■第6話:最後の時間
夜が深まり、無人島のキャンプ場は完全に暗闇に包まれていた。星々が天を飾り、月明かりが薄く海面を照らしているが、その静寂が逆に不安を呼び起こしていた。リョウとミカは、心がすり減っていく中で、ユリの安全を確保しようとしていた。
ミカ(疲れ果てた声で):「リョウ、もう一度周囲を見て回ろう。どこかに手がかりがあるかもしれない。」
リョウ(疲労感を隠しながら):「そうだね。もう一度、灯台の周りや浜辺を探してみよう。」
リョウとミカは再び灯台へ向かい、そこから伸びる影に紛れて、灯台周辺を調べ始めた。月明かりが灯台の外壁を照らし、不気味な影が動く中で、彼らの心はますます重くなっていた。静かな夜風が灯台を吹き抜け、古びた木の音が微かに響いていた。
リョウ(小声で):「気を付けて。何か見つけたらすぐに知らせて。」
ミカ(頷きながら):「わかったわ。」
灯台の内部を再度調べる中で、ミカが何かに気づいた。
ミカ(興奮気味に):「リョウ、見て!灯台のあそこに、何かが引っかかっているわ!」
リョウが灯台の内部に進むと、古い階段の下に、何かが引っかかっているのが見えた。注意深く近づくと、そこにはショウのカメラがあり、その前に小さな手がかりが隠されていた。
リョウ:「これだ!ショウのカメラだ!」
リョウはカメラを取り出し、メモリーカードを確認すると、何か映像が保存されていることがわかった。ミカと共に再生し始めると、薄暗い映像の中に、ショウが灯台の周囲を探し回る姿が映っていた。映像が進むにつれて、ショウが何かに気づき、暗い海の方向へと歩いて行くのが見えた。
その後の映像には、ショウの後ろに何かが現れる様子が映っており、恐怖と混乱の声が聞こえた。その映像の終わりには、ショウが何かに引き込まれていくような暗い影が映っていた。
ミカ(恐怖に震えながら):「これ、何なの…?」
その時、ユリが遠くからの叫び声に気づいた。
ユリ(遠くからの声で):「リョウ!ミカ!こっちへ来て!」「あぁっ!」
リョウとミカは急いで声の方向へ向かい、薄暗い浜辺にたどり着いた。そこには、倒れたユリの姿があり、その周りには、青白い霧のようなものが漂っていた。ユリは震えていたが、どうにか立ち上がろうとしていた。
リョウ(駆け寄りながら):「ユリ、無事だったのか?」
ユリ(息を切らしながら):「何かが…何かが私を引き寄せて…でも、どうにか逃げられたの。」
リョウとミカはユリを助け、彼女を支えながらキャンプ場に戻った。ユリは薄く微笑みながら、夜空を見上げ、月の光がその顔を照らしていた。
ミカ(優しく):「よかった、無事で。」
ユリ(疲れながらも安心した表情で):「でも、まだ怖い…この島には何かがいる。」
リョウは深い息をつきながら、周囲の静けさを感じ取った。キャンプ場に戻ると、彼らは一息つきながら、できる限りの準備をして夜を過ごすことにした。月明かりの下、海の波の音が心に響き、彼らの不安を和らげるような気がした。
夜が深まり、星々が空に散らばる中で、彼らはお互いの存在に支えられながら、再び明るい朝を迎えることを願っていた。