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第31話

 今日は大学が休みなのでサークルへ入っていない俺は食料品の買い出しと溜まっていた洗濯物を洗い終え、ゲームにログインした。




 ゲームにログインし終えると防衛拠点の宿屋で目を覚ます。外からは急ピッチで建築しているのかトンテンカンテンと音が絶えない状態であった。


「…さすがに今日はハル来ていないんだな。」


 良いとこのお嬢さんだしまだ安定化していないこちらへ来るのは禁止されているのかもしれない。膝枕分のバフは入っていないが宿に泊まったことで昼寝分は発動している。

 …これの条件も曖昧だよな。寝たらいいのか、気持ちよく寝れたらいいのか分からん…まぁ昼寝は気持ちよくするものだから変な体勢や環境だったら無理そうである。


 そうなると相乗効果が普段より弱いので散歩がてらに周りを見てからハルに貰った指南書でも読むことにするか。



 行動を決めた後、俺は宿屋からでて拠点内を散策していた。騒ぎつかれたのか道端には多くのプレイヤーが寝転がっているのが見受けられた。いつも思うんだがプレイヤーってなんで宿を使わないんだ?目に見えない恩恵があるのに…体感していないからなのか見えないステータスは当てにしていないのかどっちなんだろう。


 ちなみに俺が宿で休んだり食事をとる事で体感していることはスキルの上昇率と覚える速度だ。どちらか片方でも効果はあるのだろうが、俺は両方ともしているからスキルが育っているのだろう…飯塚さんから聞いたスキルの伸びから考えるとな。それ以外の要素として得手不得手や性格によっても違うんだが…

 

 こういうゲームは強いビルド構成が分かると真似をすると3人娘が話していたので自分に合ったものを選ぶことがないのかもしれない。俺としては我が道を行くスタイルのがストレスがなくていいと思っている。

 まぁそれもソロだから出来ることで、PTだと役割分担をしなければならず、それがビルド構成になってしまうんだろうな。そもそも、片手間に採取系で時間をかけるより戦闘系を伸ばしたほうがいいって部分も少なからずありそう。…宿に泊まったり食事をしていないならなおさら。



 すでに活動を開始しているプレイヤーは周りの安定化に努めるため、PT単位で外周を回っているようだ。そこまでみて俺は食事をとってから今日1日は宿でのんびり過ごすことに決めた。ほんとだったらせっかくの拠点地だから昼寝しやすい場所を探すのもありだったんだが、周りのプレイヤーの目が気になってしまうので諦めた。


 まずはハルからプレゼントされた本を読み耽る…


………

……

 分かったことは魔力は2種類あるとのこと。外気マナ内気オドの2種類でマナは人の外側のエネルギーで自然関連のものなので漂っている。オドは人の内部のエネルギーであり個々により色が違うらしい。

 それと読んでいて思ったのが身体強化も魔力を使うらしく気はないようだ。肝心なのは個々により違う魔力を内包しているので回復魔法を使う時に使用する魔力はマナじゃないと不調を起こすとのこと。

 そして、ユニーク魔法と呼ばれるものはオドを用いるので内包している魔力が多い人ほど自由度が上がるようだ。まぁ、この本に寄ればマナを変換したり、物質に魔力を溜めておいて使えばいいから重要じゃないみたいだ。マナでもオドでも同じ現象を起こすことは出来るがオドだと内包量により継続的に使うのが難しい。ならマナを使えばと思うが変換効率が1:1ではないので効率が悪いとされている。休息をとる際に無意識で変換するくらいのようだ。



 まずしなければいけないことは魔力を感じる事、これが難しいらしい。確かに未知の感覚を掴む必要があるからな…訓練法としては瞑想をする、余計な力を抜く、流れに身をゆだねる等言われているらしいが、ハルによると思いっきり体を疲れさせて横になるのが重要らしい。

 理由としては体(筋肉)を回復させるのを早めているのが魔力であるらしい。ただし、これは魔族という種族特有のものなので人族や獣人族ではプロセスが違うと書かれていた。


 なるほどな、俺はどんなユニーク魔法を覚えるんだろうか?ユニークは必ず発現するわけではないが期待してしまう。ただ、ユニーク魔法を覚える条件も細かくあった。まずは魔法の知識が必要、魔力の認識、そして重要なのが魔法をラーニングで覚えていない事。他人の魔法を身で受ける事で魔力を認識し、魔法を覚える事が出来るのだが個々の色が上書きされてしまうようだ。

 ならユニークを覚えてからも魔法を受けてはいけない、とはならない。理由としては自分の色をしっかりと覚えるかららしい。ラーニングで覚えるのは楽なのだが頭打ちになるのがデメリットのようだ。受けた魔力に染まるので受けた魔法の系統に適正が傾き他の属性が極端に使いづらくなる、オドとマナの区別がついていないのですぐ息切れ(魔族の場合は肉体的疲労)してしまう、魔法を受けても適正を得るだけで覚えるのには反復練習が必要。



 最後まで読み切ったが…これ、プレゼントされていなかったら取り返しのつかない要素が沢山含まれていてビックリした。まぁなんにせよ、魔力を認識するところから始めないといけないのでちょっと走ってくるか。


 俺は宿屋から出て防衛拠点と初期の街を走って往復することにした。拠点が出来たことで街道に魔物が現れる確率が極端に減ったらしい。ただし、少し脇道に出ると普通に出会うので討伐を目的にしているなら道から外れればいいとのこと。ちなみに、拠点には立て札が掛けられていて街と拠点の名前を募集しているようだ。…初期の街にも名前なかったのか!



 1往復したというのになぜか体は疲れてこない。そして爆走している俺をプレイヤーや門兵が奇異の目で見て来ることの方が心にきてしまった…ナイトバットを倒したときは体に疲れが出ていたからちゃんと疲労は感じるはずなんだが…


 2往復目、現実の俺ならすでに筋肉痛になったり息切れを起こしているはずなんだが、関節や筋肉の痛み、心拍数の上昇等見受けられなかった。門兵には流石に不審に思うだろうしなぜ走っているかの説明はしておいた。2往復目ではプレイヤーは見当たらなかったので先ほどのはイベントが終わったから拠点を移動する連中なのだろう。


 3往復目、流石にこれはおかしいと思い走りながら考えているのだがそういえば昼寝の効果は一時的にステータスアップだっけ。全てのステータスが上がっているからこれだけ疲れないのか?…いや、ナイトバットのときは膝枕の効果もあったからそれはないはず…もう少し続けてみよう。




 10往復したところで俺は初期街の宿屋に戻ってきていた。うん…結局疲れなかったことに疲れてしまいベッドの上に横になった瞬間…


「やっほー!元気!?…あれ?ナオヤ、いつの間に魔力使えるようになったの?しかもそれマナだよね?」


 ハルが乱入してきた一言目を聞いて俺の苦労はなんだったのか考えさせられた…

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