■第１話： 夜の訪れ
浜辺には、焚き火の温かい光が揺らめき、深い青色に変わる海と対照的に輝いていた。星がきらめく空の下、夜の帳が降りる中、大学生たちの楽しげな声が響いていた。瀬戸内海の小さな無人島での一夜のキャンプが始まったばかりだった。
リョウ：「皆、焚き火の周りに集まって。食事ができたよ！」
リョウが声をかけると、ミカとショウ、そしてユリが焚き火の周りに集まり、リョウが用意した料理に目を輝かせた。キャンプファイヤーの温かい光が彼らの顔を柔らかく照らし、砂浜に落ちる影が一層神秘的な雰囲気を醸し出していた。
ミカ：「リョウ、おいしそうね。ありがとう。」
ミカが微笑みながら食事を取り始めると、ショウが冗談を言いながら笑い声を上げた。
ショウ：「このキャンプ、完璧だな。何か悪いことが起こるわけないさ。」
ユリ：「でも、なんだか不安なのよ。あの灯台、少し不気味じゃない？」
ユリが遠くに見える古びた灯台を指さすと、リョウは軽く肩をすくめた。
リョウ：「気のせいだよ、ユリ。灯台なんて、ただの古い建物だって。」
ショウ：「そうそう、何も心配することないって。僕たちはここで楽しく過ごせばいいんだよ。」
焚き火の周りに座る彼らは、波の音がリズムを刻む中で、心地よい時間を楽しんでいた。夜風が冷たくなり始め、海の暗闇がキャンプの明かりを一層際立たせていた。
ユリ：「でも、もし何かが起きたらどうするの？」
ユリがふと不安そうに言うと、ミカが優しく声をかけた。
ミカ：「大丈夫よ、ユリ。何も悪いことは起こらないわ。」
そのとき、海の波がひときわ大きく打ち寄せ、焚き火の炎が一瞬揺らめいた。リョウが焚き火の薪を追加し、火が再び安定するのを確認した。
ショウ：「ほら、心配しすぎだよ。夜が深まるにつれて、もっと楽しいことが待ってるはずさ。」
キャンプの楽しさが続く中、海の底からの静かな囁きのような音が時折耳に入り、誰もがその音の正体を確かめることはなかった。空は星に満ち、夜の深さと共に、徐々に島の静寂が支配し始めていた。
火の光と影が交錯し、焚き火の温かさが冷たい海風に対抗する中、彼らは楽しい時間を過ごしながらも、心のどこかに潜む不安が徐々に大きくなっていくのを感じていた。
