次の相手。レーナの気持ち
「やったね! 次は準決勝だね」
フウが大喜びで飛び込んできた。
「お疲れ様でした。まさかここまで勝ち上がるとは思いませんでしたよ」
優しい表情でレーナが言った。
「さすが先生!! 決勝で待ってますよ!!!」
アクアは自分の勝利以上に興奮しているようだ。
「そんなこと言って、次の試合で足もとをすくわれるなよ」
「大丈夫です!! 絶対に勝ちます!!!」
ムンと胸を張る。実際アクアが負けることはないだろう。
もし決勝戦でアクアと戦えたら、絶対面白いだろうなとは思った。勝てる可能性は限りなく低いだろうけど、本気のアクアと戦えることなんて、この先ないはずだ。
ただそれ以上に、おれの次の対戦相手であるブラッシュが気になって仕方がなかった。
「なあレーナ……。次の対戦相手なんだけど……」
「ブラッシュですよね。よく知ってますよ」
レーナは穏やかに言った。
「強いのか?」
「もちろん。私が負けたくらいですからね」
「ポイント操作をして……、反則みたいなマネしてきたからだろ?」
「魔法の使い方を含めて実力ですよ」
レーナの表情は変わらず穏やかだった。おれが思った通り、ブラッシュも魔法でポイントを不正してくる相手だった。スリズ国の参加者は組織的に不正を行っているのは明らかだった。そして、この事実は、大会前の様子から、ギルマスのボーズダさんも知っているのは間違いなかった。
「いいんですか?」
「よくないですね……。ただ……。不正をされなくても私は負けていました。本当に素晴らしい剣士ですよ、ブラッシュは……」
そう言うレーナの表情はどこか寂しそうに見えた。
「実際強いからね! ブラッシュは。負けて当然。思いっきり頑張ってこい」
一発、二発とフウが背中を叩いた。フウ的には気合を入れているつもりなんだろうが、力が弱すぎて撫でてるようにしか思えず、少し笑ってしまった。
「そうです、笑顔でいきましょう。命の取り合いではありません。肩の力を抜いて、将来への勉強だと思って、しっかり戦ってきてください」
レーナにしては珍しくニッコリと笑った。
「わかった。そうする」
言葉ではそう言ったものの、おれの心のもやは完全には晴れなかった。
お待たせしました。ようやく書ける状態になりました。よろしくお願いいたします。




