことね。つまり視覚内もしくは水というか液体を感じ取れるなら操れると…間違っても生きているやつに血流操作するなよ?
『ふふふ、ナオヤが危険な状況になっていたらするかもね?』
その気持ちは嬉しいんだが外国人は一応生き返る事が出来るからな?死にたくないから慎重に行動するが強すぎる力を他の奴らに見せると妬まれやすくてそっちのが厄介だから勘弁してくれ。
『ほんとあなたって変わっているわねぇ…指示されなければしないようにするわ。』
ありがとう。とりあえずこれでニオの事が知れたな。あとは拠点に戻るついでに槍と投擲のレベルを上げて行こう。
俺は第1拠点のアージュまで森を突っ切っていくことにした。
名前:ナオヤ
種族:魔ジン
スキル:【気配察知】Lv4 【隠蔽】Lv5 【膝枕】Lv6 【昼寝】Lv6
【採取】Lv4 【解体】Lv3 【槍術】Lv4 【投擲】Lv3
【魔力回復】☆ 【身体強化】☆【魔力探査】Lv3 【木工】Lv1
【伐採】Lv2 【忍び足】Lv2 【環境適応】Lv2 【罠師】Lv2
【精霊術】Lv1
膝枕 Lv6:説明:異性に膝枕をする・されることにより一時的にステータスが上昇
熟練度が上がると持続時間と上昇率が上がり、スキルが発動するまでの待機時間の減少。
持続時間12h、発動待機時間20分、バフのON/OF可能 AM4時リセット
昼寝 Lv6:説明:日差しのある外で寝ることにより一時的にステータスが上昇
熟練度が上がると持続時間と上昇率が上がり、スキルが発動するまでの待機時間の減少、環境条件の緩和
持続時間12h、発動待機時間20分、バフのON/OFF可能 AM4時リセット
曇り空でも発動可能