43.3学期の始まり
冬休みはデートが多かったな……。
特に、クリスマスと大みそかの年越し+元旦は大イベントだし、年明けてからも何回か。オミの日はデート、俺の日はバイト、みたいな感じ。
いや、なんかなぁ、判ってたけど、オミがベタ惚れなんだよ。一応、俺との温度差を気にして控えているつもりらしいけど、彼女が可愛くてしょうがない感が見え見えで。
デートの様子とかさ、そんなのの記憶見てもこっぱずかしいったらないんだよな。見せる側も見せられる側も、なんかいたたまれないって言うか。
……ちょびっと、ホントにちょびっとだけ、いいなぁと思ってしまうのは、オミには内緒だ。
休み明けの始業式は俺の番で。
なんか、ちょっと緊張した。
勿論、宿題はちゃんと終わらせたし、忘れ物はない。そんな事で目立つなんて馬鹿なことはしない。
ただ、最近感じる俺とオミの違いが気になるんだよなぁ。……いよいよリミットが近いのかもしれない。
何とかあと1年。受験までもたせて、バラけて大学に行きたいというのが俺の野望だ。
オミのフリ、オミのフリ。
3学期始まってさっそく席替えがあって、俺は窓際前から5番目。休み時間はカーテンを開けて、日向ぼっこが出来る。
極楽、極楽。
「寝てんじゃねーよ」
「……ひでぇ」
ウトウトしてる所を博海に殴られた。鬼だな、全く。
恨みがましく睨み上げれば、流石にバツが悪そうだが。
「いーじゃん、寝かせろよぉ」
「1人でいい思いしてんなよなー……。俺なんかなぁ」
あれ、肩がフルフルしてるよ?
「俺なんか真ん前ど真ん中だぞっ!」
あ、キレた。
「まぁまぁ。近すぎて却ってセンセの視界には入ってないだろ?」
「まぁな。でも、佐藤Tの授業だと、雨と雪が降るんだぜー」
雨と雪。……唾とチョークの粉。
「……汚ねー。唾まみれでやんの」
「なすりつけてやる」
「やめろっ!」
いつものおふざけ、の筈なのに。思わず本気で振り払っていた。
「政臣?」
博海の不審そうな顔。誤魔化さねば。
「や、鳥肌立った」
「そ、か?」
「ああ、なんか寒気が……風邪ひいたかな」
ちょうど鳴るチャイム。 全然誤魔化せてねーけど。
「授業中、日向ぼっこしてろ」
言って席に戻って行く博海。見逃してくれただろうか。
やばいよ、頬が熱い。
……死んだ。
机に突っ伏して、そのまま死んでいたかったが、そうもいかない。
すぐに授業が始まって、とりあえず板書に励む。
何しろ早い早い。ぼーっとしてたら、すぐに消されちまう。
なのに。博海の背に目が行くのはなぜだろう?




