ギルドマスターからのプレゼント
購入した武器を一つ一つ手にとって見ていく。
販売していた商品をまとめて購入したのでしっかり見るのはもちろん初めてだ。やはり一番に目に付くのは剣だ。剣先が非常に細くフェイシングのような剣もあれば、2メートル近い剣もあった。いわゆる大剣というやつなのだろう。
手に持ってみたが、とても自由自在に振れるような重さではない。これを持ってモンスターと戦うなんて不可能だ。野球部のように毎日金属の塊を振り回しているような人間だったら自在に扱えるかもしれない。
もちろんおれは野球なんてやってないし、そもそもスポーツをやっていない。健康(肩こり改善)のために風呂上りのストレッチをしていたくらいだ。
転生なのか転移なのかいまいちハッキリとしないが、おれの体付きは、この異世界に来る前の10代だった頃によく似ており、筋肉質ではないため役に立ちそうになかった。非常に残念である。
「素晴らしい剣の数々ですね」
フウは短剣を手に取ると、おれに渡しながらそう言った。凸凹が特徴的な短剣だった。
「残念ながら使いこなせそうにないが」
おれは笑って答える。自虐的ではあるが当然の答えだ。
「鍛えればきっとすぐに扱えますよ。せっかくギルドマスターが選んでくださった武器の数々、自在に武器を操っている姿を見せればきっと喜ぶと思いますよ?」
「そうかな……」
正直なところあまり気乗りはしない。万が一武器を使えるようになったとしても使い道がないからだ。モンスターや人と戦うことはしたくない。お金は十分にあるので、危険なことをせずにのんびりと暮らしたいというのが本音だった。
「『ギルドマスター』というはあの恰幅の良いヒゲの生えたおやじのこと?」
「もちろん。お話していませんでしたか? あの方はファンニルにある冒険者ギルドのマスター『ホーズダ』様です」
初耳だ。ただの武器屋のおやじだと思っていたが、そんなに凄い人物だったのか。ちゃんと挨拶をしておいて正解だった。
「お店に並んでいた時とは商品内容が少し変わっていますので、フウ様が購入されると分かってよい良い物と取り替えてくれたのでしょう。これだけの物を一千万ギルでは買えません」
「そんなに価値があるのか! 全然わからん……。でもなぜ武器屋の商人をやっているんだ? 冒険者なんだろう?」
「副業とお聞きしました。もっとも本業の冒険者はとっくに引退されてこちらが本業のように感じますが、ご本人が『副業』とおっしゃるのであくまでも副業なのでしょう。意外に適当で大雑把な方なので考えたことがないのかもしれません」
「意外というか、印象そのまま過ぎて意外だったと言うべきだな」
「そうかもしれません。そうそう、ミヤ様宛にお手紙もありますよ」
「手紙?」
「お読みします。コホン……『今度釣りをしよう』……コホン……とのことです」
わざわざ低い声で声真似している姿がちょっと可愛らしかった。それにしても……。
「それだけ?」
「はい。荷物の中に釣り道具が一式ありましたので、それがプレゼントだと思います」
「……なんか気に入られたのかな?」
「だと思います。ただ、ホーズダ様は忘れっぽいので『釣りをしよう』という約束はなくなる可能性が高いです。確率的に120%です」
「100%超えてるのかいな……・まあ、それならありがたくいただいておくか。いい暇つぶしになりそうだし」
「せっかくでしたら今からやりましょうか? フウ様もお誘いして」
「そうだな、やろうか。釣りが出来る水場が近くにあるのか?」
「もちろん、敷地内にございますので気兼ねすることなく楽しめますよ
いつも読んでいただきありがとうございます。




