表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

店長の憂鬱



「こまった……」



喫茶店“cachette”の店長『百合子』は、看板をcloseにした後に頭を悩ませていた。この店は深夜帯はバーにもなる為、後は夜勤の山田さんがどうにかしてくれる。だから彼女に残されたのは、目の前の難題だけだった。




百合子は昔から困った体質に悩まされている。それはこの大量のメールやら、花束やら、贈り物やらを見れば自ずと察しがつくだろう。彼女はただの美人ではない“超絶成功者にしかモテない”のだ。

たとえ店長が平凡、普通、そんなありふれたことを望んでも、彼女には非現実的な大富豪しか現れないのだ。


まず百合子が諦めたのは、メールの処理だ。あまりにも量が多すぎる。


「百合子さん、オレがします」


ウドが代わりに百合子のメールを処理する。


外務省、外務省、外務省–––


百合子がそう登録してある男から数百件来ている。


「どうかした?」


素知らぬ顔で言う、いつもの店長がそこにある。いつも彼女の手伝いをしているのはパティシエの少年だが、彼は今日は用事があるようで早々に店を去っていった。

ウドは何でもないと言う趣旨を伝え、また黙々と作業を続けた。


ウドにとっては奇怪な出来事でも、百合子にとってはそれが日常茶飯事なのだ。人生十人十色、色々なことがある。


「はーあ、疲れたわね。山田に何か作ってもらいましょうよ。ちょうど今日、いいもの貰ったのよ」


ウドは素直に頷いた。

相変わらず山田さんの周りには黒服の男の人たちがいっぱいいるし、山田さんは妖艶な微笑みを浮かべているけれど。


夜は更けていく、また日は登る。







「–––瀧澤氏の婚約者の–––は、」


ニュースは今日も、“彼”を探している。

閲覧ありがとうございます。

よければ感想や評価をいただければと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ