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第21話

 大学から帰り、用事を済ませログインした。

 ホームページを見た限り、掲示板に全種族が書き込める所が出来たというのは見かけた。ただ、掲示板を見てしまうとネタバレを見てしまったり思考が誘導される危険性も含まれているから俺としては見ないつもりだ。


 掲示板を見て知ってしまうことによりクエストが発生しなくなったり覚えるスキルが弱体するらしい。どれが対象なのか分からないから余計に敬遠してしまう。まぁ、俺以外の奴はそれでも見たほうが攻略が進むと思っているんだろうな…



 とりあえずしなくてはいけないことは方向性を決めることだな。素材集めが俺には合っているから残りの採取法としてはやはり採掘と伐採か。鉱山は横穴がどうなっているか調査が済んでいないので伐採を今回はするかな。


 まずはいつも通り雑貨屋で斧とつるはしを購入、そしてギルドで伐採しても大丈夫な箇所のチェック。所かまわず伐採してしまうと後々問題が起こるだろうから間引きしても平気なやり方を聞いておく。


 道中、狼や猪が襲ってきたが群れをなして来ず、単体ずつだったので前回購入しておいた槍が大活躍をした。間合いが広くて扱いやすいんだけど、型とか分からないのでギルドで講習があるか聞いてみよう…


 伐採しても大丈夫な場所は鉱山入口付近の木々が対象だった。調査を進めるためにも野営が出来るよう見通しをよくする必要があるとのこと。



 まずは1本切ってみることにした。一人で伐採するのは結構時間経つなぁ…この伐採時間ってスキルレベルによって短縮するのか?スキルを覚えてレベル上がってからが本番だしなぁこのゲームは…0と1じゃかなり違うのを他のスキルで実感できたし。


 あと、切り倒した木はかばんの中に自動で収納された。考えていなかったけど、これって収納されなかったら途方にくれてたな…建物を建てる場合を考えるとこちらで長さを決めるのも不味いし。



 そして3本目を切り倒したところで潔く【伐採】を覚えられた。昼寝や膝枕が1度で覚えられたことから逆算すると俺には伐採はそこまで適性があるわけではなさそうだ。向き不向きはあるが、そこはソロで活動する場合は避けて通れない事だから大事に育てていくことにする。今のところスキルは順調に育っているのでこのまま死なないようにしなければ!


 それにしても…こうやって外でのんびりするならキャンプっぽくしたいよな…ただ、魔物が襲ってくる可能性があるからセーフティーゾーンや敵に見つからないような仕掛け、結界を張れる魔法とかあると快適に過ごせそうだ。雑貨屋の店長に聞いたら教えてくれるか…?


 魔道具でありそうな気もするが…なかったら自作が出来るよう魔法を覚えるときに

魔道具に関しても教われないか聞いてみるか。前にハルが言っていたが、通常だと貴族や専門家になりたい人が学校に学びに行くらしいからな…あまり高望みは出来ん…



 やりたいことは沢山あるが、そのためには生存能力を高めなければいけない。街中で覚えたスキルを鍛錬するのもいいよな。気配察知や隠蔽のLvをあげられたら外でも不意打ちが防げるようになるし…


 

 10本ほど伐採が終わり、一度街まで戻る事にした。

 街の門が見えたところで前方からプレイヤーの集団が向かってきたので俺は横に避けることにした。


 リーダーっぽいデュラハンの男が立ち止まり声を掛けて来た。


「あんたソロかい?珍しいな。」


「ああ、攻略じゃなくのんびりするためにゲームを始めたからな。自分のペースでどれもしたいのさ。」


 俺がそう答えると男は納得のいったような顔をした。


「これだけリアルならそういうプレイスタイルも確かにありだな。俺は最前線を突き進み未知を求めているってとこだ。」


「そういえば前に街中で見かけたな…なんかボスがいたとかなんとか。」


「おお!この街道の先に開けた場所があってな。そこでエリアが切り替わってボス戦が始まるのさ。ただ、これがまた強くてな。装備を整えたからまた挑戦するとこだ!」


 すっごい熱い男だな。俺にも挑戦しろって強要してくるわけではなく、同じ志を持つ者達で集まっているから安定するんだろうな。


「そうなのか、俺は応援しか出来んがボス、倒せるといいな。」


「おう!今回はいけそうな気がするぜ!俺の名はディンだ、よろしくな!」

 

「ナオヤだ。それと、他の人が早く先へ進みたくてうずうずしているぞ?」


 そう言うと、ディンは後ろにいるメンバーの様子をみて髪を掻きむしった。


「そのようだな…んじゃまたな!」


 ディンの率いたPTが通り過ぎるのを見て俺は街中に入って行った。もう攻略できるかもしれないのか。もっと木材を採ってきたほうが良かったか…?とはいえ、潔く伐採がLv1になったところで切り上げたし、なにより一人で種族全体の供給を支えることは流石に出来ない。

 そのうちギルドでも依頼として貼り出されるだろうし、ボスの攻略に成功したら防衛イベントが発生する可能性もあるからその時に動くのが一番いいと思う。ま、先に少し採取が出来ていたら後が楽だよな。



 ギルドでは3人娘が忙しそうに依頼報告を完了させていたので俺も流れに逆らわないように納品だけ済ませてきた。それなりにお金が溜まって来たので一度本屋に行って魔法に関する本でも探してみるかな。


 広場に面した場所に本屋はあった。中に入ると魔道具らしいランプがつけられているが少し薄暗く、しかし柔らかな橙色の光源が落ち着かせてくれる。


「おや、珍しい。外国の人が店に訪れるとは…何かお探しかね?」


 しわがれた声のする方を見るとローブを身に着けたパンプキンの爺さん…?がカウンターから覗いていた。ジャックオーランタンだよな…?店の雰囲気とすごく合っている。


「魔法を学ぼうと思うんだが、入門というか魔法とは?という導入が知れる本を探している。後々、講師を雇って分からない箇所を質問しやすいようにだな。

 最終的には魔道具を作成出来るようになりたいが…どれだけかかるやら。」


「なるほどのぉ…それならこの辺りの本かね。創造神から各種族に授けられた特性について書かれているぞ。その中の魔族についての所に魔法とはなんぞやというのが書かれている。」


「ほぉ…良さそうな本だな。創世の時代も少しは含まれているのか、買わせてもらうよ。」


「後はそうさのぉ…魔道具師を目指す参考書がほとんどじゃから、値段もそれなりにするぞ?」


 電卓っぽいもので値段を表示してくれたが、確かに高い…手が出ないわけではないが買ってしまうと生活を切り詰める必要が出て来る。それに魔法の講師という職業があるわけではなく魔道具師が空いた時間に教えてくれる家庭教師のようなものだから専門的なことを言われても理解できないと思うので、買わないことにした。


 広場周りで食事を済ませ、宿に戻りベッドの上で横になった。

 

 かばんから本を取り出しいざ読もうとしたところで



システム:ただいま魔猪が討伐されました。これより防衛クエストを開始します。詳細はUIからクエスト内容をご確認ください。

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