閑話1
これはナオヤが講義室から退出した後、残っていた3人娘がおしゃべりしていた時の事である。
「そういえば彩ちゃん、魔族でほんとに始めるの?最初は人族でする予定だったけど…」
「うん。人が多いのは攻略に便利かもしれないけどあれやれ、これやれって苦手。」
「流石にそこまで強要してくる奴はいないと思う…けど同調意識とか持たれるとやっかいかも!彩ぁ、魔族に移る理由はほんとにそれだけなのかにゃ??」
「え、え?彩ちゃんもしかしてそうなの!?」
「話してみて気が合うなって感じるけど特別な感情はまだない。自由気ままにゲームを楽しんでる姿が眩しいって思った。」
「まだ、だって奥さん!」
「久実…その奥さんってなんなの?それに彩ちゃん、青木君は強敵だと思うな…」
「ほんとよねー、私らと話せたら嬉しいって思う男共多いのに見向きもされないのは悔しい!」
「ガツガツしてこなくて私的にはプラス、久実や奈央みたいにむっちりしてないのが悔しい。」
「むっちりっていうなし!太ってないから!」
「わ、私だって太っているわけじゃないよ!胸のとこが最近窮屈になってきたけれど…」
「まだ成長しているの!?少し欲しい!ちょうだい!」
奈央と久実がじゃれ合っているのを彩は自分の体を見下ろし手を胸のところに当てると、奈央を恨みがましい目で睨んだ。
「男はやっぱ奈央のようなのが好み?」
「胸が嫌いな男はいないだろうしそうじゃない?女から見ても羨ましいもん!でも彩みたいにちっさくてスレンダーなのが好きな男もいるでしょ?」
「そうだよ。隣の芝生は青く見えるって言うでしょ?久実そろそろ止めてって!」
「はいはい!ま、容姿で寄ってくる男はそもそも願い下げ!」
「そうだね…でも第一印象ってなると見た目がほとんどを占めるんじゃないかな?ほら、お互いなにも知らないと清潔そうくらいしか分からないし…」
奈央が言葉を区切った時にクラスメイトの男性3人が近寄ってきて声を掛けてきた。
「な、なぁ俺達これからカラオケにいくんだけどよ、2年になって講義にも慣れて来たし親睦を深めるってことで一緒にいかね?」
「そうそう、せっかく講義終わったんだしハメ外してはっちゃけようぜ!」
「費用は気にしなくていいぜ!元々他の奴が来る予定だったんだがドタキャンしたからそいつらが負担してくれるしな。」
そう言われ、奈央達3人は顔を見合わせため息をついた。
「あーしらはこれからテスト勉強すんの、遊びはアンタらで行ってきたら?」
久実が代表して断り、講義室から3人そろって退出した。後ろから舌打ちとなにやら呟きが聞こえてきた。
「っち!誰だよあの3人組は攻略が楽そうだと言った奴!恥かいたじゃねぇか!」
「見た目からして遊んでるっしょあいつ等、クラス内でも俺達以上に行けてる奴いねぇだろ?」
「単に本当に用事があったんじゃね?無理して誘うよりじっくり行こうぜ、それにしても飯塚、ほんと良い体してるよな?触りてぇ。」
その呟きが3人に聞こえているとも知らず、好き放題言っていた。
「とりあえず、あいつ等みたいな勘違い野郎は勘弁でOK?」
「う、うん…ほんとそうだね…でもこう考えると仲良くなるって難しいんだね。」
「そう、波長が合うの重要。なんとなくは分かるけどお互いそこから接していかないとダメ。恋愛まで考えるなら受け身だと報われない事が多い。」
「彩、それは経験談かにゃ?」
「違うけど一般論。草食系が多いだろうから女性までそうだと何も始まらない。」
「なるほどねぇ…ま、わたしゃ恋愛よりゲームのが今は大事だな!
3人娘はお互い恋愛についての考え方を語りながら図書館へ向かっていった。