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第14話

 街の入口では死に戻りをしたばかりなのか装備品を全くつけておらず、端に座り込んでいる集団がいた。なにかこちらを睨んでいるようだが…まさか街から出たところでPKをするつもりか?街中では武器も使えないからMPKもしくはPKをされる可能性は否定できない。念のため、前異常に注意しておこう。


 それにしても…相手が羨ましいから引きずり降ろそうと考えていそうだよな。俺は初期装備のままだから目立たないと思うんだが。弱そうに見えるからこそ狙いやすいって思われている?っと考え事していたらいつの間にか採取場所に着いていたか。



 前回、採取をした場所はまだ成長途中のようだがもうしばらくすると成熟しそうだ。こんなに成長が早いのか!これなら採取だけで十分清算がとれるんじゃないのか?なんで他の人らはしないんだ…?といっても、人数が増えたら流石に群生地は枯れてしまうか…バランスが難しそうである。群生地がきちんと成長するまで常設クエから外すという手法を取っているのかも?


 まずは薬草から採取を始めてみる。前回と同様、スコップで掘り起こし、根を慎重に抜き、土を均してから球根を植える。そして周りの雑草を処理して完了っと…この作業を繰り返すんだけど、スキルを意識して使ってみるか。


 効率を上げるという事なので雑草の処理からやってみようと思い、地に手をつけてみると雑草が根から綺麗に抜けて手の置いたところに集まった。すっごく便利だな…大体手のひらを置いたところから直径1mくらいか?本当だったら雑草も回収して捨てるか、燃やさないといけないんだが…とりあえず後にしよう。


 薬草を採取する時にも使えるのか試す。薬草を手で持ち試みると…周囲1mの土が消え周辺の薬草も消えた。どういうことだ…?深さ1mほどの穴の周りを見ても土と薬草は見当たらず、ポーチの中を表示すると土と薬草、球根の数が表示されていた。え、こんな楽でいいの?ここの薬草全部取れるぞ?スキルって優秀なんだな…とりあえず、今採取した場所を綺麗に均してから次に行ってみる。



 前回、2時間以上かかった採取面積は数分で終わり、ここの群生地は全て入れ替えた。メリッサの採取にも使えるのか試したが、俺が講じた手段が採取に登録されているのか匂いが漂わずに花の根元から採取することが出来た。これって最初に苦労すれば熟練度が上がった後はかなり楽なんじゃないか?これはしっかり採取方法を学んだほうが良いな。

 あと必要なのはつるはしと釣り竿が採取系か。脚立もあれば木の実も取れそうだ。


 ふぅ…作業自体かなり早く終わったな。ちなみに束にするのはポーチ内で藁と薬草、メリッサを選択すると束でまとめることが出来た。あとは前と同じように寝るだけなんだが…もしや落とし穴を作るのも採取スキルでいけるんじゃないか?俺は球根を植えなかった場所に穴をあけ、更に穴を深く出来るか試したが無理だった。1mの深さって猪や狼はジャンプで抜け出すか…?ちょいと怪しいから矢を刺さるように埋めておこう。


 多分、獣だから木を回り込んで襲ってこないと思うので俺は罠を作った場所が前方に見える所に位置取りをして寝ることにした。落とし穴は3つほど設置し、雑草で穴が見えないようにしといた。人相手だったら明らかに、ここには罠があるぞって分かるような景観になってしまったが…獣なら大丈夫だろう、多分。




 グルルルァ!? 

 ドサッ


 ん?何か物音がしたが罠にかかったのか?俺は目を擦りながらあたりを見回すと草で覆っておいた落とし穴が3つとも露になっていた。上から慎重にのぞき込んでみると猪が1匹かかっていた。他の穴も見てみるとそちらには狼が2匹かかっていた。入れ食いだな…しかし、こうやって罠を設置していたから良かったものの隠蔽が全然効いていないんだな…レベル0だとただリストに表示されているだけなのかも?1上がるだけで効果が実感できるもんな。


 よし、獲物を穴の外に引き出したので解体だ!一応、現実で調べては来たが、構造上に違いのない魔物で助かった。これは後で講習としてギルドに解体現場を見学させてもらうべきかもしれん。皮は穴だらけになっているが肉自体は新鮮そうだ。肉はブロックごとにまとめて内蔵は…今回は用途がわからんので穴に埋めて処理しといて、ギルドで質問することとして覚えておかなければ。


 獣の皮って燻さなくても虫とか寄生虫って大丈夫なんだっけ?ポーチに入れて他のものに影響がないのは分かるんだが気分的に良くないんだよな…こういうとき魔法で清潔に出来たり水処理することが出来れば簡単なのに。よし、こんなもんだろう。


 3匹のうち2匹の解体が終わるころには日が暮れ始めていた。慣れない作業だからか時間がかかってしまった。残りの1匹は確認のためにギルドで教わりながら出来ると良いが…血の処理が甘いのか辺りは鉄臭くなってしまったし、夜は魔物が活発になり危険度が上がるので引き揚げよう。




 街に着く頃には完全に日が暮れてしまっていた。門の近くにはやはり人がたむろしているが、これから狩りに出掛けようとしている集団も見えた。…夜の狩りって暗視がないと難しそうなんだが…逆に考えれば夜に活動していると覚えられるかもしれない。 ギルド内は食堂側は混雑しているが受付はラッシュが終わったのか1,2人しか並んでいなかった。解体についての相談をしなければならないからまずは受付だな。


「アーテルさん、常設依頼の薬草とメリッサの納品お願いします。」


「ナオヤ、お帰りなさい。…今日は沢山だね。スキルが発現したの?」


 前と比べて量が違うから分かるか。


「前に採取した時に発現して育っていたよ。あと…一番近くの群生地は2,3日しないと成熟しないと思う。きちんと植えてきているから時間が経てば元通りかな。」


「その情報ありがと、あとで常設依頼を更新しておく。ナオヤみたいにきちんと言ってくれる探索者だと受付としては助かるんだけどね。」


「全員に徹底させるのは難しいだろうね。狩りの場合でも魔物討伐をやりすぎると分布が変わる可能性もあるんじゃない?」


「そうだね…。報告義務があるわけじゃないけれど、生存率を考えると情報が欲しいかな。」


 このゲームは死んだときのデメリットが大きいから注意出来る所はしたほうが良いからな。


「そういえば、魔物も討伐してきたんだが解体の講習って出来るのか?」


「うん、無料で講習受けれるよ。ちょうどいっぱい持ち込まれているからいまから受ける?」


「そうだな、そうしてくれ。」


「じゃあ奥の解体現場にこの札を見せて。終わるころには清算処理も終わっていると思うから伝えとくね。」


 アーテルさんから話を聞いて、俺は奥にある解体現場を目指して進んむとずんぐりむっくりした熊…?が周りの魔族に指示をだしていた。


「すみません、解体の講習はこちらでしてもらえると受付の方が言っていたのですが今大丈夫ですか?」


「お?珍しいな。外国人が解体を学ぼうとするなんてな。おめぇグロいのは大丈夫か?気分が良いもんじゃねえぞ?」


 俺もそんなグロ耐性があるわけじゃないんだが…


「探索者をやるなら結局ぶち当たる問題だと思うんですよね。魔物を倒すなら解体することで弱点が狙いやすくもなりますし。」


「ま、そうだな。構造を知る事で手際よく倒せるんじゃねえか?獲物は持ち込みか?」


「正しい解体を学ぶために狼を事前に1匹解体して、もう1匹狼が残っています。」


「良い心がけだな。教えるにもやってみてからじゃねえと分からん事もあるだろうからな。んじゃこっちこい。」


 奥の作業スペースに通され、獲物を台の上に寝かせた。なんとなく平行感覚がおかしいと思ったら床が4隅の1か所に向けてゆるい傾斜ができていた。これは水を流した時に綺麗に流れるようにしている構造だっけか。


 そこからは周りから漂う匂いと目の前で行われている解体作業で気分が悪くなりながらもしっかりと手順を確認した。やりかたは現実と変わらないので助かったが、やはりスキルの恩恵なのか手際がよく、魔法を取り入れているのが見てわかった。


システム:【解体】を習得しました。


 親方(そう呼べと言われた)に別れの挨拶をして清算所で代金を受け取り宿へ戻った。今日はしっかりと湯に浸かり臭いを落とさなければ。

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