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かわいい子には裏がある?②

分かった事実に頭を抱えるミーナさんと私。


「えー、これどうすんの……。探しに行くの……?行って見つかってもどうするって感じなんだけど」

「見つかったとしてもここに戻って来ることは難しそうですが依頼人にどう納得してもらうかが困りますね」



ドゴオォォーーーーン……



なにやら城壁の外から派手な破壊音が響いてくる。


『……』


思わず二人で音がしたほうを見て上がっている煙を確認する。


「そういえばさー、ミーナさん。ちょっと前から近くの森にアレの調査・討伐依頼って出てなかったっけー」

「今の音で私も思い出した所でした……。誰も依頼を受けなかったらきっとこちらに回ってくるんだろうと思っていましたがまさかこんなところで繋がるなんて思ってもいませんでしたね~……」


壁の向こうに上がる煙をミーナさんと二人肩を並べて遠い目で眺める。


「ちょっと!?なんか外で爆発音が!……何二人とも?」

「嫌な予感がどんぴしゃ的中してちょっと頭痛がしていたところ……」

「は?」

「ほんとにどうしましょうか……。アレに話を先に聞きに行きますか?それともお嬢様に説明を先にしますか?」

「アレ?」

「いや~、さっきのお嬢様の説明で途中からリメイは虚言癖か妄想厨、みたいな感じで聞き流してたけどほんとはただお嬢様がすごく素直だったんだーってこと?」


ざっと屋敷の人たちからの証言内容をまとめて伝え、そこから予想される事実とギルドの依頼と先ほどの爆発音の事を話し合う。


「はあぁぁ……とりあえずミルとミーナさんは外の様子見てきてちょうだい。私は依頼人とピッドに説明して来るわ。後で合流するから倒すか逃がすかどうするかはその時答え持って行くわ」

「りょーかい。じゃあ噂のマリアンヌちゃんに会いに行ってきますか」


飛行の呪文を唱えてミーナさんと二人で爆発音がした森へ向かう。黒い煙がもくもくと上がる焼けた森の元に降り立つと吹っ飛ばされて目を回している冒険者と思しき姿が三名。こんがりしてるけど命に係わるほどの火傷ではなさそう。そして木々の上から困ったようにその冒険者を眺める白い姿の……


ド ラ ゴ ン ☆


純白の羽毛のような毛?に包まれたその姿はとても神秘的☆……ちょっと困った顔してわたわたと冒険者を気遣ってる表情や仕草が人間臭いケド紛うことなくドラゴンです。


「あー、えーっと。マリアンヌちゃん?」

『あ、ハイ。こんにちは、魔法使い?サン。ちょっと加減がわからなくてやりすぎちゃっタ?けどこの人たち大丈夫カナ?』

「軽い火傷だけだし問題ないかと思いますが。念の為治癒魔法かけます?でも今目を覚まされるとちょっとめんどくさそうです?」


ということでマリアンヌちゃん(ドラゴン・雌・五歳)には森の中に伏せて姿を隠してもらってから冒険者を起こす。


「眩く照らす白き光。光の精霊の助力を。癒しの妖精(ヒーリング)

「もしもしー。大丈夫ですかー?」

「はっ!?ここはっ!ヤツはどこいった!」


軽い治癒の魔法で傷が塞がり目覚めて騒ぎ出す三人に説明をする。


「あの、爆発音と煙に気が付いて街から飛んできたら冒険者さんたちが倒れていてですねー。白いドラゴンが森から飛んでいくのが見えたんですがお兄さんたちは大丈夫ですかー?こんがりしていたので一応治癒魔法はかけたんですけどー」

「はっ!やっぱりあれはドラゴンだったのか!」

「だ、だから言ったじゃないか!遠くからの確認だけにして調査書作成にしようって!」


おそらく依頼は「王都周辺の森にて目撃情報がある白い魔獣の調査・討伐」ってやつなんだろう。依頼自体は調査のみでも達成になるが討伐してその証明を持っていけば追加報酬がある。利益を狙いすぎたんだねー、きっと。命知らずは良くないです。ランクBくらいっぽいし……


「とりあえずお兄さんたちは問題ないなら街に戻られたほうがいいですよー。もしドラゴン戻ってきたときにお兄さんたちがいたら……どうなるんでしょうね?」

『ひぃっ』

「少なくともその装備ではちょっとドラゴン退治は難しいと思いますよ。遠くから一発で倒せる魔法が使えるとかなら別ですけど……。ホワイトドラゴンに近接するなら打撃を躱すか耐えられるような装備に加えてブレスの対策ができている魔道具が必要ですよ。鉄をも溶かすって言われるブレスを防ぐならちょっと、お高いですけど」


私とミーナさんがそういうとお兄さんたちは真っ青になってカクカクと頷いて街へと足を向ける。ふと三人のうち一人が振り返り声をかけてくる。


「おい、お嬢ちゃんたちも危ないから帰るだろ?」

「え?いえ、別に。森に用事がありますしそれが終わってから帰りますよ」

「なっ!?ドラゴンがいるんだぞ!死んだらどうするんだ!」

「あぁ、心配してくださってたんですか。大丈夫ですよ。多分……冒険者ランクもあなた方より高いと思いますしいざとなればドラゴンくらいなら魔法で一発ですから(主にミルさんが)」


ちらっと横目で見られてぽりぽりと頬を掻く。まぁ、今回はやる予定ないけど若いドラゴンくらいなら確かにそんな脅威には感じない。ちなみにミーナさんが言った冒険者ランクはFから始まり最高はSSランク。私たちはチームとしての平均ランクがAで私個人がSランク。


「ば、ばかな。その制服、学院生だろ?……学生でランクがそんな高いわけが」

「っ!まさかあなたは!いやっあなた達が!」

「あれ、なんかまた噂一人歩きパターン……?」

「ミルさん暴れ過ぎですよ?ほんとにおちゃめさんなんだから」


いや、いやいや!?『あなた()』って言われてるからね!ミーナさんも入ってるからね!?


「最凶の学院生カルテット!」

「うわーうわー、ほんとに本物!?あ、じゃああなたが虹色の彗星(イリス・コメット)だね!サ、サイン下さい!」

「お、俺一度でいいから銀糸の君に縛られてみたかったんです!ここで出会えたのも運命!ぜひ一度その銀糸を受けてみたいです!はぁはぁ……」


『……い、いやああぁぁぁぁぁ!!』


ドゴォォーーーーーーン!!


その日、街に向かって三つの人影が飛ばされていくのが観測されたとか。

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