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第30話

 2往復したところで外壁から勝鬨が聞こえてきたのでプレイヤー達がサイクロプスを倒したのだろう。NPC達はすでに次の準備をしているらしく宿屋や食堂の建築に乗り出していた。流石に初期の街から1日以内で移動できる場所だからなのかギルドは作らないという話は聞こえてきた。


 プレイヤー達が街の外から戻り、大量に解体した猪の肉を調理した串焼き、ステーキ、酒などが無料提供されたので皆で祝勝会が開かれているようだ。ただし、俺も混ざろうとしたのだが誰だあいつ?みたいな視線をやはり受け、輪の中に入ることが出来なかった。

 まぁ…戦いに参加した人らは全員仲良くなっているみたいだからこれからの攻略に関してはプラスなんじゃないかな?これが戦友って感じなのかもしれんね。こういう時、ソロ活動している弊害って形で表れるよなぁ…ま、今の生活に不満はないがあからさまにこういう態度を取られるとゲームしていても嫌な気持ちが出てしまうのは仕方ない…か。


 リーダーとは話す仲だとしても組織が大きくなるにつれ下の人達はリーダーの意向を無視したり暴走するのが人の性…か。組織が有名になればなるほど人は変わってしまう…



「おう、どうしたそんな辛気臭い顔して。こっちで一杯やろうぜ!」


 仮設の食堂から声を掛けてきたのはグルであった。その隣にはあの魔女さんがいた。


「あら?さっきの外国人の方じゃない。活躍したって聞いていたのに暗い顔してるわね。」


「えっと…単に他の集団に入りにくくてな…それより2人は雰囲気からして知り合いなのか?」


「おう、俺の嫁さんだ別嬪だろ?惚れるなよ?」


 そんな脅すような事言わんくても俺は惚れることないぞ?


「外国人は同じ組織にいないと排他的と聞いていたがほんとなんだな。ナオヤは十二分にしっかりと役割をこなしていたと思うんだが…」


「あなた、その役割を見ていない人には伝わらないわよ。ナオヤさんのこなした仕事はこれから先に実感出来るものが多いの。特に食料や資材に関して。ナオヤさんが力を貸してくれたからこうやって無料で振る舞う事が出来て建物にも着手することが出来ているのだから。」


「そうだな。俺達からすると早いに越したことないからなぁ…店を構える側の予定もあるしな。」


 やはりこうやって評価してくれる人がいるだけでも嬉しいもんだな。華やかな仕事だけでは世の中回っていない典型だが、現実でも必要と思われる仕事ほど給料に反映されないと聞いたことがある。


「ま、こうやって分かってくれる人がいるだけで報われるさ…あのグループのリーダーと親しいと言っても1度話したことがあるだけだからな。」


「それでもある程度交流はすべきだぞ?敵を作らないという意味で必要になってくるからな。ここに来ている者達はここを拠点に動く事になるだろうし、向こうの街には新たな住人が増えるだろうから、先輩として指導したらとっつきやすいんじゃないか?」


 え?そういえば最初に肉を届けに行く際に食糧難にならないようにーって言ってたが、それは外国人が増えることを意味していたのか!?いや、そうとは限らないか…NPCがこちらの拠点に来て向こうの街にも補充されるって考えられるが…聞いてみるか。


「なぁグル、それって外国人が増えるって事か?俺達としてはなんにも聞いていないんだが…」


「あ?そうなのか?土地が増えるってことは領民を増やしても大丈夫ってことだろ?まぁ確かにここは急ピッチで建築しているが…なぁ、そうだよな?」


 グルは奥さんに確認している。


「ええ、領主様から指示されたからこそ食料と建材の確保が必要だったのだし。外国の方が街に現れるって創造神様に言われたんじゃないかしら?」


「向こうの街も外国人の受け入れや問題点の改善が形になったから時期的に問題ないからな!まぁ…だからこそナオヤは先達として向こうを拠点に指導するのもありなんじゃねぇかって思ったのさ。」


 グルってかなり面倒見がいいよな…正直その意見は助かるんだがプレイヤー心理からすると…


「それもいいかもしれんが難しいんだよなぁ…大きい組織が更に人材を確保するために新人を勧誘することになると思うぞ?後…魔族側に来る人が急激に増えるとは思えない…」


「あー、それもそうだな。んまぁナオヤみたいな奴もいるだろうからそういう奴を支援するのはありなんじゃねぇかな。話によると人族がかなり多いらしいな、国としてまとめあげるにはかなり時間を要するだろう。そう考えると魔族は少数精鋭ってとこだろ?ま、隣を比べるより自分らのとこを良くしていくべきだ。」


 ほんとグルは視野が広いというか上に立つ者の目線で見ているよな。俺もグルの意見と同じ考えだし、他のプレイヤーがやっていない所を補強出来ればと思って細々と活動しているわけだしな。他と違うプレイスタイルだからこそこういう機会があると考えると分岐していくゲームって楽しいんだなと思える。自分の選択した行動により変化していく世界…面白いよな。





かみ転魔族総合掲示板


708:転生せし魔族

防衛戦お疲れ様ぁぁぁぁ!


709:転生せし魔族

長く険しい戦いだった…


710:転生せし魔族

終わってから言うんだが…よくクリア出来たな…


711:転生せし魔族

騎士団がリーダーを引き受けてくれたってのがでかいんじゃね?

指示が的確だったし


712:転生せし魔族

あれは絶対他ゲーで慣らしてきた奴だよな


713:転生せし魔族

指示は的確だし戦果としてきちんと出てるけど、騎士団の奴らの上から目線がうざったい


714:転生せし魔族

わかる

だから不死者と鬼人組も個々で場所受け持ってたんだろうよ


715:転生せし魔族

ソロの人が騎士団のリーダーに話しかけようとしたらあっちいけって言われているの見て泣いた


716:転生せし魔族

それ見た

祝勝会でも輪に入ろうとしたら追い出されてたよ


717:転生せし魔族

ちょっと覇権とるクラン変わってくれませんかねぇ…せめて上の者が下を抑えて欲しいぞ?


718:転生せし魔族

せっかく人数が少ない魔族で頑張っているのに一部が暴走すると全体に広がるから辞めて欲しいのはある


719:転生せし魔族

ま、まぁせっかくの祝勝会だし振り返って行こうぜ!

最初のウェーブ戦はきつかったなぁ


720:転生せし魔族

明らかな話題逸らし、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

しかし乗ってやろう

全体的に途切れないウェーブ戦だったが何より助かったのは補給線がしっかりしていた所だ


721:転生せし魔族

普通は死んだら金も装備も全ロスとで復帰なんて無理なんだが支給品を一時的に貸してもらえるもんな


722:転生せし魔族

PTが全滅していなければ壁まで戦線引いたところまで持ってきてくれるし、至れり尽くせりだった


723:転生せし魔族

まぁさすがにロストするやつもいたが武器は数打ちが無料、防具は初回無料だから慎重に行動すれば問題なかった


724:転生せし魔族

それでも最後のサイクロプスは強かったなぁ


725:転生せし魔族

丸太を武器にされていたもんな…

近接仕掛けていた奴らが吹っ飛ばされるのを何度見たことか


726:転生せし魔族

近くで見ていたけど恐怖だよな…

なかなか思うように近づけなくて長引いたし


727:転生せし魔族

遠距離攻撃出来るやつがいなくてなぁ…

エルフ族だったら相性いい敵だったんじゃね?


728:転生せし魔族

そういやこれで魔法が解放される可能性があるんだっけか


729:転生せし魔族

そういう話が人族からあったな

確定ではなく推測ってとこだったが


730:転生せし魔族

そう言えば初期街に新しい依頼出てたぞ?

残党討伐の依頼で達成率が書かれていた


731:転生せし魔族

あー、確かに防衛しただけだもんな

こっから周りの安定化ってとこか


732:転生せし魔族

弱体化したサイクロプスが徒党を組んでこなければいいんだが…


733:転生せし魔族

おい!やめろ!フラグ立てるな!

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