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タルタロス
「………!……せ!!」
ドタバタとうるさい足音に、響く怒声。
そんな非日常の一幕で目を覚ました。
狭い天井を崩さないように気を遣いながら伸びをして、まだ少し眠たい目蓋をこする。
そうしてノロノロとテントから這い出すと……
ガンッ
そう鈍い音を立て、頭が吹き飛ばされるほどの衝撃を受けた。
直ぐ様辺りを見渡せば、皆が走っていく流れに沿ってこけた男が居た。
男は直ぐ様立ち上がると……
「邪魔くせぇとこに居るんじゃねぇよクソガキ!!」
そう吐き捨て、男は再び流れに沿って走り始めた。
何気なく頬に手を遣れば、熱を持っていた。
どうやら腫れているらしい。
人の頭を蹴り飛ばしといて、んな殺生な……
「はぁ……今日も朝から憂鬱だ」
思わずそんなことを呟きながら、私はノロノロと「入り口」へと向かった。