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私があなたをいじめた?そんな時間あると思いますか?

作者: 加藤 すみれ

ある魔法が使える世界の学園のこと

3年A組の扉が勢い良く開いた。

扉を開いたのは、マーラ・シャンデラ公爵令嬢だった。マーラ嬢は泣きながらある一人の生徒のそばに近くの近づき、言った。

「いい加減にしてください!!あなたはどれだけ私をいじめれば気が済むのですか!?サーシャ・ヘンデラー伯爵令嬢!!」


3年A組にいた生徒たちは、一斉にサーシャに「公爵令嬢になんてことを!?」と言おうと、サーシャに目を向けた。

だが、その気はすぐになくなる。なぜなら、サーシャは学園一忙しいからだ。今も、昼休みだというのに昼も食べずに書類仕事をしている。


サーシャ・ヘンデラー伯爵令嬢は、ヘンデラー家当主ラスカ・ヘンデラーが亡くなってから、すべての仕事を一人で引き受けた。なぜなら、ヘンデラー家には男児が生まれず、ラスカの妻レーリア・ヘンデラーは夫が亡くなってから体調を崩していたからだ。学園には必ず通わないといけないので、学園に書類などを持ってきているのだ。


「聞いておりますの!?ヘンデラー伯爵令嬢!!」

「申し訳ありませんが、私は今とても忙しいのです。あなた様に構っている時間はありませんの。」

サーシャは手を止めずにマーラに言った。


「な!あなた、私があなたよりも位が高いということをお忘れですの?」

それを聞いたサーシャは、その手を止め、マーラ嬢を見た。サーシャは「はぁ」とため息をついた。

「見ての通り、私は忙しいのです。そんな時間があるとお思いで?」

そう言った後また、サーシャは手を動かした。

「なんですって?あなたよりも位の高い、私に何という言葉を!」


怒ったマーラは、書類を持ち上げビリビリに破り捨てた。

「は?あなた、何をしたのかわかっておりますの?」

「ふん!あなたがちんけな紙にばかり気を取られているようなので、破り捨ててあげたまでです。これで私の話を聞く気になりました?」

マーラは自分がなんということをしてしまったのか気が付いていないらしい。


その時、教室に一人の男性が入ってきた。

「なにごとだ?」

その男性は、この国の王のただ一人の息子、ネクロ・サンドラシア王子だった。

誰もが王子に頭を下げる中、マーラは王子の腕に飛びついた。

「ネクロ様!お助けください!サーシャ嬢が私をいじめてきますの。」

「いじめ?何を言っているんだ君は?」


王子の眉間にしわが寄っていく。

「ですから、サーシャ様が...」

「っ!?こ、この書類は!」

王子はビリビリに破り捨てられた書類の一つを拾い上げた。

「あ!それはですね、サーシャ様が私のお話を聞いてくださらないので私が破り捨てましたの!」

教室にいた者達の顔は青ざめていた。その書類の正体が分かったからだ。その正体を知らないし、知ろうともしていないマーラだけが笑顔だった。


「そうか、君が破ったのか...」

王子は手を耳にあて、ぼそぼそと何か言った。少しした後、衛兵が教室に入ってきた。

「このものを捕らえよ。」

王子の声はとても低く、顔も暗かった。


「あら?サーシャ様おつかまりになるのですね?よかったですわねぇ、牢屋なんてあなたにお似合いですよ。」

「そうだな、お似合いだ。だがそれは、マーラ・シャンデラ公爵令嬢、君のことだ。」

「え?」

王子が言ったとたん衛兵がマーラを抑え込んだ。

「きゃあ!なぜですの!?何故私が捕らえられてるんですの?」

「まさか、君がこんなにも馬鹿だったなんて...」

そう言って王子はビリビリに破られた書類の1部をマーラに見せた。


「これは、一年に一度しか発行できない、王族との婚姻届だ。」

それを聞いたマーラの顔は青ざめた。

王族は、不貞を働かないように婚約者以外の者と関係を持つことができない。そして、一年に一度しか婚姻届を出すこともできない。

その婚姻届をマーラは破いてしまったのだ。


「お前のせいで、私は今年中に婚姻ができなくなった。ようやくその罪の重さがわかったか?」

衛兵に押さえつけられていたマーラは抵抗をやめて大人しくなった。


私は、6歳の時に偶然ネクロ様に出会い、婚約者に選ばれた。一目惚れだそうだ。それから今まで、ネクロ様はずっと私を愛してくれていた。


そんな私との婚姻の話が出て、ネクロ様はとても嬉しそうだった。なのに、マーライオンさんに破られてしまったことで、彼は激怒している。


「衛兵!今すぐそいつを牢屋に入れてくれ!」

そうして、マーラさんは連行されていった。

「すみません、ネクロ様。まさか、破られるとは思っておらず...」

「いや、いいさ。君は今とても大変な状況だからな。仕方がないさ。婚姻は来年になってしまうが許してくれ。」


それから、何故マーラがサーシャにいじめられたと言い出したのかの尋問をされると、あっさりと答えた。

伯爵令嬢のくせに王子と結婚するのが許せず、問題を起こせば婚約破棄されると考えたそうだ。




あれから1年後、ようやくサーシャとネクロは結婚した。その頃には、レーリアは奇跡的に妊娠していたことが発覚し、元気な男の子が生まれた。レーリアが体調を崩していたのは、子供を授かっていたからだったのだ。ヘンドラー家には跡継ぎができ、存続可能となったのだった。

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― 新着の感想 ―
わあ、タイトルの時点で「言い逃れ最強の悪役令嬢きた!」って掴まれました。マーラの“いじめ告発”に対して、サーシャが昼休みにも書類仕事してる描写がすぐ入るから、読者側は一瞬で「これ絶対濡れ衣だ」って察せ…
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