第35話
かみ転公式HP
本日12時から明日12時までアップデートに伴うメンテナンスを実施致します。今回のアップデートで追加される様子は以下の通りです。
・第2陣の募集開始およびフレンド招待枠の実施
・メンターシステムの開始
・街中での禁止事項を掲示致しました
違反した者は要項に応じてリアルタイムで牢屋に入れられます
・フィールドの拡大により拠点間の移動方法に馬車が追加されました
・人数増加により素材生成数の増加および再生速度、魔物の量を調整します
・犯罪を犯していないのにも関わらずNPCを殺害、捕縛することを禁止します
違反した場合、アカウントを永久凍結致します
「ん-、今日はアップデートがあってゲーム出来ないのか…この公式HPを見る限り他の種族も防衛クリアしたってことなのかな?」
魔族がクリアしたから追いつけ追い越せという感じで一気にクリアしたのか?まぁ、俺は見ていないが掲示板で情報が流れたんだろう。重要なのはやはりNPC達の援護があってこそ成功するんじゃなかろうか?プレイヤーは24時間INする強者がいるわけじゃないからどうしても現地の協力が必要だろうからな。
まぁ…防衛2回目以降は準備期間が短縮されるようだから援護してもらえる条件を満たせるようにしなければいけないからある意味難易度が上がるんじゃないかって心配はある。毎回条件を揃えるのではなく、満たせなかった項目さえやれば大丈夫ってものだろう。
今回のアップデートで重要なのは禁止事項が明確化になったことと第2陣についてだろう。フレンド枠ならばメンテ後にすぐ招待することが出来て、メンター(師弟)システムに自動で登録されるみたいだ。一緒に行動することで弟子は成長補正がかかり、師匠は関わりのあるNPC(住人)との好感度が上がりやすくなると…これからの攻略を考えると好感度は必須条件だからプレイヤーにとっては嬉しいのではないか?
あと、俺に影響がありそうなのは素材系についてか…採取した後に種を植えて成長する速度があがるのは助かる。群生地を渡り歩く必要がなくなるってことだもんな。まぁ…マナーが悪い採取人もでてきて群生地が全滅する可能性もあるだろうが…さすがに種を補管しているだろう…1:1で種が出来るわけじゃないから俺もかばんに余らせているし。
問題なのは採掘か?流石にすぐ枯れるってことはないだろうが近場のものは取りつくしてしまうだろうし、鉱石は再生しないもんな…生成速度なら平気なのか?
魔物の量、これは魔族がクリアした後拠点間で魔物が激減していたが元に戻るってことなのかもしれない。もしくは第2陣がくるからリポップ速度を上げるのかもしれん。メンターと行動する新人が増えるってことは最初の街に人が集まり、すぐに第2拠点へ連れて行けないようになるのか?
とりあえず学校向かうか…
「おはよう!青木君、情報ありがとうね。おかげでクリア出来たよー…」
教室に入ると飯塚さんがすっごい笑顔で声をかけてきた。ただし、また目の下に隈が出来ているんだけど…夜通しやってきたのか?
「おはよう、俺はただ自分がしたことを教えただけだぞ?掲示板を見ているならそっちのが重要な情報が出回っている気がするし。」
「んー…青木君ほど具体的なことはなかったんだよね…とりあえず依頼を色々と受けようって話になって防衛拠点の壁をしっかり作ることが出来たって感じ。エルフ族もそれでクリア出来たみたいだよ。」
なるほど…まぁ確かに好感度は一朝一夕で上がるものじゃないから資材確保を満たせれば拠点防衛施設は出来上がるな…
「やっぱりNPCが拠点から援護してくれるだけでかなり楽だったよー…戦線崩れそうなところに人数投入することが出来たみたいだし。」
「おー、そう考えると遠距離攻撃があるとやっぱ助かるんだな。俺としてはPTプレイしている人達すげえってなるけど。同士討ちしそうで怖いし。」
そう答えると飯塚さんもうんうんと頷いていた。
「慣れていないとそうかも。でも武器やスキル構成によって立ち位置が決まるし遠距離だったら声かけすれば射線上から移動してもらったりで意外となんとかなるよ。」
それが出来るのがすごいんだが…状況把握がきちんと出来ているってことだろ?そんなに早く出来るなんて普通に凄いことだよな。
「なるほどな…まぁ気楽なソロ活動で満足しておくことにするよ。」
「でも青木君、招待枠の連絡来ていたでしょ?そうなると彩ちゃんのメンターになるんだし一緒に行動するんじゃない?」
あ…それがあったか…名前を呼ばれて気になったのか坂田さんと高杉さんがこちらの机へ向かってきた。
「名前呼ばれた気がしたけど、何?」
「あー…高杉さん、かみ転の招待コード送るからアドレス交換してもらって平気か?その後は指示に従って情報を入力すれば大丈夫。事前の検査はすでに受けているんだよな?」
「うん、第2陣の応募要項にもあったから大丈夫。えと…これ、私のアドレス…」
俺は高杉さんが向けてきたスマホとデータ交換を済ませ、招待コードと入力先のアドレスを送り返した。
「これで大丈夫だな。それとHPを見たかもしれんがメンターシステムが自動で登録されるようでな…えっと、高杉さんはどんなプレイをしたいんだ?戦闘に関しては俺もからっきしダメなんだが…」
…返事がなかなか来なくて高杉さんを見ると、なにやら「プレイ…」と呟いていた。俺、何か変な事言ったか?飯塚さんと坂田さんを見るとなにやら微笑ましいものを見るような感じで笑っているんだが…
はっとしたのか高杉さんが首をぶんぶんと振り、返事をしてくれた。
「んっと、出来れば生産に関わりたいなって思っているんだけど…それ以外だと青木君と行動してみたいかも。」
小首を傾けて上目遣いとはなかなかやるな…元々高杉さんは身長低めだから自然とそうなってしまうんだろうが…これがあざと可愛いってやつなんかねぇ。
「とりあえず最初は一緒に行動してみるか。俺も生産はほとんどやったことないし生産に携わっているNPCの知り合いも全然いないから教えられんが…平気か?」
「そこは探してみる。街の探索とか好きだし。」
俺らが話をしていると横から坂田さんが混ざってきた。
「いーなー!彩は!獣人族は近場にいないから抽選次第だもん!」
「当選発表は明後日だっけ?アップデート完了と同時にして欲しかったよね。」
「奈央、ほんとそれ!あーなんで日程ずれてんのー!そりゃあ抽選して当選したら個人情報を照合とかあるけどさ!」
さすがにフレンド枠と当選枠でずらさないと混雑するからだと思うぞ…人族なんてフレンド枠を全員が使ったら人数が倍になるし。まぁその場合は当選枠に人族は含まれないと思う。いくら何でも人数差を少しは整えるんじゃないだろうか?4:2.5:2.5:1って所かね、内訳としたら。下手したら人族は5かもしれんが…
「そう言えば青木君、魔族ってさらに種族がランダムなんだよね?彩ちゃんは何になるんだろうね。」
「ある程度本人の資質が反映されるっぽいぞ?よくあるロウ、カオスで更に分類されるんじゃないか?」
「あはは!彩なら変なのにならないと思うよ!それより青木君は種族何になってんの?」
「ん?俺はなんとかまともなやつになったぞ?魔人らしく、魔法が得意な種族みたいなんだが魔法使えないんだよな…」
せっかくの魔力もほぼ使い物にならないもんな…魔道具で補うしかないか。
「あ、魔族でもまだ魔法は覚えられないんだね。次の探索エリアで見つかると良いんだけど…」
「ほうほう!青木君が見かけた他種族ってどんなのがあるの?」
「ゾンビ、スケルトン、グール、ラミア…デュラハンや鬼、ミイラ男なんかもいたぞ?」
「…そう考えるとまともなの少ないねぇ。彩、今からでも他の種族にする?」
「大丈夫、どんな姿でも青木君は一緒に行動してくれるだろうし問題ない。」
流石に見捨てはしないよ…それに種族特性をある程度引き継ぐといってもゾンビに腐敗臭はしなかったし。
高杉さんはいったいどんな種族になるのか楽しみだな。