4000万ギルの女の子
4000万という金額を聞いて、一般のサラリーマンは何をイメージするだろうか。
おれには一戸建てやマンションやらの購入、芸能人やスポーツ選手の年収くらいでしか耳にしたことがない数字だった。途方もない数字過ぎて『お金』ではなくただの数字の羅列にしか感じなかった。
だが、今その状況は変わっている。今のおれにはそれ以上の大金が手元にあり、その使い方を決める権利も持っている。1億ギルのお小遣いを貰ってから、いつかは家を購入するくらい大きな買い物をしたいと考えていたことは確かだった。
まさか『奴隷』の購入に4000万ギルも使うとは想像もしていなかったが。
「ミヤさんどうされました? お茶が冷めますよ」
「あ、ああ……すまん」
おれたちは表通りに戻り、カフェのようなお店にきていた。店内でテーブルを囲みながら椅子に座るお店で、ちょっとオシャレな雰囲気を漂わせていた。装飾品が特に高そう(子供の感想)。
テーブルに置かれた薄い黒色をした飲み物を口に運んだ。僅かに感じる苦味はコーヒーに近いが、後味や飲みやすさは紅茶に近い気もした。
「美味しいと思いませんか? 最近見つかったブルーヨハンという豆から作っているそうです」
「確かにおいしいな」
「ですよね」
レーナは嬉しそうだ。いつも通り無表情であるが、今日はいつもより喜びが声に出ている。
もちろん理由はハッキリしている。新しい仲間が増えたからだ。
「ぼくもおいしいと思います。というか、こんなにおいしい飲み物初めてです!」
おれの隣から元気の良い声が響いた。
隣の席には、褐色の肌をした女の子が座っている。『ぼく』という一人称を使ってはいるが、性別は女性だ。レーナがしっかり確認した。
女の子は薄い緑色の髪を後ろで縛っており、身体は若干筋肉質で細身、服は白いワンピースを着ている。服は購入した奴隷商からのプレゼントだった。高額落札のお礼ということらしい。
夏休みに毎日スポーツをしている活発な日焼けした女の子という雰囲気もあってか、大人っぽいこのワンピースはあんまり似合っていなかった。ちなみに鎖はもう付けていない。すぐに外して捨てた。
これがおれが4000万で手に入れた子だ。
『購入した』というとなんだか罪悪感が出てくるので、ドラフト1位で指名した、また優秀な中途社員を採用したと考えることにした。どこにこんな人材が! 即戦力じゃないか! 言い方次第で気持ちは変わる。
「こほん、それでは改めまして自己紹介をさせてください。私はレーナ・エリキシル、種族はエルフ、職業は魔法使いフウのメイドをしております。レーナとお呼びください」
「おれはミヤ。フルネームでミヤ・ユータ。種族は人間で職業は無職。居候の身だ。よろしくな」
なんだろう……こんなに悲しい気持ちになった自己紹介は久しぶりかもしれない。
「ぼくは……。シークド・アクアっていいます。ベネチ村出身です。種族は人間です。職業は奴隷です。一生懸命働きますので、優しくしてくれると嬉しいです!!体力と元気は負けません!!」




