表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

名作訪問ーセルジュ ブールギニョン監督「シベールの日曜日」

作者: ヌベール

この映画を好きな方の中には、勿論ロリコンの方もいらっしゃるのだろう。しかしそういう視点でこの作品を語ることほど「シベールの日曜日」の製作に携わった方々に失礼なことはない。

この作品は全くプラトニックな純愛を描いたものであり、1時間50分にわたる一編の詩であると私は思う。

戦争中にパイロットだったピエールは、墜落の時一人の少女を巻き込み、そのショックから記憶喪失になってしまう。

その後ヴィル・ダブレイという町の駅で、同棲しているマドレーヌを待っている時、父親に連れられ、寄宿舎にあずけられに行く少女をみかける。少女は自分が捨てられるのが分かっていて、行きたくないと泣きながら父親に哀願している。

泣かせちゃいけない、と、ピエールは手にいっぱいのガラス玉を少女に見せ、ほら、星のかけらだよ、と言う。少女は一瞬微笑む。これがふたりの出会いだ。

以来ふたりは日曜日ごとに会うことになる。

そのふたりを取り囲む自然には、セルジュ ブールギニョン監督や、アンリ ドカエのカメラ、モーリス ジヤールの音楽などの詩的な感性がきらめく。

水の波紋、冬枯れの木々、アルビノーニのアダージョが流れる中、霧の小道を歩くふたり、凍った水面をキュルキュルと走る小石、水面を吹き渡る風にオーバーラップするシベールの囁きなど、たぐいまれな美しさのなかに物語は進む。

しかし、いくら純愛といえども、30を過ぎた記憶喪失の男と12歳の孤児となった少女の愛を世間が、社会が、許すはずがない。

やがて物語は、悲劇的な結末を迎えるのだ。

やはり、こういう形でしか救われることのない男には、こういう結末しかなかったのだろうと思わざるを得ない。

そしてシベールはひとりぼっちになってしまう。

アカデミー外国語映画賞受賞の名作である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ