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第24話

 「おい!あんた、こんなロープじゃナイトバットの大群が来たらすぐ破れちまうぞ!?土とか盛った方がいいんじゃないか?」


 安全性を考えるならばそのほうが良いんだろうが、脅威が去るわけでもないし唯一鉱石が採れるこの鉱山を封鎖するわけにもいかないから倒すしかない。

 

 そもそも、鉱石を採りにくるプレイヤーがいないってことは防衛戦での拠点耐久値とか低い可能性あるよな…石を積み上げるのは時間が掛かるだろうから木の壁だろうし…城壁とまではいかないが壁を作るなら支柱にする金属があったほうが強度が増すから必要だよな。

 装備面でも修理に素材必要だし、素材が豊富なら支給品が出て来る可能性もある。NPC…住人の事を考えると領地が広がったほうが良いから支援として用意してくれるんじゃないだろうか。



 結局、この鉱山を抑えなければ防衛の成功率が低くなってしまう。その為にはこおでナイトバットを殲滅しなければいけない。

 ロープを張ってもらったのは内から外に出さないのはもちろんなのだが、外から攻撃するために網目状に張る必要があったんだ。ということで…


「槍を持ってる奴はいるか?あとは耳栓…綿を耳に詰められるように出来るか?」


 俺が言ったことを理解したのか鉱夫達は目に闘志を燃やし始めた。


「槍はないが弓ならあるぞ!流石に槍を持ち歩くにはかさばるからな。大丈夫さ、あんたに当てないよう気を付けるさ。」


「そこは信用しないと何も出来ないな…あとは倒した敵を回収しないといけないんだが、矢を撃っている時に俺がすればいいか。外国人のかばんなら近くなら収納することが出来るしな。ただ、容量的に全部入れれないから回収したものを脇に出していくことにする。」


 俺が言い終わったのを確認してから鉱夫達は準備を開始した。



 鉱山の奥から音が反響して聞こえるようになってきたので、もうすぐナイトバットが現れるのだろう。


「もうすぐ第一波が現れるぞ。まずは弓で攻撃、魔物がロープまで来たら俺は横から槍で攻撃する。他の奴らはそのまま弓で攻撃を続けてくれ、ただ一人だけは俺の近くで回収したナイトバットをどけてってくれ。」


 俺が報告したことで全員緊張し始めたが距離をとって攻撃ができ、尚且つ討伐した魔物の素材を回収出来るので懐が温かくもなる。それに、この討伐が終われば今まで探せなかった広大な横穴で鉱石を採掘することも出来るようになるので意気込んでいた。


「来たぞ!撃てー!!」


 鉱夫達は一斉に弓を構え掃射した。


 俺は俺で自分の役割をしっかりこなすとするか。

 まずはロープに取りついたナイトバットを一体一体処理をする。その際に羽ではなくしっかりと胴体を狙うようにする。

 聞いたところによると羽は素材として優秀であるとのこと。他に取れる素材としては牙が薬の素材になるらしいのでなるべく傷がつかないように胴体を狙ったほうが素材の状態が良く、高く買い取ってもらえるのだ。


 とにかく入口が塞がって光が入らなくなるのを防ぎながら死体を回収しては横にどけ、槍を突いては死体をどんどん回収していった。ちなみに矢はかばんに一緒に入ってスタックしていくので矢が切れることはないだろう。

 他にも工夫は加えてある。この世界には鏡が普通に普及されていたので外から光を送り込むようにしているのだ。どこから鏡を調達したかというと鉱夫達が持っていたのだ。自分の顔色を確認したり髭の伸びで時間を確認するのが便利なのだとか。



 こうして俺達は長時間かけてナイトバットを攻略していった。こうやって文にすれば楽そうではあるが、相手の土俵でいかに戦わないかが重要なのだと改めて思わされた。


「はぁ…はぁ…もう、でてこん、よな?」


「俺、こんなに弓を射ったの初めてだ…」


「腕が上がらねぇ…」


 鉱夫達は疲れからか地面にどしんと座り込んでしまった。俺も立っているのがもう限界なので同じ様に地面に座った。


「た、大量だったな…こんなにいるとは思わなかった…」


 俺が呟くと周りの鉱夫達も頷いた。


「横穴にいかんようギルドから警告があったから素直にきいた自分を褒めてやりたいぜ…いままでずっと繁殖を続けて増えたんだろうな。」


「しっかし、あんたのおかげで犠牲を最小限にとどめられてよかったぜ…前は崩落で何人もやられたからな。アクシデントがあってこれなら大金星だ!」


 流石に被害を0に抑えることはできないからな…今回だと魔物の巣を掘り当ててしまった鉱夫は助けることができなかったし。全てを助けられるとは思わないから被害を少なく済むようにこれからも気を付けなければ。


「とりあえず、ギルドに報告しに行くか…安全性の確認も探索者を雇わないといけないだろうし…それにこのナイトバットの素材も持ち込まんとな。」


 そう言って俺は山積みになったナイトバットを見上げた。解体は流石に並行して進められなかったからな…みんなで限界までかばんにつめ、鉱山を後にした。



 俺は鉱夫達とともにギルドへ入りどうするか決めた。


「とりあえず俺は受付嬢に報せにいくが、採掘の責任者も状況説明についてきてくれるか?」


「それなら俺が行こう、一応こいつらのまとめ役だからな。」


 彼は長いこと採掘に携わっているらしく、ゾンビ娘のベリルさん推しなのだそうで、そちらへ並んだ。


「ナオヤさん、それにジェイドさん、どうしましたか?」


「鉱山からナイトバットが溢れて1名犠牲になった。一応外に向かってくるやつは全て倒したが中までは確認できていないから探索者を募って欲しい。溢れ出た状況はこっちのジェイドに聞いてくれ。俺はナイトバットの討伐から参加だったからな…」


 俺が答えるとベリルさんは目を伏して残念そうに返事をした。


「そうでしたか…ジェイドさん、詳しい状況を説明してくれますか?」


「あ、あぁ…俺達は横穴を避けつつ採掘を進めていたんだが、犠牲になった一人が大穴を掘り当ててしまってな…そこから急にナイトバットが大群で現れたんだ。

 俺達はそいつが犠牲になっている間に無我夢中で逃げたんだが横穴からも羽音が聞こえてくるんで2つの穴は繋がってたってことなんだろうな…俺達が出口につくとナオヤがいてな、そこから鉱山から出て来る奴らを掃討する流れになったんだ。」


「俺は出口を封鎖したり槍で突いていただけだがな…」


「そんなことねぇ!それは俺達が証明してやる!あんたは作戦を考え、被害を最小に抑えてくれた!」


 そう言われると背中がむずかゆくなってしまうな…


「わかりました、鉱山は後程探索者を集い安全を確認致します。それと…ジェイドさん、流石に私でも胸を凝視し続けられたら怒りますよ。次から他の人が報告しに来てください。」


 ジェイド、何してんだ?ミノタウロスで背がでかいのに今はその背が煤けてるぞ。


「ほれ、とりあえず他の鉱夫が解体現場に持っていっただろうから俺らもいくぞ。そう泣くんじゃねぇ…自業自得だろうが…」


 そうして俺らは素材を届けに解体現場へ向かった。

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