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第15話

 宿に到着すると血の匂いがするのか女将さんにしかめっ面をされたが、すぐに元の表情に戻った。


「すまない、次からは水浴びしてからのほうがいいか?」


 俺が問いかけると女将さんは気にするなといった様子で


「いんや問題ないさね。男の探索者は匂いまできにしないのさ。女性は水魔法を覚えて綺麗にしているが、男は他の技能を上げてて魔法を疎かにしてるのさ。」


「性別でも得意不得意でるのか?話を聞く限り女性が魔法、男性が物理という風に思えるのだが。」


 俺は思ったことを聞いてみた。


「正確には魔族の中のさらに種族ってとこさ。ま、それでも基本的に男が前衛、女が後ろの風潮さ。」


 なるほどな…これは魔法を習うとしたら女性になってしまう可能性が高い…か。


「あんたは風呂代も払っているんだからしっかり温まるんだよ。服のクリーニングをするとなると別料金かかるから気をつけな。」


「自分で洗って部屋にでも干すさ、それじゃ部屋に向かわせてもらうよ。」


 女将さんにそう言い、俺は部屋に向かった。そういや…ずっと初期の服で過ごしていたが資金にも余裕が出来てきたし普段着と探索着を分けるべきか。


 服の匂いを嗅ぎながら自分の部屋へ入るとそこには…


「あ、おかえりー!お邪魔してるよ!」


 ベッドの上で寛いでいるハルがいた。女将さん…匂いの事を気にする前に部屋へ人を勝手に上げるのをやめてくれませんかねぇ…


「…ただいま。部屋で待っているんじゃなくロビーで待っててくれるといいんだが…」


 俺がそう言うと、ハルはにやぁっと笑い、俺の顔を下から覗き込んだ。


「あれぇ?いいのかなぁ?ナオヤが部屋に女の子を連れ込んでいるのを皆に見られちゃうんだよ?」


「それはやばいな…しかもハルみたいに小さい子となると致命的過ぎる…」


「僕はオトナだよ!…あれ?ナオヤ、血の匂いがするんだけどどこか怪我しているの?大丈夫?」


 やっぱ匂うのか。解体をするとなると毎回匂いについて気にする必要が出て来そうだ…スキルが育てば大丈夫なのか?


「怪我はしていないぞ?狼と猪を罠で狩って解体したから匂いが付いたんだよ。」


 するとハルは俺に向かって手を一振りした。


「これで匂いは取れたね!でも、もう魔物を一人で狩れるようになるなんてナオヤはすごいね。」


「罠に嵌めただけだけどな。匂いが取れたそれは魔法か?便利だなぁ…」


「ん?ナオヤは魔法を覚えたいの?男の子って魔法より物理に片寄ってるんだけど珍しいね。」


「俺達の国では魔法なんてなかったから珍しさもあって憧れている奴は多いと思うぞ?講師になれる人が今はいないってギルドで聞いたし、費用もかなり掛かるみたいだから学ぶのは当分先になりそうだが…」


「ん-…もしよかったら僕が教えよっか?その辺りの人よりは詳しいと思うし。」


 それはありがたい申し出だが…ずっとハルにおんぶに抱っこ状態なのは流石に問題だよな。親しい仲にも礼儀ありと言うし、本当に困ったときで良いと思うんだ。


「教えてくれるのは嬉しいんだが、ハルに助けてもらってばかりで何も返せていないのが嫌なんだ。だから、もうちょっと足掻いてみるよ。幸い、今回は費用と時期が問題なだけだからのんびりと金策に励むさ。」


 俺が答えるとハルは下を向いた。やばい、機嫌を損ねたか…?


「…っぱり、僕の…った通り…っこいいねキミは。」


 ん…?何かつぶやいているみたいだけどほとんど聞こえなかった。


「あー…ハルから教わるのが嫌ってわけじゃないぞ?うん。ギルドでいつまでも講師が見つからなかったら是非教えてもらいたいくらいだ。」


 俺が慌ててフォロー?をしているとハルがとても可愛らしい表情で笑っていた。


「ふふ、困ったことがあったらちゃんと相談してね?なんにも言われないと逆に寂しく感じちゃうし。」


「…気を付けるよ。っと、そろそろ俺は風呂に行くがハルはまだ部屋にいるのか?」


 タオルを準備しつつ声を掛ける。


「そうだねぇ…あ!せっかくだし僕が背中流してあげるよ!」


 は?いきなり何を言い出すんだこいつは…大人の女性はみだりに男性と入らないって言えば大丈夫か?


「ハルは大人の女性なんだろ?男と入るのは不味いって。」


「僕、外見は子供だから問題ないでしょー?」


「どう答えてもダメだった!?」


 これは不味い…そもそもまだ会って数回の人と一緒に風呂とか無理がありすぎる。確かに外見で言えば俺のトラウマは抉られないが…魔族ってこうも奔放なのか?



 俺が困っていると後ろから声がした。


「いつまでも戻ってこないので尋ねに来てみたら…オージュ様、わがままはいけませんよ?」


 振り返るといつの間にか部屋の入口にはメイドさんが控えていた。ハルと同じくらいの身長、きめ細かな黒い髪が腰まで伸びており日本人形のような整った容姿をしていた。


「えーどうして?男の人は女の人にお世話されるのが好きなんじゃないの?」


「あーハル?水着着用ならまだしも異性と風呂に入る際に裸は不味いぞ?そういうのは恋人や結婚相手にしとけ。」


 魔族って恥じらいはちゃんとあるよな?価値観のすれ違いは今まで起こしていなかったし…ハルが特殊なのか?


「むー!僕だってわかってるよ!子供じゃないんだから!あれでしょ、ていしゅくにーって。」


 分かっているならなぜ言うんだ…単に揶揄われたのかもしれんが。


「はいはい後で聞きますから。さ、オージュ様戻りますよ。あまりナオヤ様に迷惑かけないでくださいね。」


 メイドさんはハルの襟首を持って引きずりながら部屋から出て行った。慌ただしかった室内が急に静かになると寂しさを感じるようになった自分に驚く。それだけハルと一緒にいる時間が楽しいのかもしれない。


「っと、いつの間にか結構時間経ってたな。風呂入ってログアウトするか。」


 そうつぶやいた俺は風呂場でのんびりと浸かるのであった。






かみ転獣人族総合掲示板


1:転生せし獣人族

ここはかみ転の獣人族専用スレになります。スキル考察、クエスト関連、検証は専用スレでお願いします。


2:転生せし獣人族

いえーい!獣人楽しみだ!


3:転生せし獣人族

これはもう獣人一択だろ!


4:転生せし獣人族

全ケモナー歓喜


5:転生せし獣人族

どんな種類があるんだろうね


6:転生せし獣人族

基本的な動物はあるんじゃね?あとはファンタジー的なのとか?


7:転生せし獣人族

おいおい、種族画面見たら獣人族選ぶ奴多すぎw

俺も行ってくるわ


8:転生せし獣人族

同じく!




20:転生せし獣人族

お、おいちゃんと注意書きみたか!?


21:転生せし獣人族

返事がない、ただの獣のようだ


22:転生せし獣人族

どんだけ不自由なのか気になるよな…


23:転生せし獣人族

好奇心で俺は獣人族を選ぶぜ




610:転生せし獣人族

や…やっとまともに動けるようになったぞコラ!


611:転生せし獣人族

ほんとクソゲーだろ


612:転生せし獣人族

>611

ちゃんと注意書きに書いてあっただろ


613:転生せし獣人族

長いチュートリアルと思えばどうってことない…


614:転生せし獣人族

確かに種族特性は良く分かったし手厚い指導だったね


615:転生せし獣人族

興味本位で四足歩行の割合にしたら今日までかかったし…


616:転生せし獣人族

そりゃ骨格からして変わるだろ


617:転生せし獣人族

俺も興味あったが好きな割合は耳だけ、もしくは尻尾までってのが好きだな


618:転生せし獣人族

なぜだ!?ケモナーって言ったら80%以上獣だろう!?


619:転生せし獣人族

萌え系から入った人は逆の割合だと思うぞ


620:転生せし獣人族

すみません、獣人族選んで始めたのはいいんですがまともに歩けないんですが…


621:転生せし獣人族

お、新規さんか?

開始地点で待っていたらチュートリアル担当の人が迎えに来てくれるよ


622:転生せし獣人族

そこからチュートリアルに長いこと時間割かれるけどな


623:転生せし獣人族

あ、いまチュートリアルが進んだみたいです!ありがとうございます


624:転生せし獣人族

話戻すが、2足歩行でも歩くのかなり苦労したぞ?


625:転生せし獣人族

尻尾の分バランスが上手く取れないんだよな


626:転生せし獣人族

まぁそれもきちんとチュートリアルをこなせば問題ないし、この国のルールも

ある程度覚えられたな


627:転生せし獣人族

手厚くて良いゲーム


628:転生せし獣人族

身体能力も高くて現実では出来ない動きが出来て楽しい


629:転生せし獣人族

重い装備が苦手そうだけどな


630:転生せし獣人族

それも種族によるしある程度ビルドが建てられるんじゃね?


631:転生せし獣人族

とっくにチュートリアルが終わっていた層はどこまで進んだのやら


632:転生せし獣人族

…死に戻りして門の傍にいるよ


633:転生せし獣人族

なにがあったし!?


634:転生せし獣人族

いや、俺らPT組んでるし身体能力も高いからいけっかなーって外でたら囲まれてフルボッコ


635:転生せし獣人族

…ちゃんと装備整えろって事なんかね


636:転生せし獣人族

ふん、そいつらが軟弱なだけだろ!

俺は違うね!


637:転生せし獣人族

盛大なフラグをありがとう

がんばれ

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