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第22話

 UIからクエストを確認してみると流石にすぐ始まるわけではなく、現実世界で2日後の夜から開始になっていた。領土拡大にともない前線基地の作成をしなければならないが、結界が完成するまで防衛するとのこと。死んだときの復帰場所は前線基地になるらしいが、任務が失敗した場合はフィールドボスが少し強化されるらしいので失敗は出来ない。

 そもそも、俺はフィールドボスを倒していないんだが参加出来るのかね…?魔族全体イベントっぽいから大丈夫なんだろうが不安だ。そう考えると、ボスは初回しかいないのか?


 防衛ってことは柵が必要なのと、遠距離攻撃が出来るとよさげかな?弓はいまからスキルを上げるのは厳しいから投擲?しかし…戦闘職ってわけでもないやつが投擲でヘイトをとってしまったら不味いよな。

 うん、考えがまとまらないからとりあえず今日は落ちとくか。明日大学で大規模戦って普通はどう対処するのか聞いてみるかな。



 いつものように講義室の席に座り、机に伏せながら始まるのを待とうとしたら後ろから声がかかった。


「青木君!魔族が一番にボス突破したみたいだね!おめでとう!」


 声を掛けてきたのは飯塚さんで、坂田さんと高杉さんも並んでいた。


「うちらに目もくれず寝ようとするなんて変わっているねぇ…」


 坂田さんが飽きれた顔をしていた。いや、そう言われてもマジマジと見るのはなんだか恥ずかしいしこちらから積極的に関わろうとは思わないからしょうがないだろ…


「魔族の話聞いてみたい。私、2次募集があったら魔族でしたいから。」


 高杉さんは魔族志望なのか。飯塚さんが人族で始めているから一緒の所を選ぶと思っていたが…


「うちは獣人族が気になる!別種族でPT組めるようになったら色々戦闘に幅が出るだろうし!」


 なるほど、そう言う事なら納得。現状では他種族と組むことが出来ないがそのうち隣の地と繋がっている場所が開拓される可能性もあるからな。


「といっても俺は敵とほぼ戦っていないぞ?昨日、ゲーム内で攻略組っぽい奴らが討伐に向かったのを見かけたくらいだ。」


「えぇーもったいなくね?せっかくリアルなゲームなんだから冒険してみたほうがいいじゃん!攻略組とかカッコいいよなぁ!」


「く、久実ぃ…青木くんは元々世界観を楽しんでのんびりするって言ってたんだからプレイスタイルに文句いったらだめだよぉ…」


 飯塚さんがフォローをしてくれた。まぁ…当選しなかった人からするともったいないと感じるだろうが…


「リアルだからこそ慎重になっている部分はあるな…死んでも復活地点で生き返られ、痛みを緩和されるがそれでも死への恐怖がないわけじゃないから。」


「私としては尊敬する。冒険だけがゲームの醍醐味じゃないから。違う視点で見える発見とかありそう。」


 を、理解者がいてくれた。戦闘も少ししてみたが、肉を断つ感触に慣れないんだよな…解体とかさ。スキルで覚えられたからある程度緩和されるとしても積極的に行いたい行為ではない。まぁ、だからこそゲームのレーティングが20歳以上で審査が厳しいのかもしれん。


「ちぇ、まぁうちが始めたらいっぱい敵倒すぞー!第一陣を追い抜かす感じでね!」


「久実ならほんとに出来ちゃいそうだよね。戦いのセンスもあるし。いつも助かってます。」


 飯塚さんに感謝され坂田さんはいやいや、うちこそとお互い感謝を述べている。


「そういえば、ボスを討伐したら魔族全体での防衛任務が発生したんだがこういう拠点防衛での注意点ってなにかあるのか?」


 俺が質問すると3人とも顔を見合わせて少し考えてくれた。


「そんなものが発生するんだ…人族もボスを倒す時期考えないと参加者が減りそうだからその情報助かるよ。拠点防衛かぁ…どこから敵が攻めて来るのかが重要かな?」


「攻めてくる場所がわかるなら事前に堀や罠を設置できそうよ!一方向ならいいけど全方位だと退路もなくなるから厳しいけどね!」


「戦闘職と生産職の連携も重要。回復薬の融通や買い占め防止、防衛なら修理も必要。」


 ほうほう…色々と意見があるんだな…とりあえずまとめると


「敵の情報収集、退路の確保と罠、回復薬の融通や連携、そして修理用の素材か…こう並べてみると事前に準備しなければいけない事って多いんだな…」


「あはは…ゲームに慣れている人なら自然とやっていることが多いからそこまで気にしなくても大丈夫かな?特に大規模戦なら一人では限界あるんだから気楽にしていたら良いと思うよ?」


「そう言ってくれて助かる。まぁ俺は生産でも戦闘職でもなく、素材採取がメインだから修理用素材や拠点作成に必要な素材でも集めておくかな。」


「自分の出来ることをするのが重要。無理すると他に負担がかかる場合がある。」


 そうだな…身の程を弁えて出来ることをするのが大切だよな。


「ありがとう、色々と参考になった。っと教授が来たみたいだ。」


 教授が講義室に入ってくるのを確認すると坂田さんと高杉さんは自分の席に戻って行った。



 「えー、来週からテスト期間なので今日の講義はテスト範囲の復習になります。講義の進行が思っていたよりスムーズなのでテスト問題に関しては教えられませんが過去問でどういう所が出たのか少し話していきますね。」


 教授がそう言うと講義室中からうわぁー…と悲痛な叫びが響いた。何より驚いたのは後ろにいる飯塚さんの絶望に似た悲鳴であった。勉強が出来そうな見た目なんだが苦手なんだな…





かみ転魔族総合掲示板


431:転生せし魔族

おぉぉぉ!ついにボス突破か!


432:転生せし魔族

おめでとうー!!

すごいな、よく突破できた!


433:転生せし魔族

って!?ワールドアナウンス!?


434:転生せし魔族

防衛戦!?レイド来た!


435:転生せし魔族

ボス倒していないんだけど参加できる?


436:転生せし魔族

今確認してみた。

クエスト開始前にギルドから輸送隊の任務が発注されて防衛戦に参加出来る


437:転生せし魔族

それは助かる!


438:転生せし魔族

え?そうなるとボスって初回だけ?


439:転生せし魔族

いや、ボス地点に行くと闘うか選べるから再戦も可能だぞ


440:転生せし魔族

ドロップの為に周回ですね分かります。


441:転生せし魔族

自分の装備をドロップするんですね


442:転生せし魔族

そうなりそうで怖いんだよな…


443:転生せし魔族

しっかし、土曜にレイド戦が来てくれて助かったな


444:転生せし魔族

仕事休みの日でよかったー!


445:転生せし魔族

夜勤明けだから夜で助かる


446:転生せし魔族

だが俺達魔族が最初の突破か…

情報が出てからのが良かったな


447:転生せし魔族

ただでさえ魔族は人数少ないからね

村社会って規模だし


448:転生せし魔族

ある程度、人数によって難易度が変わると言われても

最低限の強さでも半端ないからなぁ…


449:転生せし魔族

とりあえずレイド戦は人数の相乗が緩和されるだろうからPTつくってこ


450:転生せし魔族

その場合、大手のチームに指揮とってもらいたいかも


451:転生せし魔族

となると不死者、鬼人組、騎士団?


452:転生せし魔族

そのあたりだろうな

今回突破したのは騎士団だからそこがリーダーじゃね?


453:転生せし魔族

あーあの熱血っぽい人か。魔族で最大規模の人数だし妥当か


454:転生せし魔族

小隊として他のメンバーを迎えるだろうし、話してくる!


455:転生せし魔族

あ、ずりぃ!俺もいくぞ!


456:転生せし魔族

うおおおお!祭だ!野郎ども準備しろ!

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