■第2話:第一の消失
夜が更けると、キャンプの周囲はすっかり静まり返り、焚き火の炎がゆっくりと消えかけていた。星々が空一面に広がり、波の音が心地よいリズムを刻んでいた。月の光が海面を銀色に照らし、浜辺には静かな闇が広がっていた。
リョウ:「みんな、そろそろ寝ようか。明日も楽しい一日になるといいな。」
リョウが言うと、ミカとショウ、ユリはそれぞれのテントに向かい始めた。ケンはテントの近くで焚き火の片付けをしていた。
ショウ:「それじゃ、おやすみ!」
ミカ:「おやすみなさい。」
ユリは少し不安げな顔をしながらも、テントに入っていった。リョウはテントの中に入る前に、もう一度浜辺を見渡してから、自分のテントに入った。
リョウ(テントの中で):「ケン、もうすぐ寝るよ。片付け終わったら、すぐに寝てね。」
ケンが小さく「うん」と答えた声が聞こえた。しかし、リョウがテントに入ってから少しして、ふと外の静けさに気づいた。テントの中は静かで、他の仲間たちの寝息が聞こえていた。
突然、リョウは外の方から微かな音が聞こえたような気がした。彼はテントを少し開け、暗い浜辺を見渡した。月明かりに照らされた浜辺には、ケンの姿が見当たらなかった。リョウは少し驚きながらも、外に出てケンを探しに行くことにした。
リョウ(外に出て):「ケン、どこにいる?」
リョウが浜辺を歩きながら声をかけると、波の音だけが答えていた。月光が海面を淡い光で照らし、リョウの影が砂浜に長く伸びていた。周囲の静けさが、逆に不安を引き起こしていた。
リョウ:「ケン、どこに行ったんだ?」
リョウは波打ち際まで歩いていき、そこにケンの足跡を探したが、見つけることができなかった。ケンが何かを取りに行ったのか、あるいは散歩に出たのかもしれないと考え、しばらく待つことに決めた。
その間に、リョウは再びテントの方を見た。仲間たちがすやすやと眠っている姿が見える。彼は再度ケンの名前を呼びながら、浜辺の端まで歩いた。しかし、ケンの姿はどこにも見当たらなかった。
リョウ(テントに戻る途中で):「ケン、本当にどこに行ったんだろう…」
テントに戻ると、リョウは他の仲間たちにケンの行方を尋ねた。
リョウ:「みんな、ケン見なかった?」
ミカ(寝ぼけながら):「ケン?さっきまでいたのに…」
ユリ(目を覚ましながら):「もしかして、どこかに行ったのかしら?」
ショウ(眠そうに):「まあ、大したことないだろ。すぐ戻ってくるよ。」
しかし、夜が更けるにつれて、ケンが戻らないことに不安が募り、リョウとミカは再び浜辺を探し始めた。月明かりの下、波の音だけが響き渡る中、彼らの心に不安と恐怖がじわじわと広がっていった。
リョウ:「もう少し探してみよう。どこに行ったんだろう…」
リョウとミカがケンを探し続ける中、浜辺にはただ静かな波音と冷たい風だけが残されていた。深い夜の闇の中で、ケンの行方は依然として不明だった。