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第26話

 ゲームにログインすると、いつものように後頭部に柔らかい感触が感じられる。俺は少しずつ目を開け、体をゆっくりと起こし毎回言っているセリフを言う。


「おはようハル、毎度言っているが意識ない時にされるより起きている時にしてくれたほうが嬉しいんだが…」


 そう言うとハルはにへらぁと笑いながらごめんごめんと言った。くそう…かわいいじゃん…


「ま、まぁ…ハルが膝枕してくれたおかげで前回は助かったんだがな…ハル、いつもありがとう。」


「あ、そうそう!ナオヤ大活躍だったんでしょ!?噂で聞いたよ!何時間も前線維持してたって!」


 噂話ということは誇張されていると思ったが案の定だった…俺はそんな大したことしていないし代わりが出来る人もいるだろう。


「でも、その場ではナオヤしか出来なかったんだよね?きちんと行動に起こせてそれを成し遂げるって凄いことだと思うよ?」

 

「まぁ…そうなんだが。しかし俺がやっていたことは槍で隙間から攻撃していた位だからなぁ…ジェイドの仲間が大げさなんだよ…」


「あはは…命の危機から救ってくれたならそうなっても仕方ないと思うな。あ、そういえば鉱山の安全性が確認出来たみたいだからそれに貢献したナオヤに恩賞があるよ!」


「…あんまり目立つようなことは避けたいんだがな…俺達外国人は嫉妬深かったり欲に目がくらんだりするし。」


「ナオヤの生活見てたらのんびりを楽しんでるって分かるから大丈夫だと思うよ?最初は表彰まであったんだけど、そうなると参加しないでしょ?」


 そう言われて俺はうんと頷いた。流石にそれはなぁ…


「その辺り領主もきっとわかっていると思うから大丈夫だよ!にひひ、安心してギルドでどんな内容か聞いてみてね?」


 教えてくれないんかい!まぁ…ギルドからしたらネタバレされてって思うかもしれないから仕方ないか。



「了解、それならちょっとギルドへ出掛け「ちょっとまって!」て…?」


 俺が出掛けようとしたところをハルが呼び止め、何かの本を手渡してきた。


「こないだ創造神様に会う機会があった時に教えてもらったんだけど外国では女の子と仲良くなったらイベント?っていうのが発生してプレゼントを渡すんだよね?今回のことで僕の好感度が上がったからね!」


 そう言って渡された本をみると魔法に関する教材であった。著者を見るとハルになっているし中身は全て手書きで図解を入れて理解しやすい構成になっていた。

 それにしても…創造神様と会う機会って普通あるのか?…良いとこのお嬢さんな感じは前からしていたから巫女なのかもしれん…似合わないけど。しかも間違った知識というかゲームの知識を広めるんじゃありません…


「あ、ありがとう。教材欲しがっていたの覚えていてくれたのか。しかも手書き…大変だったろ?というか、イベントは単なる渡すきっかけが欲しかっただけなんじゃ…?」


 俺が聞くとハルは笑うだけだったが間違ってはいないようだ。


「にひひ、何かきっかけがあったほうが渡す理由にもなるし会いに行く口実にもなるからね!それじゃ僕はこの辺で戻るねー!また会いに行くからね!」


 そう言ってハルはその場から消えた。転移の魔法か…?前に魔法が得意って言っていたけどかなり高レベルなんじゃ…?俺もこれを読めば魔法に関して理解度が深まり使えるようになるのかもしれん。

 ログアウト前に勉強を進めてみるか。それより、最近ステータスを見ていなかったから確認するか。


名前:ナオヤ

種族:マジン

スキル:【気配察知】Lv2 【隠蔽】Lv3 【膝枕】Lv5

    【昼寝】Lv5 【採取】Lv3 【解体】Lv2 【槍術】Lv1




 ほうほう…結構スキル育ってきてるんだな。飯塚さんの話を聞く限りスキルの熟練度は上がりにくいみたいだが…環境や個人の傾向で変わるから当てにならんか…

 それにしても、いつのまに膝枕や昼寝がこんなに伸びたんだ!?Lv5で半日持つようになってるのがやばいな…MAXがLvいくつなのか分からないが。


 なにはともあれ、まずはギルドに行かないとダメだよな。







「はぁ…ナオヤ、すっごく成長して来てる。外国人は成長が早いって言うけどそれでも驚くほど伸びていてビックリしたなぁ。鉱山で沸いたナイトバット、討伐難易度でいったらCランクでGランクのナオヤだったら厳しい状況だったけどそれをひっくり返す状況判断の速さとリーダーシップ…かっこいいなぁ。

 感覚的に僕が強いって分かっていると思うけどそれに頼らず解決するんだもん。惚れるなって言うほうがおかしいよね。」



 僕が妄そ…ううん、考え事をしていると影からメイドのミオルが現れていた。


「オージュ様、絶対街中でそんな顔しないでくださいね?子供にしか見えない領主だとしても皆から尊敬されているんですから。」


「僕は子供じゃないって!…そんなにダメな顔してた?」


 僕が恐る恐る聞くとミオルはうんと大きく頷いた。


「すっごく気持ち悪かったです。他人のふりをしたかったのですが主ですし仕方なくお声がけしました。」


「うぅ…き、気を付けるよ。ねぇねぇ!ナオヤってす…仲良くしてる人知ってる?」


 僕は危うく好きな人と言いそうになったのを言い直した。一目見た時から気になって、成長が楽しみになって…だんだん成長していく姿が眩しくていつの間にか好きになってしまっていた。


「ナオヤ様ですか?オージュ様が一番仲いいんじゃないです?」


「もぉ!それ以外だよ!」


「ん-…それ以外でしたら道具屋の主人が仲良いんじゃないです?結構あの店に通ってらっしゃいますし。」


「え、ナオヤってそっちの趣味…?」


 僕が小声でつぶやいたのがミオルに聞こえたのか肩をすくめた。


「さすがにそれはないでしょう…オージュ様に膝枕をされて照れていますし、受付の子や備え付けられた食事処の給仕とも仲良いですし。」


「え…?意外とナオヤってモテるの?」


 僕は不安になり、言葉に出してしまった。


「どうでしょう?ただ、仲が良い女性はオージュ様みたいな容姿の方が多いですね。少女が好きなのかもしれませんよ?良かったですね。」


「いや!確かにそれは嬉しいけど言い方!僕はこれでも皆より年上だよ!そもそも、受付の子は3人いるけど関係は良好なんでしょ?なら違うかもしれないじゃないか。」


「まぁそうですよねぇ…ただ、一度街中で襲われたことがあるらしく念のため様子を見ていたことがあるのですが、成熟した女性を避ける傾向はあるかもしれません。」


 ミオルの言葉でナオヤは少女が好きという考えを決定してしまった。


「ただ…本人は無意識のようですから何かトラウマがあるのかもしれませんよ?しかもそういう女性を避けるということは恋愛に関して…」


 そっか…心の奥底で女性に恐怖しているのかもしれない。そういえばナオヤが街中で襲われた件について警備から報告が上がっていたけど、それも主犯が女性だったっけ。うぅ…ナオヤがもっと女性を苦手になったらどうするんだい!ま、まぁそのおかげで少女には無条件で優しいんだからありなのかな?


 ただ、好き好きアピールをしてしまうと少女の見た目だとしても避けられちゃうだろうから気を付けなければ!ナオヤから積極的になってくれることはないだろうから少しずつ距離をつめて行こうっと!

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