2話 異世界へ
・・・ここは?
落ち目アイドルに刺されたのは覚えている。
そりゃ、そうだ。
奴がアイドル崩れ野郎になったのは俺が書いた記事にも原因があるからだ。
ファンに手を出したことを記事にしたら無期限の活動自粛となった。
どうやら条例に引っ掛かる年齢のファンに手を出したようで、その子が某呟きサイトで画像付きで呟いていたのが更なる大炎上となり、無期限の活動自粛に・・・
まぁ、それでも刺すのは逆恨みも度が過ぎると思うわ。
「気が付きましたか?」
女医?女性看護師?
少なくとも3回刺されたのは覚えており、背中は意外にも致命傷になりやすいのに助かったのか?流石は現代医療・・・と思っていたら
「3回ではありませんよ。背中は7回。胸は6回刺された時点でナイフが折れました。それから散弾銃で顔面に2発・・
「もういい。それだけ刺された上に散弾銃で顔面撃たれたのに何で俺は生きているんだ?てか、3回刺された云々は喋ってないぞ。」
「生きてる訳無いですよ~。貴方は背中を3回刺された時点で命を落としてます。今は死後の世界とでも言うのでしょうか、喋らなくとも意思の疎通は出来ちゃうんですよ~」
へぇ~。意思の疎通ね。
出来ちゃうんですよ~っていう喋り方が地味にムカつくな。
てか、何だよ!その寝癖は!可愛いじゃねぇか
「これは寝癖じゃなくてアホ毛ですよ~。やっぱり可愛いですか?狙い通りです~」
「・・・もういい。意思の疎通は出来るのは分かった。で、地獄の魔女様が三流週刊誌の記者ごときに何の用なんですかね?」
「わざと言ってますね?私は神さまなのを知ってて言ってますね?」
「うん、わざとだよ。流石は地獄の魔女様、何でもお見通しですねぇ」
あれ?魔女様が涙目になっている。
神さま。イヤ、可愛い女神さまが涙目になっているに訂正しておこう。
可愛い娘を苛めるのは三流週刊誌記者の職業病ってことで許して~
「かっ、可愛い女神さま♪剣さんったら正直なんだから~。その正直さに免じて許しちゃいます~」
「・・・漫才はこれくらいにして、俺はどうなるのかな?散々ゴシップ記事を書いてきたので地獄行きは確定?」
女神さまと会話するのは楽しいが、この先どうなるのか不安だったので今後どうなるのか聞いてみた。
「え~とですね。剣さんは国際ジャーナリストになって『ペンは剣よりも強し』でありたいと思っていたので、そういった能力をプレゼントします~」
「具体的にはどんな能力になるんだ?」
「剣さんのような感じで志半ばに命を落としたケースは今までに例がないので・・・取り敢えずこういうのはどうですか~」
目の前に万年筆が現れて俺の胸ポケットに入ってきた。
書いた記事が事実になる万年筆?ドラ○もんの道具かよ。
てか『ペンは剣よりも強し』と言っても、今の時代はパソコンで記事を書くんだから微妙な能力だな。
「書いた記事が事実になる能力なんて私のチカラでは無理ですよ~。これはオリハルコン製の万年筆で、生半可な剣程度なら叩き折れる強度があるんですよ~」
「『ペンは剣よりも強し』ってそういう意味じゃねぇよ!。『言葉の力は武力よりも大きい力を持っている』という意味だよ。それに、今の時代はパソコンで記事を書くんだから万年筆なんて使わないわ!」
「むぅ~。じゃあ、そのパソコンで能力を使えるようにします~」
「コイツ、また勘違いしてそうだな。大丈夫か・・
言い終わる前に俺の意識が飛んでいった。