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第47話

「あ、青木君もう魔法覚えているの!?人族は虱潰しに探しているんだけど一部の人がいつの間にか覚えていたってだけだよ!」


「魔道具…それがあれば生活にも調合にも役立つかも?」


「そういえば獣人族のプレイヤーが殺気立ってたんだけどそれかな?巻き込まれたくなかったからソロで遊んでいたけど、ついてくる人がいたから通報しちゃった。」


 全員見事に違う事柄について言ってるな。それにしても…


「魔法ってそんな珍しいのか?基本的な覚え方は魔法をくらうって事だが。一部の人が覚えているなら第2拠点周辺の敵が魔法を使うとか?」


「え、そうなの?クランの人にしか取得方法教えないって言われてクランの人数を確保しようとしてるみたいで何か嫌なんだよね…」


 これ、人族にとってはかなり不味いんじゃないか?全員ラーニングで取得とかどう考えても行き詰ると思う。せめて飯塚さんには教えておくべきか…?


「魔族とは正規の覚え方が違うらしいが、人族で広まっている覚え方は亜種のほうだぞ?」


 ラーニングで覚える事のデメリット、魔力の感知、正規の方法で覚えるメリットについて俺は知っている事を話した。


「えぇぇぇ!?今度は手遅れになる前でよかった…お手軽だけどそう考えるとほんとデメリットしかない覚え方なんだね…」


「うっわ…マジで罠すぎる仕様だねぇ…あーしは近接で行く予定なんだけどいつの間にか魔法食らっちゃいそう…」


 くいっくいと袖を引かれたので何事かと思ったら高杉さんが引っ張っていた。


「直哉君、それって私でも覚えられるかな?」


「魔族の正規取得法は分かっているから大丈夫。人族は住人に話を聞いたらいいんじゃないか?獣人はイメージ的に肉体強化系の魔法なんだが…どうなんだろう。」




 俺達はうーん…っと唸りながら考えたが考えがまとまらなかったので高杉さんが質問をしてきた。


「直哉君、魔力の出力に問題があるって言ってたけど大丈夫?」


「魔力の種類については感知の時に言ったと思うが、俺はマナを息を吸うように吸収しているんだ。見かけ上では無限に魔力があると思っていい。ただし、魔力の放出口が小さくて魔法を唱えられないので意味がないという。」


「そっか、だからこその魔道具なんだね。」


「でも残念ねぇ…せっかくのファンタジー世界なのに魔法が使えないなんて。」


 坂田さんが可哀そうに…みたいな目で見てきたが俺としては目立たなくて済んでよかったという感想だ。出る杭は打たれるというのもあるし恩恵にあずかりたい、情報を寄越せってなると面倒だからな。ソロで動いている時点で変に目立ってしまっているし。高杉さん、飯塚さん、坂田さんの3人は1から10まで教えなくてもそこから導きだしてくれたり各自補完してくれるので助かっている。


「魔法がなくても俺のプレイスタイルでは関係ないから残念ってことはないな。逆に目立たなくて嬉しいかもしれん。ま、生活を豊かにするとか痒いところに手が届いたらいいなってことで魔道具作成の勉強だな。」


「うげぇ…ゲームの中でも勉強とか無理…それより体を動かすほうが性に合ってるし!」


「久実はそのほうが合う。私もゲームの中で勉強することになるけど結構楽しみ。」


 高杉さんの返事に坂田さんは驚きの声を上げた。


「彩もそっち側だったか…それって前に言っていた調合の学ぶ環境ってやつ?確か青木君が整えたんでしょ?」


「そうだな、と言っても入学推薦をしてくれる人が知り合いにいて、その人の紹介で修行先の薬師を教えてもらったってことだから俺は何もしてないぞ?」 


「青木君…そんな人と知り合いの時点で凄いんだよ…人族はNPCと全然触れ合えてないから防衛でもやっぱりきつかったのかなぁ。」


 あー、魔族は俺が流通問題を解決したから資材豊富で支援が厚かったっぽいしそうなのかも?ゲームも現実も人との触れ合いをしないと厳しいってことだな。




「あ!!ほらほらニーズベル社の公式HPを見てよ!かみ転のイベントを開催するみたいだよ!」


 高杉さんがスマホをテーブルに置き、俺達に見えるようにした。


「別の島に転移してサバイバルだって。どんな感じなんだろうね!楽しみー!」


「久実、これって種族関係なく同じ島っぽいから一緒に遊べそう」


「そうなの彩?ってほんとだ!始めこそ場所は違うけど同じ島だね!エルフが森、獣人が草原、魔族が山、人族が海岸っぽいね。」


 確かにそんなこと書いてあるな…これってかなり素材が偏るし食材となると海か森にでないと厳しいだろう…そもそも何を目的としたイベントなんだ?っとあったこれか。


「スキル育成を目的としたイベントだな。運営側もテコ入れが必要って感じたんだろう。進めなくなって停滞するとユーザーが離れる可能性があるし。あと、拠点の作成部分を見てくれ。」


 皆がその部分に集中したのを確認すると高杉さんが口を開いた。


「種族の人数によりポイント加算?これがどうしたの?」


「ああ、ポイントはここのリストに書かれているアイテムの引き換えに使うのは分かるんだが種族の人数ってどういう意味に捉えた?」


 その質問に答えたのは坂田さんだった。


「え?普通に種族の人数じゃないの?」


「久実、青木君が言いたいのはその種族の人数がどういう換算なのかだと思うよ?例えば人族が10人みたいな。」


「そう、このゲームはPKはない。MPKは起こってしまう可能性があるが通常フィールドなら犯罪扱い、つまり種族間の争いは出来ないものとしてこの人数は各種族ってことかもしれないってこと。獣人、人族、魔族、エルフの4人が最大って可能性がある。」


 俺が言うと周りからおぉぉ~と感心された。皆種族で進行度を争っていると思ってたのか?


「確かに4種族で分かれているフィールドだし情報封鎖もされてて仲が悪いように誘導しているけど、拠点防衛を考えると協力してってなるわね…青木君凄い発見よ!私達は3種族だから拠点を設営すればそれなりの点数がもらえるって事よね!」


「私的に生産でポイント入るのは嬉しい。イベント開始まで3日あるから最低限の薬を作れるようにする。」


「私は料理かなぁ…家でも料理作っているし青木君に言われてスキルを一応取得出来ているから。」


「拠点に出来る所はフィールドボスがいるのね!一般フィールドと同じなら人数によって難易度が変わるかもしれないから少人数の私達でも十分チャンスはあるわ!」


「なるほど。各領地で取れる物を持ち寄って拠点や設備を充実させていくことでポイント、拠点を奪う事は出来ないから早い者勝ち、素材は各種族領のものしか取れないから物々交換、という協力イベント…狙い目の土地は4種族の交わる所だが…どうしたい?」


 周りを見渡しながら問いかけると3人とも元気よく答えた。


「「「当然中心!」」」


 初期リスポーンから離れるほどフィールドボスの難易度が変わる可能性がを伝えたが意志が変わらないし凄いな…


「じゃあ合流場所は魔族の所がいいか。種族人数が一番少ないから目立たず、人族と獣人族のちょうど間だしな。向かい側のエルフは…よさげな人がいたら勧誘ってことで。」


「「「異議なし!」」」


 こうして俺達はイベントに向けて各自方向性を決めたのだった。

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