一回戦後と二回戦
「お疲れ様でした」
控え室に戻ったおれに、レーナはそう言いながらタオルをくれた。
「危なかったけど、なんとか勝てて良かったよ」
「相手もなかなか強かったですね!!」
アクアが興奮しながら早口でしゃべり、エニス王女がうんうんと頷いた。
おれは、びっしょりと汗をかいた。服が肌にくっついて気持ち悪い。大分慣れてきたとはいえ、布の乾きが悪いところはやはり中世と言ったところかもしれない。
「負けるかと思ってヒヤヒヤしたよ。勝てて本当に良かったな」
フウが満面の笑みで言った。
7ポイント取った時はこのまま行けると確信したのだが、決めてを欠き、一時は一ポイント差まで詰められてしまった。
最終的には10-7。辛勝と言ってよかった。
「攻撃が浅かったのかな?」
何本か「入った!」と思う攻撃があったが、ことごとくポイントが入らなかった。あれらが入っていたらまた違ったかもしれない。
「ええ、少し浅かったですね」
レーナが頷く。
「僕は!! 入ったと思いましたが……」
アクアは首を傾げる。
「まあ、微妙なところなら次はしっかり仕留める。アクアも気を付けろよ」
「はい! 先生! 次も二人で勝ちましょう!」
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二回戦、普段の力を発揮できるようになったアクアの試合は圧巻だった。
僅か10秒の一発10ポイント先取勝ち。簡単に言えば一本勝ちだ。相手心臓部への見事な攻撃だった。
後の沈黙はまさに爽快だった。今回唯一のおっぱい枠と言われ、能力よりも、そのはみ出そう果実を見るために客席に戻ってきた観客たちの目的を、その一瞬だけ忘れさせたからだ。
客席からは「天才」「間違いなく今回の優勝候補」「素晴らしい能力におっぱい」「神が与えた剣捌きと動きの速さ、そしておっぱい」「やはり褐色肌は素晴らしい」「昨年のレーナよりも強く、おっぱいが大きい」という声があがり始めたのだった。
アクアの喜ぶ姿を見ていると、こちらもそれ以上に嬉しくなってしまう。
一方おれは、なんとかかんとか二回戦を突破した。
スコアは10-8。またしても接戦。今回は一回戦とは打って変わり、浅い打撃が次々に相手のポイントになっていった。『浅い打撃はポイントになりづらい』という考えから自分の防御を組み立てたのが失敗の元だった。肉を切らせて骨を切るつもりが、しっかりと自分の骨を切り落とされた格好になってしまった。
どうにか立て直し逆転したのは良いが、その後、なかなかポイントが入らなくなる。相手側の防御が厳しくなったのは言うまでもないが、もちろん原因は『浅い攻撃』にあった。だが、今回は一回戦と事情が違う。『相手にはポイントが入っていた』からだ。
勝ったのはいいが、なんともモヤモヤする勝ちになってしまった。




