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■第7話:翌日の朝

夜が明け、島のキャンプ場は朝の光に包まれていた。青い空が広がり、朝日の輝きが海を照らす中で、波の音が静かに浜辺に打ち寄せていた。昨日の恐怖が嘘のように、朝の静けさが広がっていた。しかし、キャンプ場にはユリ一人しか残されていなかった。


ユリは浜辺に座り込み、遠くの水平線をぼんやりと眺めていた。

波の音がリズムよく響き、静かな感覚が広がっていた。ユリの心の中で昨日のことを思い返していた。


ユリ(心の中で呟くように):「リョウ、ミカ……」


浜辺のすぐ近くには、テントが乱雑に置かれており、昨日の不安な雰囲気が今も残っているようだった。しかし、その静けさの中に、ユリが座る浜辺は異常なほどに平和な雰囲気をだしていた。

彼女の心は、昨晩の記憶に囚われていたが、その中で平穏を装っていた。


突然、ユリの耳にエンジンの音が聞こえてきた。彼女は顔を上げ、その音の方向へと視線を移すと、遠くから一艘の漁船が近づいてくるのが見えた。船が近づくにつれて、ユリの心は少しずつ希望に満ちていった。


漁船が浜辺に近づくと、船から降りてきた漁師がユリの方に向かって手を振ってきた。


漁師(優しく声をかけながら):「おい、大丈夫か?こんなところで一人でいるのか?」


ユリは力なく立ち上がり、漁師に向かって歩き出した。彼女の顔には薄く微笑みが浮かんでいたが、その微笑みの背後には深い疲労が隠されていた。


ユリ(疲れた声で):「はい、大丈夫です。助けてくれてありがとうございます。」


漁師はユリを優しく船に誘い、彼女を安全に乗せた。船の中は温かく、エンジンの音と波の音が心地よい背景音となって、ユリの心を少しずつ落ち着けていった。漁師はユリに温かい飲み物を差し出しながら、彼女の話を聞き始めた。


漁師(心配そうに):「ここで何があったんだ?何か困ったことがあったのか?」


ユリは漁師に、昨夜の出来事と友人たちの失踪について簡単に話した。漁師は黙って聞き入っており、その表情からは深い同情が読み取れた。


漁師(穏やかに):「とにかく、お前が無事でよかった。これからは船で安全な場所まで送ってやるから、心配しないでくれ。」


ユリは感謝の意を示し、船が徐々に島から離れていく様子を見つめた。朝の光が海面を輝かせ、波が静かに船を揺らしていた。その中で、ユリは薄く微笑みながらも、仲間だった彼らの顔を思い出していた。


船が島を遠くにし、水平線が次第に遠くなっていく中で、ユリは最後に浜辺を振り返り、ニコリと笑いかけた。



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