おごるよ
イケメン戦士の名前はバロックと言う。年齢は20歳だそうで、世界一の戦士を目指して日々修行中という物語の主人公のような人間だ。
とりあえず彼のパーティーの装備を整えるのが今日の目的だった。壊れた武具を買い換え次第アグニスライムの討伐に戻る。
思ったよりも強い魔物が出る可能性があるという事で、能力の低いおれとアクアとエニス王女は予想通りお留守番という形になった。流石に疲れていたこともあり、ちょうどいい休息だった。
「それでいくら貸してくれるんだ?」
それは、おれが昨日夜通し考えていたことだった。この際高い金利で貸して利息をふんだくってやろうかと思ったが「お金を貸して利息を取ると教会に怒られるよ」というフウの言葉もありやめることにした。
もし実現すれば、今後は金貸しになって利息で生活するつもりだったので計画は破綻してしまった。
「いいよ、返さなくていいよ。あげるよ」
「本当か! やった~」
なんとも現金な奴だ。まあフウから小遣いをもらって生活しているおれも同じようなものか。
一応フウに許可は貰った。小遣いの範囲であれば問題ないそうだ。しかし、女の子ならいざ知らず、なんで男にここまでしないといけないんだと若干の腹立たしさを感じている。
「お買い物……楽しみです」
「ぼ、ぼくも買っていいんですか!」
ついでにエニス王女とアクアもこの装備調達に参加する事になった。宿(王の別荘)にいても暇なのだそうだ。バロックの仲間は別に調達するものがあるそうで、別々に行動する事になった。
おれ達4人はまず武具屋に向かった。
「さて、どれにしようかな。お、これなんていいな」
バロックが最初に目を付けたのは、いきなりアグニの武器屋でも最高ランクのバスタードソードだった。
「いきなりそれかよ。ちょっとは遠慮しろよ」
もちろん出せと言われれば出す。ただ一言言いたかっただけだ。
「そ、そうか。ついつい。お、じゃあこっちにするか」
「って値段、変わらないじゃないか!!結局100万ギルかよ。わかったよ! いいよ、買ってやるよ!!」
「ありがとう!」
くっ……!なんか負けた感じがする。
「先生! 僕はこれがいいです」
アクアが選んだのは3万ギルの片手剣だった。
「もっと高いのにすればいいのに」
「えっ?! 十分高いですよ!」
最近高価な物ばかり買っていたせいか金銭感覚がおかしくなっていたようだ。確かに商品を見渡すと、3万ギルの剣は高価な部類だった。前いた世界、つまり日本と物価がそれ程変わらないのを忘れていた。
「エニスは……これを買います」
エニス王女が手に持っていたのは木の革で出来た帽子だった。
「ここはおれがお金を出しますんで気にしないでください」
「そんな……もうしわけないです……たかいのに……」
「大丈夫ですよ」
この店には100万以上の武具がないことは確認出来ていた。多少高くても問題なく払えるだろう。
「それじゃあ……お願いします……300ギルもします……ごめんなさい……」
どうやら、とても王女様とは思えない金銭感覚をお持ちのようだ。庶民的でたいへん愛らしい。せっかくなので鳥の羽のアクセサリー200ギルも買ってあげることにした。
「えぇ……そんな……誕生日でもないのに……!」
王女様はたいへん興奮しているご様子だった。




