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第28話

 結果から言うと防衛戦は辛勝となり、無事に防衛は成功した。その決め手となったのはNPC達からの支援が厚かった為、人数が少ない魔族プレイヤー達でも乗り越えることが出来たのであった。


 ナオヤが防衛戦で何をしていたかと言うと…



「おう、ナオヤ次はこっちの木材を回収して行ってくれ!その後はここにある土嚢を向こうの木壁の裏に置いてくれ!積み上げは担当の奴らに任せてまた戻ってこいよ!」


 護衛の時に同じグループだったグルにこき使われていた…なんでも外国人の持っているかばんが、同じ素材ならスタックしてまとめられるのでNPC達のより優秀だからだ。

 俺だって少しは戦闘に参加しようとしたんだぞ…?ただ、まとめ役をしていたディンに声かけられる雰囲気じゃなかったんだよな…なんていうか、お前みたいなソロプレイヤーはお呼びでないって周りに威嚇された感じ。

 俺としてもイベント前にもめごとを起こしたくなかったから無理に話そうとせずに離れて出来ることを探していた所へグルからお呼びかかったというわけだ。


 防衛拠点周りの木をグル達が伐採し、他の人が土を掘り起こし堀を作り、俺が木材を採取し拠点が囲めていない箇所に運び、木壁が立った裏に土嚢を置き、他の人がその土を使い壁の強度を上げていく作業をしている。ただし、この中で外国人は俺だけなのでかなり忙しい。


「お、ナオヤじゃねぇかお前もこっちに来ていたのか。」


 俺が木材を回収しに戻っている途中で声を掛けてきたのは武器屋のおっちゃんだった。

 

「あんたもこっちに来ていたのか、店はどうしたんだ?」


「倅に任せて来たわ。こっちで対処したほうがいい事が多いだろ?数打ちの武器を用意してきたぜ、修理中の代用品にしちゃ十分だろ。」


 あー、確かに数打ちの武器があればタイムラグなしで戦闘が出来るのか。あとは死に戻った際の装備として支給してくれるそうだ。まぁ何度も支給されたらイベント後に借金という形で残るみたいだが…


「だが修理するにも素材が必要だろ?全体の装備を見ると鉄製だが外国人は持っているのか…?」


 俺が疑問に思ったことを聞いてみた。


「今回は国側が負担してくれるらしいぞ?鉱山が正常化したからそのおかげとも言っていたから問題ない。」


「そうなのか…そう考えると素材がなかったらこの防衛作戦も破綻する所だったな…武器がなくちゃ追い払う事も出来んし。」


 まさかあの鉱山が第一チェックポイントをクリアするための条件だったとはビックリした…ただ探索範囲を広げるのではなく、ギルドの依頼や噂話を入手することで解放されるフラグがあるってことだよな?それをクリアしないと防衛戦での支援が薄くなり、敗北する確率が高くなるって事かぁ…

 これ、情報を流したほうがいいのだろうか?といってもどれが条件か分からんから確種族のスローライフを楽しんでいる層に発見してもらうことにしよう。


「っとすまんな忙しいのに話しかけちまって、お互い頑張ろうぜ!」


 おっちゃんにそう言われてお互い目的の場所へ移動した。




「よし、これでラスト!ナオヤ、それ運んだら壁の内側の足場作りだ!…って弓は扱えるのか?」


「いや、弓は練習していないな…」


 こういう時の為に遠距離攻撃手段をとっておいた方がよかったか…といっても武器種を増やすとそれだけ各武器のスキルを成長させるのが大変だから絞らないといけないのだがどうしたものか…一応、魔法を覚えたら遠距離の手段は増えるが、詠唱が必要になるだろうし槍で攻撃しながらの魔法は厳しいから物理での遠距離手段も欲しい所。


「あ、この槍に縄を付けて投擲したらどうだろうか?一応縄が切れなければ引き戻すことは可能な構造になっているんだが…」


 俺が槍を見せながらグルに問いかけた。


「んまぁ射程は短いだろうが槍のスキルも持っているだろうしやってるうちに投擲スキルも覚える可能性があるからありっちゃありだな…殺傷力でいったらナオヤの筋力次第では致命傷を与えられるだろうし。」


 グルは思案しながら答えた。


「連射は出来んから矢の合間を抜けてきたやつを狙ってくれや!とりあえずその木材と土嚢を置いてきたらこっちに戻ってきてくれ!」




 すでに他のプレイヤー達は防衛地点から離れた場所で戦闘を開始しているのか死に戻りをしたプレイヤーを多く見かける。ただ、その後の行動は迅速で最初から指示があったのか4方向に何人かのグループで分かれ索敵をしているようだった。

 

 ちなみに装備は支給品の武器とプレイヤーが今まで狩ってきた魔物の素材を使った防具が支給されている。話によると防具は1度限りの支給らしいのでなるべく死なないようにと指示もあるようだった。

 やはりこの辺りリーダーがきちんと方針を決めているのが大きい。ただでさえ魔族は人数が少ないから死に戻り後の行動の速さで戦況に大きく影響を与えてしまうからな。



 とりあえず俺は自身に与えられた仕事を全うするために木材と土嚢を置いてきた。


「ナオヤ戻って来たか!まだこっちには魔物は現れていねぇみたいだがいつ来るかわからんから足場を組んでいくぞ!加工はもう済ませてあるからパズルみたいにこの木材を組み立てていくんだ!」


 おぉ…釘を使わない建築のやつだ!木組みって言うんだっけか。ゲーム内の時代だと同一規格品を作るのが難しいだろうからこういう技術での組み立てなんだろうな。

 俺が一人で感動しているとグルから急げ!と指示が来たので運んでいく。ものの10分くらいで50mに渡り足場が組み立てられ、俺達後方組は足場の上に乗り待機した。


「今のところ、戦場はどうなっているんだ?」


 俺はグルに今の状況を聞いてみた。


「とりあえず善戦してるみたいだな。戻ってくる外国人も少ないし他の方角から攻められていない。このまま何事もなければいいんだが…」


 あ、それ絶対フラグ…


「グル、俺が相手の指揮官だったら一方に戦力を集中させている間に裏取りに動くと思うんだが…あと、わざと敵を倒さないようにして死に戻りをさせないとかな。だがあ、これは俺達外国人の特性を知っている場合だからそれはないか。」


「ま、今回攻めてきている魔物に外国人の特性まで分かるほどの知性はないだろうな。あるとしたら裏取り「て、敵がきたぞおおお!」やはりか!!全員戦闘開始!よく狙えよ!第1部隊発射!」


 部隊を何組かに分け、常に矢を撃ち続けられるようにしているようだ。俺はその波状攻撃から抜けてきた敵に向かって槍を投げる。まだまだハルのおかげで発動したバフの時間が残っているので抜けてきた猪は一撃で倒すことが出来た。


「ひゅー!やるじゃん!ナオヤ、その調子で頼む!第3部隊発射!」


 そして本格的な戦闘が始まったのであった。

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