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【詩集】 ちよ綴り

REASONS

作者: ちよ

   ねぇ がらくた抱えてどこいくの

  ねぇ 風が爽やかに頬を撫でていくの


  白い部屋には溜息が逃げ場を探してる


  ひざを抱える

  がらくたと一緒に


  錆び始めたセルロイド

  ねじの取れたセルロイド


  夢だけを食べて うっとりしてる

  宙にぶら下がるわたしの影


  舌を切られても詠うことは忘れない


  ねぇ がらくた抱えてどこいくの

  ねぇ 盲いた眼でなにみているの


  爽やかでとても気持ちのいい風が吹いているわ

  風だけが頬を撫でているの


  なにをするでもなく

  ただ頬を撫でていくの



  ねぇ 宝物はどうしたの

  ねぇ 伸ばした手の先が届かない


  白い画面には往く先の地図がぼやけてる


  おもちゃの兵隊はどこへ向かうの

  ゼンマイがきれたら誰が巻いてくれる


  夢を食べる獏が追いかけてくる

  このまま飲み込まれて影も失うの


  この腕の中で泣く子らを宥めて

  わたしは立ちつくすこともなく風を受け止める


  強い風に礫をあてられても

  盲いた眼を見開いて抱えた迷い子を守り通すわ


  なにもできずにいたことに唇を噛みしめて

  撫でる頬にあてられた手を握り返して


  在るべき方向へ

  大事なあなたが向き直るために



この身に寄せられたたくさんの胸の内を守りたい

夢も忘れたくない

退路のない道を往く

一つも取り落とさず


――たとえ強欲と罵られたとしても

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても丁寧な詩でした。 [一言] 一回読んだだけでは分からずに、二回三回たと読み直しました。 噛み締めるたびに味が出てくる良い作品だなと思いました。 いつの間にかがらくたになったおもち…
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