3号 確かに剣より強かった
・・・ここは?
地獄の魔女、じゃなくて可愛い女神さまとプチ漫才したのは覚えている。
周りを見渡すと12畳くらいの石造りの部屋でベッドの上に腰掛けていた。
(気が付きましたか?)
女神さまの声が聞こえてきた。
俺の意識に直接話しかけてきているようで姿は見えない。
いい匂いがしていただけに残念だ。
(私っていい匂いしますか~。じゃあ、私の匂いがする鉢植えを置いときますね~。水じゃなくて愛情を与えてくださいね~)
窓辺に鉢植えが現れてきた。
女神さまを視姦しつつ匂いを嗅ぐのが良いのにな。
(いくら私が女神さまといっても、そっちの世界に実体で転移するのは無理なんです~)
「で、俺が貰った能力ってどんな感じなんだ?」
天然ボケなのか?痛い子なのか?よく分からん女神さまなので、本題について聞いてみた。
(剣さまにプレゼントした能力はペンで剣にも勝てる能力です!)
ヤバイ。不安になってきた。
絶対に何かしらの勘違いをしているぞ。
取り敢えず、女神さまの説明を聞くことにした。
・・・1時間説明された。
予想どおり天然ボケ女神さま確定だな。
1・オリハルコン製万年筆→ヒヒイロカネ製パソコンに変更|(強度アップ)
2・100∨電源での充電→魔力で充電に変更
3・ナビ機能搭載(モニタでナビゲート)
4・鑑定機能搭載|(WEBカメラを使用)
5・その他便利機能搭載♪
この世界ではオリハルコンは魔力を通さない仕様で、魔力の無い戦士などが武器の素材にする最高峰の金属とのこと。
ヒヒイロカネは魔力との相性が良くて魔法職の杖や魔法剣士の武器の素材にされる伝説級の素材らしい。
そして、ここは地球でいう中世ヨーロッパの文化レベルであるが、魔法や魔物アリのファンタジー世界。
えっ?国際ジャーナリスト関係ないじゃん。
ペンで平和を訴えたいんですけど!
なんだか泣きたくなってきた。
(因みに、剣さんが居る家は森の中にありますが、結界が張られているので魔物は侵入出来無いのと、身体能力は人並み以上に優れているので、今のレベルでもCランク以上の魔物に遭遇しない限りは大丈夫ですから~)
なんて捨て台詞を吐きやがって、女神さま・・クソ魔女は俺の意識から消えていった。
「さて、どうしようか?」
人間、食べねば生きていけないし、食べるためには稼がねばならない。
泣きたい気持ちを抑えて、テーブルの上に置いてあるパソコンを操作してみた。
先ずは鑑定機能を使ってみよう。
自撮りで自分を撮影して鑑定。
【名前】筆ケ崎 剣 29歳
【性別】男
【種族】人間族
【職業】国際ジャーナリスト
うん。微妙な鑑定結果だな。
クソ魔女が俺自身とパソコンにそれぞれレベルがあると吐かしていたから、どっちも低レベルなんだろうな。
他にも部屋の中にある物を鑑定しまくってみたが、飽きてきたのとレベルアップする気配が無かったのでナビ機能を使ってみた。
自宅から6キリ(6キロ)の所に街があったので食料と情報を仕入れに行ってみるとするか。
・・・暑い。
パソコンの中から取り出したペットボトル飲料を飲みながら徒歩で街まで移動している。
クソ魔女から貰ったパソコンはアイテムBOXの役割も兼ねており、ハードディスク容量が許す限りアイテムを収納出来る。
現在のハードディスクの残量が300ギガ程度で、500mlペットボトルなら60万本入る。つまり、1ギガあたり1テン(1トン)入る計算。
クソ魔女なんて言ってゴメンナサイ。女神さまサイコーです。マジ可愛いっす。
1時間くらい歩いた所でパソコンのモニタを見ると、50メル(50メートル)先の茂みに魔物を示す赤い点が2つ表示されていた。今のレベルだと50メル先までしか魔物を探知出来無いっぽいな。
「さて、初めての戦闘でもするか」
残り20メル程度になったら魔物が茂みから出てきて視認出来るようになった。
取り敢えず、魔物をWEBカメラで撮影して鑑定。
【名前】ニック・ボラン 26歳
【性別】オス
【種族】ゴブリン族
【職業】森の殺戮者(雑魚専)
【ランク】D
【名前】マイク・ボラン 24歳
【性別】オス
【種族】ゴブリン族
【職業】無職
【ランク】F
苗字が一緒なので兄弟かな?てか、雑魚専って何だよ!
まぁ、良いや。
女神さまはCランク以上の魔物に遭遇しない限り大丈夫とか言ってたので、2匹を相手にしても問題ないだろう。
ここは先手必勝に限る。
ダッシュでゴブリンに近づき、パソコンでゴブリン弟の頭を思いっ切りぶん殴ると一撃で頭が吹き飛び、緑色の血を噴き出しながら絶命した。
弟を殺された怒りなのか?ゴブリン兄は耳障りな雄叫びを発しながらショートソードを振り上げてきたが、パソコンを盾代わりにして攻撃を受け止めた。
流石はヒヒイロカネ製のパソコンだ。ショートソードで切りつけられてもビクともしない。
そして、ゴブリン兄も同じようにぶん殴ると一撃で頭が吹き飛び絶命。
うん。剣より強いわ。強さの意味が違うけど強いわ。
「・・・ふう。疲れたわ~」
初めての戦闘が終わって一息ついていると、モニタに新たな赤い点が表示されていた。