一話
久しぶりの投稿です。
文字数は少ないですがよろしくお願いします。
勇者や魔王、果ては悪魔や天使が存在するファンタジーな世界に転生し、何やかんやで俺はとある国の王様になった。
……………。
…………。
………。
……なったのだが、最近は退屈で仕方がない。
国作りするところまでは楽しかったよ?
けど、少し前に世界大戦が起こり、その戦争で本格的に自重を辞めそれ以降自由にやろうと思っていたが、最近は毎日椅子に座り書類へ承認印を押す事務作業な毎日。出鼻を挫かれた気分だ。臣下にこれオレがやらないといけないのか?と聴けば。
『頑張って下さい♥️』
と、エールを送られるのみ。解せぬ。
外に出ることが有っても他国の重鎮との会食や打ち合わせという面倒くさいことだけだ。
気が紛れることはない。戦後処理ということも有り、今が頑張りどころというのは理解はしている。オレよりも気が短い奴が文句を言わずに頑張ってるからな。
けど、ねぇ?オレの国の方針って『自由』と『平等』をモットーにしてるんだよ?束縛はおかしいよな?明らかに矛盾してるよね??
結論。……ということで脱走することにした。
こんな気持ちにさせたこの世界が悪い。オレは悪くない(暴論)。オレは悪くない、はずだ。
何より前例さえ作ればオレみたいな馬鹿が出てくるのを密かに期待している。馬鹿が増えればオレの罪は薄くなる。ここ、重要ね。
臣下には心配を掛けないために一通り仕事を終わらせて一応は影武者を作り、そいつに後を託す。
「後は任せたぞ」
「心得ました、主様」
後の事はその時に考えればいい。
さあ、楽しい家出の始まりだ。
***
まずは国から出るべく"駅"へと向かった。
移動手段としてオレは人工物では一番速い、機関車を選んだ。機関車は本来この世界に存在しないものだが、前世の世界から少し拝借して、我が国の技術者にこの世界用にブラッシュアップして貰うことにより誕生した。次は空へ進出したいから飛行機もその内作る予定だ。
本当は権能で空を飛んだりもっと速く移動する手段はあるが目立つのは好ましくない。それに、作ったものを体験するのも楽しみの一つだ。
「あの~切符を買いたいのですけど」
「はい。こちらで出来ますよ。何処まで行きますでしょうか?」
近くにいた駅員から表を貰って内容を一瞥する。へぇ、今だとここまで行けるのか。
……それにしても夜だというのに真面目に仕事してくれるのはいいものだ。普通は眠くて手を抜くはず、恐らくは徹底された教育の賜物だろう。この国の指導者は果報者だな…まあ、オレだが。
「じゃあ、フォード王国までで」
「……分かりました。では金貨五枚となります」
「はい」
うっ、判ってはいたもののやっぱり高いな。
オレの財布の中身の半分が消滅した。
「ありがとうございました。素敵な旅をお楽しみ下さいませ」
お、おう。期待してるよ。快適じゃなかったら泣くんだからね。