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山田さんと七人の黒服

喫茶店“cachette”は朝番(カフェは9時から20時まで)遅番(バーは20時から4時まで)という感じのシフト構成になっている。カフェ部分の方は店長である百合子さんが日刊競馬を片手に取り持っているが、バーの方は山田さんに任せている。


朝番に山田さんがいるとすれば、店内や店頭に飾られている花や植物の世話をしている時だけだ。自分の仕事が終わった後は例の黒服の方々に連れられて、どこかへと消えていく。




この黒服の人達は全員で7人おり、百合子さんがナンパされまくっているのも助けてくれる。実は店長という肩書きは飾りではなく、見た目が海外系な山田さん以上に百合子さんは語学が堪能なのだ。(生じてありとあらゆる国の方々から告白される)



ウドによれば実は7人以上潜んでいるらしいのだが、これ以上は怖いので飄々としているざわくんでさえ聞き出せていない。




「店長〜〜なんですかこの給料!!」




山田さんが例のごとく花に水やりをしていると、まだ開けてない店内に文句の声が響いた。噂をすればなんとやら、先日の誰得?ざわ得!なスイーツ講習会でこってり絞られたざわくんが抗議に訪れているようだ。




「これじゃあデートの費用になりませんよ!」


「妥当よ妥当!この間で何人の女の子の連絡先を聞き出したか当ててあげましょうか?」




割りにあってるはずよ。

ざわくんのおでこをデコピンした後に、店長はまた新聞に目を通す。山田さんが帰宅の準備を始める頃には、例の人のニヤケ顔を見ることができる。



「店長、お先しますね」


「ん、おつかれ」



にこやかに帰宅する山田さん前に、ざわくんがいい顔で手を振る。それを軽くスルーして彼女は自宅へと戻っていく。黒服の男達もいないもののように彼女は扱うのだが。


ちなみに内接するアパートに住んでいないのは、山田さんとざわくんの二人。もちろん一緒の場所に住んでるわけではないが、そのミステリアスな雰囲気が一部客層の熱気を盛り立てている。




「山田さん……“山田花子”さんっていうんですよね……素敵だ……」

「アンタの脳内はいつもお花畑ね」



このやり取りの後にウドが顔を出す。仕込みに携わるメンバーは大体早く出勤してくる。後は山田さんが置いていった数名の黒服の方々が接客を手伝ってくれるのだ。


彼女のそばを片時も離れないのは、たった一人の黒服だけ。ざわくんは間抜けそうな顔をしながらも、彼のことをチラリと見ている。


「mie cavaliere」


山田さんがボソリと行った単語を、彼は聞き逃さなかった。


それでも誰も聞き返さないし、それ以上踏み込まない。




この喫茶店で働く際の暗黙の了解だからだ。

閲覧ありがとうございます!


私のイメージとしては、山田さんは線が細くてスレンダーな感じです。(グラマラスではなく)

よくいる日本人?っていうくらいペラペラ日本語話す外国の方を想像していただけると嬉しいです。


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