かわいい子には裏がある?えぴろーぐ
そんな無責任な決断の言葉があるか、と後になって冷静に考えたこともある。
――一年の時が流れて――
どうやらきっちりドラゴンとしてのお勉強を詰め込まれたらしいマリアンヌはある日冒険者ギルドに現れた。
「ミルさーん、お久ぶりですネー。マリアンヌですー」
ふわふわのプラチナブロンドの美少女に話しかけられて一瞬誰かと思ったわけで……。しっかり力の制御も使い方も学んだようで普通に一緒にテーブルを囲んでお茶をしていても違和感がない。
「いやー、しかしほんとに見違えたわ~。たった一年で成長するものねぇ」
「ほんとですね。マリアンヌさんの努力の賜物ですね」
それぞれが口々に誉めそやしているとげっそりとした顔でマリアンヌが机に突っ伏した。
「それがー、そうじゃないんですヨー……。色々面倒なことになっちゃッテ、必死に最短で詰め込んで逃げて来たんですヨー……」
……はい?
「ドラゴンが逃げ出すような面倒ごとってなかなかハードそうですよ。僕は関わらないですからね……」
「何言ってるの、私だっていやですわ。何か起こったら最終決定をしたミルが責任取りなさいよ」
「なんでよ!?私が決めたわけじゃないし!みんなの意見の結果でしょーが!」
「まぁまぁ……ひとまず聞いてよかったらマリアンヌさんの話を聞かせてもらえます?」
そんなわけで面倒な予感しかしないながらも聞いた内容は……
「えーっと、つまりは勉強途中できりきり教えてもらってたら知恵がついてきて理論的に反論することが増えたらなぜか気に入られて嫁候補に突然昇格して口説かれまくって身の危険を感じた、と……」
「ソウー。後ねー、黒先生に惚れてるっぽいブラックドラゴンのお嬢さんがそれを聞いて毎日のように突撃してくるようになってネー。ああいうのって困るんですヨネー。どっちも迷惑でダブル迷惑でネェ……。逃げちゃうと思わナイ~?」
『思う(います)』
途中まではドラゴンの姿で最速で空を飛んできたらしいが王都近くまで行くとすぐにばれるだろうってことで少し別の方角に飛んでから小さな村の近くで人化してそこからは普通の人に混ざって旅をしてきたらしい。元々知能は高いホワイトドラゴンとはいえほんとに賢くなったものだ……。
「まぁそのうちばれるかもしれないけどねぇ。もし追いかけてきたらどうするの?」
「あ、それは多分ダイジョウブー。出て行く前におっかけのお嬢さんに私の部屋の鍵を渡しておいたノ。長めに休むから二日は部屋にこもるっていっておいて出て行く日からお嬢さんにその部屋に篭らせて夜まっくらになってから鍵を開けておいたらきっと先生は来るヨー、って教えてあげたんダー」
にこにこと言うマリアンヌをみて衝撃が走るカルテット。
ミーナ(ドラゴンって一度番ったらよっぽどのことがない限り離れられないんじゃないでしたっけ?)
ミル (確か文献にはそうなってたわ。相手が不慮の事故などで亡くなっても何百年単位で喪に服していて他の番を探すことはないとか……)
ピッド(そもそも次の番を探すのだって子孫がいない場合だけじゃないですか)
リメイ(つまりお嬢さんとやらがうまくやってくれればもうアレは追ってこれないってことじゃないの……恐ろしい策士ね)
『ドラゴンって怖い(です)』
「えっ?えっ!?何ガ??」
これにて一旦の短編投稿は完了…にします?
また完成したら部分的に短編を投稿したりするかもしれないです。
次の話を思いついて投稿できるものが出来るようになれば連絡させていただきます。
…でも正直現状あんまり余裕がありませんが…。