第17話
講義が終わり、帰り支度をしていると数人のクラスメイトに囲まれた。
「よぉ青木。お前さ、飯塚や坂田、高杉の誰かと付き合ってるのか?」
そのうちの一人に聞かれた。
「あ?どっからそんな話がでてきたんだ?誰とも付き合ってないし女は苦手だからありえん。」
そう言って否定したんだが、なぜか男達は逆上して問い詰めて来た。
「は?ならなんでお前のとこに集まってくるんだよ。周りからみたら誰かと付き合っているように見えるだろうが!」
「知らんよ。俺はほぼ寝てるんだからあの3人が仲良いだけだろ…」
普段から休憩中ずっと寝ていて、サークルにも入らず講義が終わればすぐ帰る俺に口説く時間なんてないだろ。
「あの3人が仲良いわけないだろ、みれば分かんだろうが。」
「清楚で大人しい飯塚、ギャルで遊んでそうな坂田、オタクっぽい高杉とか接点があるわけないだろ!」
そう言われても困るんだが。あの3人は仲がいいしゲームという絆で結ばれてるだろ。まぁこいつらに言っても仕方ないが…
「はぁ…んで、もし付き合ってるとしたらなんだ?お前らがあいつらを好きだから嫉妬しているのか?」
「「———!?」」
図星か。あいつら、俺にも普通に話しかけてきていたから男がいるってわけじゃないだろうが…こいつらの単なる片思いか。恋愛で巻き込まれる側はたまったもんじゃねぇわ。
「付き合ってねぇから話しかけてみれば?話す度胸もないくせに誤解で絡まれるのも面倒だ。」
そう言い、俺は部屋から退出した。ほんと恋愛って面倒だな…そりゃ気になる人はいるが彼氏彼女の関係より親友のが楽しそうだ。異性関係で成り立つがわからんけどな。
…早く家に帰ってゲームするか。
「オージュ様が仕事をしているなんて…明日は雨ですかね?」
「いきなりすぎない!?僕だってちゃんとやることやってるでしょ!」
「そうは言いましても…いつもふらっと出掛けているじゃありませんか。」
「うぐっ…ほ、報告書で確認するより実際に回って見たほうが分かるでしょ?それと同じさ!」
「まぁ…この報告書の山を見たら仕方ないのでしょうが。あら?オージュ様、先ほどまで書き込まれていたものは仕事に関係ないじゃないですか!なになに…魔法の起源、属性、発現のメカニズム?」
「あ、あー!これはまだダメ!」
「真面目に仕事していると思ったら…もしやこれはナオヤ様へ?」
「完成していないからまだ見ちゃダメ!」
「魔法を体系化させたオージュ様直筆の教本とは…お金に換えられない価値がありますね。手伝いを断られたのに健気ですね。」
「ちょ、直接教えるわけじゃないからセーフ!ナオヤだって学生が使うような小難しいものより子供に寝聞かせるようなものを最初に選ぶと思うし!」
「そう言われてみれば、絵本の内容を見たら分かるような導入になってますね…仕事もこれくらい熱心でしたら文句など出ませんのに。」
「あ、ナオヤが来たかもしれないから行ってくるね!じゃあねー!」
「ちょっと!オージュ様!…まったく、完全に懐かれていますね…ご愁傷様ですナオヤ様。」
ログインすることによって意識が浮上してきた。大学ではクラスメイトに勘違いされて面倒だったが、気持ちを切り替えて楽しんでいこう。
…うん、現実逃避はやめよう。頭に柔らかい感触があり、そのまま寝そうになってしまう居心地さだが俺はゆっくりと起き上がった。
「ん、ん~…おはようハル。なぜ部屋にいるのかは問わないが、ビックリするから辞めて欲しいんだけど…確かに俺のスキルを考えるとここに意識が来る前にバフが付いていると嬉しいけどさ。」
俺がジト目になりながらハルを見据えると頬を掻きながら困り顔になった。迷惑なのを理解しているけど、力になりたいって事なのか?それだったら問い詰めるのも悪いんだろうが、ハルは美少女と言って過言じゃないから心臓に悪いし、こんな幸せでいいのかと思ってしまう。
「えへへ…なにか見透かされている気がするけど僕が好きでやっていることだからね!探索の無事を祈ってという意味でもしたくなっちゃうんだ!」
この状況になった原因は俺が膝枕や居眠り等のスキルを覚えたからか!?そもそも好感度が高くなるとNPCってここまで尽くしてくれるの!?自立型なのか特殊なNPCなのか判断は出来んが、会話もスムーズだしNPCってことを忘れてしまいそうだ。ハルやアーテルさんとやりとりを重ねていけば俺のトラウマも癒えるのかねぇ…
「さ、今日もギルドに寄って群生地の情報を聞かなきゃな。近くの群生地はまだ成長していないだろうから少し遠くに行く可能性もあるし。街中で栽培って出来ないのかな。」
俺が疑問を口に出すと、その答えをハルが答えてくれた。
「えっと、一応街中でも栽培することが出来るんだよ?ただ、そうしちゃうと外に行かない人達が出てきちゃうでしょ?魔物を間引きする意味も兼ねるための施策だっけ。それと、難易度が低いものがないと探索のハードルが上がったり、生存率が下がっちゃうからね!」
「すっごい考えられてるんだな…この国の領主、というか国王はすごいんだな。俺達外国人からすると難易度が高い依頼しかなかったら手がだせないし、街の外に出ても戻ってこれるか怪しいしな。」
全滅して装備やお金が無くなったときの救済として意味も兼ねているんだろうな。というか、それを俺が積極的にやっているのも問題がありそうだが…
「…ハル、なんでそんなにくねくねしているんだ?」
俺の言葉ではっとしたのか恥ずかしそうに顔を俯かせた。
「えへへ、何でもないよ。気を付けて行ってきてね!」
「行ってきます。」
たった一言だけど、このやり取り結構好きなんだよな。一人じゃないって思わせてくれて寂しさが紛らわせられるから。俺は足取り軽く、ギルドへ向かっていった。
かみ転エルフ族総合掲示板
1:転生せしエルフ族
ここはかみ転のエルフ族専用スレになります。スキル考察、クエスト関連、検証は専用スレでお願いします。
2:転生せしエルフ族
やっぱエルフを選ぶよな!
3:転生せしエルフ族
美男美女とか俺の為にある種族
4:転生せしエルフ族
がっつきすぎ。そんなんじゃいくら美形でもモテるわけない
5:転生せしエルフ族
人族に比べて街とか発達していない気がするんだが大丈夫なのか?
6:転生せしエルフ族
さすがにそこで差をつけないでしょ
7:転生せしエルフ族
まぁ種族固有のものはあると思うけどな
8:転生せしエルフ族
つまり、それが種族の適正ってことでもある
9:転生せしエルフ族
なるほど?とりあえず普通に進めればいいんだな
10:転生せしエルフ族
うわ、魔族選んでる奴いるんだ。人類の敵じゃね?
11:転生せしエルフ族
なるやつは少ないみたいだな。ランダムで変なのに当たったらキャラデリするはめになるし
12:転生せしエルフ族
このゲーム、キャラデリはないよ
だからキャラクリで冒険できない
13:転生せしエルフ族
やばすぎ。エルフ選んでよかったわ
205:転生せしエルフ族
矢があたんねー!てか木が邪魔!
206:転生せしエルフ族
そりゃ森の中に集落があるのは種族から予想出来ただろ
207:転生せしエルフ族
矢は当たるんだが敵、全然倒せないんだけど
208:転生せしエルフ族
ちゃんと急所を狙えばいいんじゃね?
当てやすい胴体ばかり狙ってるとか
209:転生せしエルフ族
うん、流石に頭とか目とか的が小さすぎて当たらない
210:転生せしエルフ族
胴体にも当たらないやつはちゃんとチュートリアル受けるといいよ
弓の講習もある
211:転生せしエルフ族
みんな、近づかれた時の対処どうしてる?
距離詰められて何度も死ぬんだけど
212:転生せしエルフ族
PT組んで一斉射撃
213:転生せしエルフ族
ゲームによっては遠距離武器って近すぎるとダメージ落ちるがかみ転はどうなの?
214:転生せしエルフ族
減衰してる気がする
215:転生せしエルフ族
木の上から下に打ったり山なりに打つとダメージが上がってるっぽいから落下速度も加算されてる可能性
216:転生せしエルフ族
木の上いいね。俺もそうしよっと
217:転生せしエルフ族
悲報、木に登るのが難しかった
218:転生せしエルフ族
悲報、俺氏木を折られ落下死
219:転生せしエルフ族
悲報多すぎー!
木が邪魔で遠くから狙うのも難しいから生産のついでに切り倒そ?